日本共産党

2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」

日本は撤廃取組み遅れ

女性差別

国連委員会が厳しく指摘


 【ニューヨーク8日遠藤誠二】国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)による日本政府報告審議が八日、ニューヨークの国連本部で開かれ、日本での女性差別をめぐる問題についてCEDAW委員と日本政府の質疑応答がおこなわれました。各委員からは、差別撤廃への取り組みが遅れているなど厳しい意見が相次いで出されました。

 審議で委員がとくに批判的見解をのべたのは、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准についてです。個人が差別の事例についてCEDAWに通報しCEDAWが調査などをする制度を定めた同議定書について、差別救済の実効性が向上すると評価されていますが、日本政府は「日本の司法の独立が侵される」として批准を拒否しています。

 これについてCEDAW委員は、「議定書は七十二カ国が批准しており、五十二の締約国がある。司法の独立が侵害されているケースはなく、むしろ強化されている」と日本政府の立場に異論を唱え、早期批准に向け「前向きな姿勢をとってほしい」(アジャー議長)と要望しました。

 また委員が強く指摘したのは女性の社会的地位向上をめぐる取り組みの遅れです。審議報告者であるカパラタ委員は「日本政府は、権力や意思決定機関での女性の進出を九年前に約束したが、現状は変わっていない。『進歩の十年』といわれるがそうはみえない」と指摘。また別の委員は、「パートタイム労働に女性が多いことなど間接差別が存在するのに、この問題についての検討が非常に遅いのではないか」との意見を出しました。

 委員からはまた、従軍慰安婦問題をめぐる政府の対応、アイヌ、在日朝鮮人など社会的少数派への対策、非嫡出子への差別、家庭内暴力の法律(DV防止法)の不備、国内人権委員会設置をめぐる独立性への疑問―などさまざまな問題点が挙げられました。

 日本政府代表の坂東眞理子・内閣府男女共同参画局長は、「委員にフラストレーションがあることについては共有する」「私自身、スピードをもって進めることができず、ふがいなく思うときがある」などと回答し、取り組みの遅れを認めました。選択議定書の批准については、「委員の指摘を日本に持ち帰る」「政府として検討している」と言明しました。

 八日の審議を前に、CEDAWは各国NGO代表からも意見聴取しました。日本からは、女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)から六団体、約六十人の代表をニューヨークに送り、CEDAW審議傍聴とロビー活動をおこないました。赤松良子国際女性の地位協会会長(元文相)、浅倉むつ子都立大教授らが参加しています。

 山下泰子JNNC代表世話人は、「CEDAWによる最終的なコメントをふまえ、日本政府との交渉を続け、女性差別の問題を国民に知らせる活動を進めていく」と話しています。


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