2003年7月13日(日)「しんぶん赤旗」
国立大学法人法が九日参院本会議で可決成立したことを受け、独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局は十日、「新たな局面と新たな闘い―国立大学法人法の『終わりの始まり』に寄せて」を発表しました。
国会審議の三カ月、全国からの傍聴や要請活動、要請ファックス・メール、意見広告、教職員組合・教授会決議などが展開され、大きな流れとなったと強調。「これらが一体となって、国会審議を活性化させ、世論とマスコミを動かし、政府・文科省を確実に追い詰めていった」と述べています。
また、イラク新法提出による会期延長がなければ、法人法案は「当然廃案となったもの」であり、また、会期延長されても「民主主義的ルールを踏みにじる強権的議事運営がなければ、審議未了・廃案となるべきものであった」と指摘。審議を尽くさないまま法案を可決成立させたとして「改めて、政府・文科省ならびに与党に対して、怒りをもって抗議」しています。
法成立を受けて新たな局面に入ったとして、二つの新たな闘争の課題(1)法人法が企図する大学の破壊に反対し、大学自治を再生・発展させ、定員外職員を含むすべての教職員の雇用と労働条件を守ること(2)国立大学法人法の凍結を経て、法そのものの廃止を実現すること―をあげています。この間の法案阻止のたたかいが、多彩で多様な連帯と連携により進められたことを指摘し、「この絆をさらに発展させ、国立大学法人法反対の新たな闘いに、休むことなく立ち上がろうではないか」と呼びかけています。
島根大学教職員組合は声明「国立大学法人法の成立にあたって」を九日発表しました。
声明は、参院での採決について「この国における高等教育システムの重大な変更について、重大な疑義がもたれたまま数の力を頼んでそれを強行することであり、あってはならない」として「抗議を表明」しています。
「法案のもつ問題点が実現化しないよう、またその弊害を克服して大学と高等教育システムがよりよいものとなるよう」、さらに非公務員化される大学教職員の生活を守るため、「より強い運動を進めていくことを表明」しています。
国立大学法人法の成立を受け、岡崎国立共同研究機構・基礎生物学研究所の勝木元也所長は九日、メッセージを同研究所ホームページ上で発表しました。
同研究所は、法人法成立で来年度から、大学共同利用機関法人になります。
メッセージでは「評価によって、資源配分がなされ、これまでになかった競争的な資金獲得が経営にとって重要な要素」になるとしながら、同研究所は「学問を行うところ」と述べ、「これまでにもまして一層の学問への集中をしていきたいと決意」しています。
生物学は「自然の見方が豊かになることを目指す学問」と指摘。「評価は、このような基礎生物学研究の大事な性質に沿って行われるものと信じます」として、「今後も既定の方針で進みます」と述べています。
「教員養成システムの再構築に求められる諸課題について」をテーマに、全国大学高専教職員組合(全大教)が六日、東京・日本教育会館で教員養成問題シンポジウムを開きました。
全大教の森田和哉書記長が主催者としてあいさつ。大阪教育大学副学長の長尾彰夫氏が「大阪教育大学改革と教員養成・学部の再編」、大分大学名誉教授の野村新氏が「教員養成システムの再構築において問われる視点」、広島大学教授の羽田貴史氏が「独立行政法人化での教員養成」をそれぞれ報告しました。
会場から各大学の現状、課題などについて発言があり、熱心な討論が交わされました。