日本共産党

2003年6月7日(土)「しんぶん赤旗」

有事三法案

富樫議員の反対討論(要旨)


 日本共産党の富樫練三議員が六日の参院本会議で行った、有事法制三法案への反対討論の要旨を紹介します。


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反対討論にたつ富樫練三議員=6日、参院本会議

 私は、日本共産党を代表して、有事法制三法案に対し、強い憤りと平和への熱い思いをこめて反対の討論を行います。

 五十八年前、私たちは過去の侵略戦争を反省し、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうに決意」し、復興と平和の道に足を踏み出しました。これは日本国民の固い決意であると同時に、あの戦争で重大な被害を与えたアジアと世界の諸国民への公約でもあります。

 憲法第九条を、国際情勢に合わないとか、時代遅れという議論がありますが、これほど、戦争と平和の歴史の教訓に学ばず、世界の平和を願う人々の期待を裏切ることはありません。

 世界的にも、かつては戦争は合法とされていました。それが違法なものとされ、国連憲章では、自衛以外の戦争は禁止されました。憲法第九条は、戦争の違法化という世界史の流れのもっとも先駆的な到達点を示したものです。

 その日本で、米国の無法な戦争に協力するために、国民を強制的に動員する法律がつくられるのです。これほど、歴史の進歩に逆行するものはありません。

 反対理由の第一は、有事三法案は、米国の無法な先制攻撃の戦争に対し、日本国民の協力を強制するものだからです。

 ブッシュ政権は、先制攻撃戦略をイラクで発動しました。明らかに国連憲章違反の無法な戦争でした。

 このような無法な戦争に反対し、協力を拒否することこそ、日本の責務です。有事法案を実行することは、この無法な戦争に加担することになります。しかも、その矛先はアジアの諸国に向けられるものであり、アジア諸国民との友好と平和にも反するものです。

 第二に、有事三法案は日本を丸ごと米軍の戦争のための一大兵たん・補給の基地に変え、地方自治体や交通・通信をはじめとする指定公共機関などを米軍支援にかりたてるものだからです。

 武力攻撃事態や武力攻撃予測事態になればどのように米軍を支援するのか、これは本法案の中心問題です。にもかかわらず、委員会審議では、参考人からも「何も明らかにされていない」と厳しく指摘されました。

 今後予定される米軍支援法制は、周辺事態法では建前上禁止されていた「戦闘地域」での米軍支援を実行するもので、米軍の「武力行使と一体」となった支援に公然と道を開く危険なものです。

 ところが、骨格さえ示さない政府の態度は言語道断です。

 第三に、政府は口を開けば「備えあれば憂いなし」といいますが、これは国民を守るための備えではなく、「自衛隊が米軍とともに攻めるための備え」だからです。

 周辺事態法では、海外で米軍を支援する自衛隊は戦闘地域と一線を画した地域でしか支援活動ができません。ところが有事法案では、米軍支援中に戦闘が始まった場合でも、「武力攻撃予測事態」と認定すれば、その場に踏みとどまって米軍への支援をつづけることになります。

 さらに、米軍支援にあたる自衛隊が武力攻撃を受けた場合は、自衛権の行使がありうるとまで答弁しました。

 第四に、この法案は、地方自治体と指定公共機関、国民に対し、戦争協力を強制するものだからです。

 政府は、戦争から国民を守るのが法案の目的だといいますが、米国の戦争の後押しがこの法案の核心です。武力攻撃予測事態などという定義を持ち出し、周辺事態法では強制できないことを国民に強制するものです。

 政府はわが党の追及に、日本が武力攻撃を受けていない「予測事態」でも、この法律を発動し、地方自治体や民間機関に米軍支援を強制することを認めました。日米軍事当局が日米共同の軍事演習に自治体を参加させる計画をもっていることも判明しました。

 さらに国・地方を問わず公務員は「予測事態」の段階から米軍支援に協力させられることも明らかになったのです。

 与党と民主党の修正案で「基本的人権は最大限尊重されなければならない」とのべていますが、これは基本的人権の制限はやむをえないという政府見解と少しも変わるところがありません。

 憲法第九条を信条としている国民や、米国の国連憲章違反の戦争に反対の行動を取れば権利を制限する、協力違反には罰則をつけるなどということは、憲法上絶対に許されません。

 有事三法案の具体化を図る個別法制の制定を許さないために引き続き全力でたたかうことを表明します。


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