日本共産党

2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」

主張

大学法人法成立

新たなたたかいの始まりだ


 国会審議で紛糾をつづけていた国立大学法人法が、九日、野党の反対をおしきって参議院で可決され、成立しました。

 この法案は、大学の教育研究に国の統制を強め、憲法が保障する「学問の自由」を脅かす悪法として、世論の厳しい批判にさらされました。

 批判にまともにこたえず、「来年四月に法人化」という政府の日程を優先し、審議不十分のまま成立させた与党三党と小泉内閣に、激しい怒りと抗議を表明するものです。

推進派を追いつめた

 国立大学法人法は、四月三日の衆議院での審議入り以来、審議を重ねるたびごとに多くの問題点が明らかになりました。

 参議院の審議では、文科省が「大学の自主性を拡大する」といいながら、大学に中期目標の原案作成を詳しく指示していたこと、大学法人への移行に際して労働安全衛生法に違反しないための安全対策費として三百六億円を示したものの、その根拠はずさんなことなどが、日本共産党などの追及で明るみにでました。

 さらに、大学の中期目標を大臣が策定し文科省と総務省が二重に評価するなど、大学を国家の統制によってがんじがらめにすること、大学財政への国の負担責任を後退させ、学費値上げをひきおこすこと、大学法人の役員が官僚の天下りの温床となること、職員から公務員身分を一方的に奪うことなど、重大な問題点がうきぼりになりました。

 これらを追及した質問に対して、遠山文科相は何度も説明不能に陥り、虚偽答弁や暴言の取り消し、訂正と謝罪に終始せざるを得ませんでした。与党議員の中からも「ガラス細工だ」との声があがるなど、法案の欠陥と答弁の無責任ぶりが露呈しました。

 こうしたなかで、法案の廃案を求める大学関係者などのたたかいは急速にひろがりました。全国の大学の教授会や職組、学生自治会から、廃案を求める数多くの声が国会によせられ、委員会の傍聴席が毎回大学関係者などであふれました。

 作家の井上ひさしさんが「『大学の自治』も『学問の自由』もただの画(が)餅(べい)、戦前戦中よりもさらにひどいガチガチ国家主義の時代になってしまう」との危ぐをのべるなど、各分野の識者やメディアから厳しい批判がなされました。

 大学関係者などのたたかいと国会論戦が一つになって、文科省が当初もくろんだ五月中の成立を阻み、イラクへの自衛隊派遣のための会期延長がなければ廃案になるところまで、“法人化推進派”をおいこみました。

 参議院文教科学委員会の付帯決議が、総務省が文科相に行う大学法人の改廃などの勧告内容を制限する内容をふくんでいることも、この間のたたかいを反映しています。今後のたたかいの貴重な足がかりになるものです。

矛盾の噴出が不可避

 国立大学法人法は、国会では数の力で法制化を強行されましたが、大学関係者はもちろん国民の合意をえたものではありません。その施行と具体化にあたって、深刻な問題点が噴出することは避けられません。

 法案に反対してひろがった世論と運動をさらに発展させ、この悪法がうみだす矛盾、問題点の監視・告発と追及をすすめることが重要です。 学問の自由と国民の教育をうける権利をまもり、国民の立場にたった大学改革を実現するため、新たなたたかいにいっそう力をつくすことをよびかけます。


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