日本共産党

2003年7月27日(日)「しんぶん赤旗」

国立大学法人化を問う (1)

「学問の自由を守れ」

たたかいが政府追いつめた


 国立大学法人法が成立(九日)し、来年四月の法人移行へ向け新たなたたかいがはじまっています。参院で委員会採決された八日、傍聴に参加した多くの大学関係者が、採決強行への憤りとともに、「たたかいはこれからだ」との力強い決意を口々に語りました。その背景にある、たたかいの前進、国会審議の成果、課題をみてみました。

 法人法に反対するたたかいは、短時日の成立という文科省のもくろみを崩し、会期延長がなければ廃案となるところまで政府・与党を追いつめました。その最大の力は、多くの大学関係者が、学問の自由を守ることへの大学人としての責務にたって、国会論戦とも連携してねばり強いたたかいを展開したこと、それが国民の間にひろがり、メディアにも影響をあたえたことにあります。

国会揺るがす運動

 国会審議は毎回、傍聴者でいっぱいになり、のべ千人をこえる傍聴行動が国会の質疑に強い緊張感をうみだしました。全大教(全国大学高専教職員組合)などによる三月二十七日の国会要請(四百人が参加)をはじめ、議員要請や院内集会、国会前座り込みなどがひんぱんにとりくまれ、その参加を含めると国会への行動はのべで二千六百人に達しています。各委員に届いた数百通のファクスやメールも、野党議員は「大きな励みになった」といい、与党議員からも「貴重なものだ」との声があがりました。

 全国の大学では、教職員組合や教員有志が地元国会議員や学長、地域に対して働きかけを強め、集会や街頭署名は地元テレビも取り上げるなど、世論をもりあげる上で力を発揮しました。教授会の決議が十四の学部・研究科であがり、人文学部長会議や農学系学部長会議が要望書を採択、全学連をはじめ東大、一橋大、学芸大、信州大の学生大会で反対決議があがるなど、法人法反対の声は全国から大きな波となって国会を包囲したのです。

支持・共同広がる

 大学関係者のたたかいによって、法人化反対の声が国民の間にひろがったことは、画期的です。作家の井上ひさしさんや小田実さんなど著名な文化人が大学人とともによびかけたアピールには五千人の賛同がよせられました。大学教職員有志が全国紙に二回の全面広告をふくむ四回の意見広告をだし、全大教や単組による意見広告も二十紙近くに掲載されました。これらには、多くの市民から「法案の問題点がよくわかった」などの声があつまり、意見広告に掲載された茨城県の主婦の切実な訴えは国会質問でも紹介され、共感をひろげました。

 全大教がよびかけて全教、私大教連、国公労連、医労連、日高教、全学連など各分野の十二団体によって法人化反対連絡会が結成され、十数次にわたる国会行動にとりくんだことも大きな役割を果たしました。

 全国紙の多くは、法案についてほとんど報じませんでしたが、国会内外のたたかいのひろがりに、「大学が十分な自主性をもって目標や計画を決められる内容とは思えない」(朝日新聞六月二日付社説)などの危ぐを表明するようになりました。地方紙の多くは、法成立後も「大学の自主性を尊重すべきだ」(愛媛新聞十一日付社説)などと、政府の大学への介入をいさめる声をいっせいにあげています。

 こうした世論と運動は今後、法人法の問題点を告発し、国民のための大学改革をめざす新たなたたかいへと、引き継がれていくことでしょう。

(つづく)


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