日本共産党

2003年6月16日(月)「しんぶん赤旗」

労基法改悪案

長時間労働に雇用不安

問題点続出 与党あす採決狙う


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質問する小池晃議員。後方は小泉首相=9日、参院本会議

 参院で審議中の労働基準法改悪案は、与党が十七日に委員会採決をねらっています。短い審議を通じても雇用不安と長時間労働をいっそう深刻にする危険性が見えてきました。審議を尽くすことが必要です。

裁量労働の「歯止め」削る

 重大問題の一つは裁量労働制です。

 裁量労働は、実際に働いた時間とは別に、あらかじめ決めた時間だけを「働いたとみなす」制度です。長時間労働とサービス残業(ただ働き)をもたらす危険性が大きいため、「歯止め」規定があります。裁量労働を「本社機能をもつ事業場」に限定する規定が、歯止めの重要な柱です。法案はこれを削除し、広範なホワイトカラーに適用できるようにします。

 さらに労働者の健康をまもる要となる労働時間の把握そのものが後退する問題が浮かびあがりました。

「労働時間を把握しない」

 松崎朗労働基準局長は「労働時間の把握をしないのが裁量労働制の趣旨だ」とのべたのです。

 「労働時間を把握しないでどうやって労災認定するのか」と日本共産党の小池晃議員が追及すると、「在社時間など労働時間の状況を把握する責務はある」と答弁。「状況の把握」とすりかえ、あいまいにしています。

 使用者は労働者にたいする「安全配慮義務」を負っており、労働時間を把握する責務があるのは明白です。厚労省が五月に出した「賃金不払い残業解消指針」でも「労働時間の適正な把握」を使用者に強く求めています。

 労働時間を把握しなければ、サービス残業は「合法化」され、過労死しても何の証拠もなくなってしまいます。

 小池議員は、労働時間を自己申告制とする“ニセ裁量労働制”を導入し、サービス残業が横行している東芝の京浜事業所の実態を告発しました。自己申告制はやむを得ない場合だけに限られていますが、松崎局長は「留意事項を守っていれば適正だ」とのべました。

有期雇用促し正社員減少

 有期雇用の促進も改悪の柱の一つです。法案は、パートや契約社員などの有期雇用の期間の上限を現行一年から三年に延長します。

 企業側は、法案によって正社員のような常用雇用が少なくなって、有期雇用労働者への置き換えが一気にすすむことを期待しています。

 九日の参院本会議で小泉純一郎首相は、企業も長期的視点で能力開発などを考えているため、「常用雇用の有期雇用への代替など、ただちに招くとは考えていない」と答弁しました。しかし、「国民生活白書」(五月)でも、今後の雇用拡大について37%の企業が「派遣労働者の拡大」、38%が「臨時・パートの拡大」を求めています。 有期雇用の現場では、「契約期間満了」を口実とした「雇い止め」が深刻な問題です。

若年定年招く「雇い止め」

 有期雇用は現在、契約更新を四、五回繰り返すと、「期間の定めのない雇用」となり、いわゆる正規雇用とみなされて簡単に「雇い止め」ができなくなります。

 しかし、法案によって一回の有期雇用の期間が三年に延長されれば、六年間働いたといっても一回の更新ですむことになり、反復の実績が低いということで「雇い止め」にされかねません。

 大卒で二十二歳で就職した場合、三年後の二十五歳、六年後の二十八歳で「雇い止め」となる危険に直面します。「若年定年制」を招く重大問題を含んだ改悪です。

 失業が過去最悪を記録し、雇用不安の解決が政治の大問題になっているときに、雇用の安定を奪っていく労働法制改悪をすすめる―この逆行が審議のなかで浮き彫りにされています。

 参院審議で日本共産党の小池晃議員は、「企業では、怒とうのように不安定雇用がすすんでいる。こういう流れに立ちふさがることこそ、厚労省の役割ではないか」として、「雇い止め」に何らかの歯止めをするよう強く求めました。

 坂口厚労相も「無理にやめさせると言ったようなことを認めてはいけませんから、歯止めも何か作らなきゃいけない」と答えざるを得なくなっています。


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