日本共産党

2003年7月29日(火)「しんぶん赤旗」

通常国会から総選挙へ

「亡国」の政治ぬけだし改革の第一歩を

政治部長 小木曽 陽司


 イラクに始まりイラクに終わった通常国会。そこで明らかになったのは、アメリカいいなりの自民党政治の害悪がいきつくところまでいきついたこと、この異常な対米従属の体制から抜け出さない限り、二十一世紀の国際政治のなかで、日本が生きていく道はないということでした。

「日米同盟」で何でも正当化

 「ブッシュ米政権を危険な政権と断定しながら、これからの日米友好をどうやっていくのか」「アメリカとの同盟関係をどう考えているのか」。小泉純一郎首相は二十三日の党首討論で、イラク戦争をめぐり首相の責任を問う民主党の菅直人代表の質問に、こんな開き直りで応じました。民主党のように日米安保の枠組みを是認する立場に立っても、許容できない日本政府の対応。それでも、「日米同盟」を持ち出せば、打ち出の小づちのように、何でも正当化できる思いこんでいるところに、小泉首相の度しがたい対米従属ぶりがあります。

 裏を返せば、無法なイラク戦争を支持したことも、戦闘が続くイラクに自衛隊の地上部隊を送ることも、正面きって正当化できない、「日米同盟」以外には説明不能だと告白するようなものです。

 たとえば、国連決議さえ欠いた、米国の無法なイラク侵略戦争を、一連の国連決議を持ち出して「合法」などと言い張っても、米英以外の、いったいどの国の支持を得られたでしょうか。

 自衛隊を他国の領土に送り込むには、停戦合意や受け入れ同意が欠かせない、中立でなければならないということは、自衛隊の海外派遣にあたって、政府自身が課してきた「制約」です。その「制約」を一気に取り払うイラク特措法を正当化するためには、「日米同盟を壊してもいいのか」と開き直るしかないということなのか。

「痛み」感じぬ首相の冷酷さ

 経済とくらしの問題でも、小泉内閣がやってきたことは、不況で苦しむ国民のくらしへの応援どころか、いっそう痛めつける逆向きの「対策」ばかりでした。

 小泉「構造改革」がもたらした、倒産と失業の増大、不況の深刻化。それを背景にした自殺者の激増についての小泉首相のコメントは「今の構造改革がなかったら、もっと痛みが増える」(二十五日)。国民の痛みを痛みと感じないどころか、なお弱者切り捨ての「構造改革」にしがみつく冷酷ぶりです。

 医療費三割負担をはじめとする四兆円負担増が国会冒頭で大問題になったときに、「負担増だけに焦点をあてるのは好ましくない」と言い放った首相のもとで、日本の経済の再生も国民のくらしの再建もありえないことは明白でしょう。

自民党政治を支える公明党

 外交でも経済でも「亡国」ともいえる自民党政治が、公明党によって支えられてきた事実を見逃すわけにはいきません。米国によるイラク攻撃に反対する内外の世論の盛り上がりの中で、日本政府が追い詰められたとき、戦争を急ぐ米国側に立って、反戦運動を「利敵行為」と敵視したのが公明党でした。野党が医療費三割負担凍結法案を出し、自民党内に動揺が広がったとき、地方議会の意見書にことごとく反対するなど、負担増凍結封じの先兵になったのも、この党でした。

 政権にいすわり続けることを最大の行動原理とし、「平和」「福祉」など過去の言動などいっさいお構いなしです。自民党が、その公明党の支えなしに選挙もたたかえない政党に成り果てていることも、忘れるわけにはいきません。

 「政権交代」を掲げて合併合意した民主党、自由党はイラク戦争やイラク特措法には反対する一方で、米国の先制攻撃への参加に道を開く有事法制には「政権担当能力を示す」として賛成しました。「政権担当能力」が、自民党の基本路線への同調を意味するなら、十年前の細川連立政権の二の舞いになりかねません。

 日本共産党はこの国会で異常な対米従属体制からの脱却、日本経済の弱点、欠陥にメスを入れる改革の立場に立った論戦と運動を繰り広げてきました。この党が大きくなることが、国民の立場に立つ改革への一歩になることは疑いありません。

 国会が終わり、総選挙に向け、夏の熱いたたかいがスタートします。


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