日本共産党

2003年6月30日(月)「しんぶん赤旗」

国立大法人法案 政府の“迷走”

答弁に窮し暴言・失言

徹底審議で廃案しかない


 参院文教科学委員会で審議中の国立大学法人法案。与党は今週中にも採決をねらっています。しかし、審議すればするほど法案の問題点が浮き彫りになり、焦る大臣、副大臣からは暴言、失言が次々と飛び出す始末です。大勢の傍聴者がつめかけた二十六日の審議を振り返りました。

おわびは口先だけ

 二十六日の委員会は、遠山敦子文科相の次のような発言から始まりました。

 「法案の国会提出以前の段階から文部科学省名義の資料が示されたことにより、文部科学省による指示があったと受け止められて、法律に基づく中期目標・中期計画そのものの作成が進められてきたとの指摘や、その結果として国会における審議の尊重という観点から問題があるとの指摘を受けたことについては、誠に遺憾であり、深くおわびいたします」

 十日の審議で文科省の指示文書が問題となって中断。それ以来、空転していた審議を再開させるために文科省が準備した文面を読み上げたものです。しかし、「おわび」は口先だけのものであることが、すぐに明らかになります。

 日本共産党の林紀子議員が、文科省が出したさまざまな資料によって大学の教官や事務職員が準備作業に追われ、過度の負担を強いられてきたことを告発し、どうやってこの負担をなくすのかとただしました。すると遠山文科相は、「大学で準備作業が進められているのは確かだが、(文科省の資料は)大学の側から依頼、要請があったものだ」「恐らく大学の学長なり当局者は資料の性格はわかっている」と述べたのです。

 まるで“資料を文科省の指示だと誤解した方に責任がある”と言わんばかり。

 傍聴席からは「まだそんなことを言う」「実態は全然違うぞ」とどよめきがおきました。

問題すりかえる

 林議員はさらに、財務会計システムの導入を文科省が大学に進めさせていることを示し、国会審議を軽視する文科省を追及しました。遠山文科相は答弁できません。かわりに答弁に立った河村建夫副大臣は「準備作業は必要」と繰り返しましたが、ついに答弁に窮し、「法人化そのものがだめだとおっしゃるなら、見解の相違だ」と、問題をすりかえました。

 法案の内容を先取りして準備を進める国会無視の態度は、法案への賛否を問わず問題となることです。それを「法人化への見解の相違」で片づけようとするのは、まじめな国会審議を愚ろうするものです。

 他の野党議員からも抗議の声があがり、河村副大臣はその場で「失礼なことを申し上げた」と謝罪しました。

委員長も「注意」

 民主党・桜井充議員は、自らも研究に携わった経験から「目標通りに研究が進むなんてことはない」と述べ、「中期目標を国が定めれば、結果的には大きな研究成果を得られない。おやめになった方がいい」と指摘しました。

 中期目標・計画は、この法案で最も不安が集中している部分です。文科省がいくら「学問の自由は守る」と言っても、疑念は消えていません。そこを突いた質問でしたが、遠山文科相は「もう再三にわたってお答えしている。途中から突然委員におなりになりましたわけでございまして…」と、桜井議員がこれまでの審議をふまえていないかのような失言をしました。

 この大臣発言に、委員長も「不穏当だ」と注意し、遠山文科相は「取り消す」と表明しました。

 大臣、副大臣の相次ぐ暴言、失言は、法案をまともに説明できないことの表れです。徹底審議のうえ、廃案が当然です。

 (坂井希記者)


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