日本共産党

2003年6月28日(土)「しんぶん赤旗」

出生率1.32 母娘が考えた

安心して産むことができ子育てしやすい社会へ対策急がなければね


 一・三二人。一人の女性が生涯に産む平均子ども数です(合計特殊出生率、二〇〇二年)。戦後最低を更新し続ける少子化に歯止めをかけようと、少子化社会対策基本法案が国会で審議されています。少子化をめぐる問題をどう考えるか、何が求められているのか、母娘の問答で考えます。

少子化対策 国会で審議

  いま国会で、少子化社会対策基本法案が審議されているようだけど、どんな内容なの?

  「少子化の進展に歯止めをかける」ために、国や自治体、事業主に「子どもを安心して生み育てることができる環境を整備する」施策を求めているの。

  子どもを産む産まないの選択は一人ひとりの自由でしょ?

  もちろんそうよ。国際的にも国内でも、結婚、出産が個人やカップルの選択によるものだということは共通の認識になってきているわ。ところが自民、公明、民主などの議員から提案された法案の原案には、そういう立場が明記されていなかった。だから、国会審議でも女性団体などからも、「結婚や出産は当事者の選択にゆだねるべきだ」「産めよふやせよ政策につながるのでは」と危ぐする声が出されていたの。

  どうなったの?

  これらの意見をとりいれて提案者側から、前文に「もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくもの」と加える修正案が出されたわ。付帯決議にも「国民の多様な価値観を尊重」「子どもを有しない者の人格が侵害されることのないよう配慮」などが提案されたの。

  いろいろ議論された結果なのね。

  日本共産党は、少子化が日本社会の未来にかかわる重大問題だという立場から、法案をよりよいものにするために独自の修正案を出したのよ。法案の目的に「少子化社会を克服」と明記することと、基本理念に「結婚及び出産は個人の選択に委ねられるべきこと」を加えるよう提案したの。

家庭と仕事 両立したい

  社会的条件や環境の遅れが少子化をすすめたのだから、政治と社会の責任で解決しようというのは当然ね。

  大事なのは「安心して産め、子育てがしやすい」社会にすること。共産党の修正案は否決されたけれど、原案が改善された法案には共産党も賛成したの。参議院でひきつづき審議されるのよ。

  産みたいのに産めない問題を急いで解決することは本当に大切よ。妊娠リストラという言葉もでるほど、妊娠・出産で解雇される違法な実態がある。私の友達も、子どもは欲しいけど仕事が続けられなくなるって悩んでいたよ。夫の帰りが毎日深夜で、自分一人で子育てするのが心配だっていう人もいる。

  本当にそうね。保育所に入れない待機児童も六万二千人(二〇〇二年十月)いる。夫婦の理想の子ども数は二・五六人なのに、実際は二・一三人しか産めていない(国立社会保障・人口問題研究所調査、二〇〇二年)のは、子育てしにくい社会環境が問題よね。

  ほかの国はどう?

  ヨーロッパ・北欧では、さまざまな施策で出生率が向上している国もあるよ。たとえばフランスは、労働時間を短縮して週三十五時間労働制を実現し、経済的にも手厚くきめ細かな子育て支援がある。これによって出生率も上がってきているの。世界を見ると、女性の就業率が高くて男女の賃金格差が少ない国ほど出生率が高いのよ。

  いまの日本の政治や社会の動きは逆行しているよね。リストラで人減らしがすすみ、正社員はいっそう長時間・過密労働に追いやられている。女性の長時間残業や深夜業も広がっている。労働法制改悪で賃金も低く身分も不安定な労働者がさらに増やされようとしている…。

  そうね。この問題の解決へ真剣にとりくむのなら、女性も男性も家庭生活と両立できる働き方にすること、男女差別をなくし女性が働きつづけられる社会にすること、保育・学童保育の拡充をはじめ育児と仕事の両立支援が大切ね。こういう施策の充実を政府に求める運動をもっともっと広げていきたいわね。


妊娠・出産理由の退職強要など8割

 厚生労働省がこのほど発表した二〇〇二年度の「男女雇用機会均等法施行状況」によれば、女性労働者から都道府県労働局の雇用均等室に寄せられた個別紛争解決の援助申し立ては前年より十五件増の百二十二件。最も多いのは退職勧奨や解雇にかんするもので九十八件、そのうち妊娠・出産を理由とする退職の強要・解雇は八割(七十七件)を占めました。


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