日本共産党

2003年6月29日(日)「しんぶん赤旗」

有明海 謎の浮遊物

諫早湾干拓の凝固剤に疑い


 五月の初旬から下旬まで有明海に「謎の浮遊物」が大量に発生し、その後も漁獲量が落ちこんだままです。浮遊物はべとべとした粘土状で網にからみつき、漁業ができなくなる被害が続発、魚が姿を消し、有明海の漁船漁業は最悪の状態になっています。

 漁民は再発生を恐れていますが、有明海沿岸四県の研究機関は正体を確定できないままです。

 旧熊本水産試験場の元場長・太田扶桑男(ふさお)氏は、浮遊物が漁網に絡み付いた粘土状の粘着物を分析したところ、多くの海草片が混在していることをつきとめました。浮遊物は、粘性の多い枯死した海草片が核になって有明海特有の浮泥がくっつき、プランクトンや有機物を吸着したものが正体との見解を最近、明らかにしています。太田氏は顕微鏡の観察結果から、枯死した海草片には石灰粒子が見られることから、諫早湾の干拓工事で多量に使われている石灰系の地盤凝固剤に疑いをもっています。

 長崎大学の東幹夫・教授は「こうした浮遊物が大量に発生するようになったことは、有明海が悪い方向で新しい局面に入ったとみることもできます。漁業者にとっては死活問題になっており、再発生を防ぐためには、太田さんの分析の検証など、真剣な対応が必要です」とのべています。


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