日本共産党

2003年7月25日(金)「しんぶん赤旗」

自殺者5年連続3万人突破 昨年

50代中心に経済苦激増


 昨年一年間の全国の自殺者は三万二千百四十三人で、前年より千百一人(3・5%)増え五年連続で三万人を超えたことが二十四日、警察庁のまとめで分かりました。五十代の男性を中心に「経済・生活問題」を動機とする自殺が激増。約八千人に達し、長引く不況を反映しました。

 人口十万人当たりの自殺者を示す自殺率は二十五・二人で、前年比0・8ポイント増加。自殺者のうち、成人男性が二万二千五百五人で全体の七割を占めました。

 自殺の原因・動機は、病苦などの「健康問題」が一万四千八百十五人と最も多く、「経済・生活問題」が七千九百四十人、「家庭問題」が二千七百四十六人、「勤務問題」が千七百六十四人でした。

 経済・生活問題を動機とする人は前年比千九十五人増で、過去最悪を更新。この問題で、遺書があったのは三千二百九十七人で前年比34・9%増と激増、五十代の男性が千四百二人と約四割を占めました。動機の内訳を検証した結果、「負債関係」が最多で千八百三十七人、次いで「事業不振」五百三人、「生活苦」四百二十五人、「失業」二百二十八人でした。

減るどころか不況で増加に

 メンタルヘルス研究所の今井保次研究主幹の話 自殺者が大きく増える変動要因は、以前から「経済・生活問題」が一番でした。

 研究者の間では厚生労働省がうつ病対策などを展開しているため、「自殺は減る」と予測する人もいました。しかし、日銀・短観のいわゆる「貸し渋り予測」がマイナスになっていることなどから、自殺は減るとは予測できませんでした。五十代の男性や自営業者が目立つのも、大きな金を動かす立場の人たちが、負債を背負えなくなって自殺するということではないか。

 現在の自殺の増加は医学問題というより、社会問題としてとらえるべきであり、金が回らないこと、不況が大きな背景にあります。


 中高年の家出が増加

 昨年一年間に全国の警察が捜索願を受理した家出人は前年比0・7%(七百五十人)増の十万二千八百八十人で、二年連続で十万人を超えたことが二十四日、警察庁のまとめで分かりました。前年急増した未成年女子の家出人は減り、働き盛りの中高年の増加が目立ちました。

 成人の家出人は前年比4・8%増の七万八千七百九十八人。このうち六割以上が男性で五万三千三百二十三人でした。成人の年齢別では、五十代が同8・3%増の一万二千四十五人となったほか、三十代、四十代もそれぞれ同6・7%、同7・8%増加しました。

 一方、未成年者は同10・6%減の二万四千八十二人。このうち、前年に同13・9%と急増した女子は一万四千二百五十四人となり、同11・5%減少しました。

 家出人捜索願が出されていた人で、昨年中に所在が確認できたのは八万八千三百二十三人でした。


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