日本共産党

2003年6月23日(月)「しんぶん赤旗」

労基法改悪案 欠陥・矛盾が次々


 週明けにも与党が採決をねらう労働基準法改悪案。参院の審議を通じて法案の欠陥ぶりや重大な矛盾が次々と明らかになっており、会期延長のもとで徹底審議を尽くすべきです。(深山直人記者)


有期雇用

「若年定年制」の危険 厚労相も否定できず

 改悪案では、契約社員などの有期雇用の上限を一年から三年に、専門職の場合は三年から五年に引き上げます。常用労働と置き換えられ、事実上の「若年定年制」になると指摘されています。

 当初、厚労省は「常用代替はおこらない」と答えていましたが、坂口力厚労相は「可能性がないとは思わない。実施後、常用代替が現実となっていれば見直す」と否定できなくなっています。

 「三年たったら解雇されるのではないか」との指摘にも、「企業の人事戦略による」と答えていたのが「何か歯止めを作らなきゃいけない」(坂口氏)と答えざるをえなくなっています。

 しかし、「どんな基準を考えているのか」と聞かれても、「労働政策審議会で審議していただく」(松崎朗労働基準局長)として明らかにしようとしていません。

 法案の根幹部分について国民にいっさい明らかにしないまま審議を閉じることは許されません。

 上限期間の延長にともない、有期労働者に育児・介護休業法が適用されない問題点については何ら解決されていません。

 上限期間が延長されたのに育児・介護休業が取れなければ家庭生活との両立にとって障害です。

 この問題は、一昨年の育児・介護休業法改正のときに議論になり、厚労省は法整備も含めて「勉強する」(岩田喜美枝雇用均等・児童家庭局長)と答えていました。

 野党側が「有期労働者にも適用すべきだ」と求めたのにたいし、岩田局長は「労働政策審議会で審議される」と答えました。法案を出してから「審議中」では本末転倒です。国会で審議を重ねて修正をはかるべきです。

 三年への延長については、それが「人身拘束」となり退職の自由が奪われないようにと、衆院段階で契約一年後からいつでも辞められるように修正が加えられました。

 ところが、五年に延長となる専門職などには「退職の自由」が認められていません。どうしても五年延長するというなら、三年と同様、退職の自由を認めるべきであり、これも審議しなければならない重要テーマです。


裁量労働

「時間の把握しない」 自らの通達に反する

 実際に働いた時間に関係なく、一定の決めた時間しか働いたとみなさない裁量労働制についても重大な矛盾が浮きぼりになっています。

 改悪案では、裁量労働制の対象者を本社部門以外にも広げるため、ホワイトカラーのほとんどに適用できるようになります。これは長時間労働やサービス残業をいっそうひどくすると指摘されています。

 厚労省は一昨年、サービス残業根絶のために、使用者に労働時間の「適正な把握」を求める通達を出し、今年の五月には労使による具体的な取り組み策を示して実施を求める通達を出しました。

 過労死認定基準の改正にともない昨年二月には医学的知見にもとづく残業時間の目安を示し、労働時間の短縮などを求める通達を出しました。これには裁量労働者や管理・監督者も対象になることが明記されています。

 ところが、松崎労基局長は「労働時間の把握をしないのが裁量労働制」と、この通達の対象にならないと答えました。

 日本共産党の小池晃議員から、自らが出した通達の趣旨にも反するのではないかと追及されると、労働時間の「状況を把握をする責任はある」とごまかしましたが、重大な矛盾を抱えたままです。

 長時間労働の短縮、サービス残業の根絶をはかるというのなら、労働者を労働時間規制の対象外に置きかねない裁量労働制を厳しく限定していくことこそ求められます。


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