日本共産党

2003年6月6日(金)「しんぶん赤旗」

公団住宅建設・供給から撤退

都市再生機構法案

大企業救済で遊休地開発


 都市基盤整備公団を廃止して「都市再生機構」を創設する都市再生機構法案が、自民、公明、保守新、民主、自由の賛成、日本共産党と社民党の反対で五月十五日の衆院本会議で可決、参院に送られました。四日の参院国土交通委員会で趣旨説明がおこなわれ十日から審議に入り、会期内の可決・成立がねらわれています。


民間主導をさらに推進

 この法案は、公団住宅の建設・供給から完全に撤退し、大企業工場跡地での都市再開発や区画整理などの「都市再生」事業の「実施部隊」をつくることがねらいです。

 創設される「都市再生機構」は、業務の中心を大企業の工場跡地や企業の遊休地の開発に移すことになります。

 現に、政府が指定した大都市四十四地区の「都市再生緊急整備地域」では、ゼネコンやデベロッパー主導で民間プロジェクトが進められていますが、その中心になって「民間」を応援しているのが、現公団です。

 さらに「土地有効利用事業」という名目で、バブル時代に大企業が買いあさり、不良債権化している土地を含め、百十二地区、百十三・八ヘクタールもの土地を三千二百六十五億円もの巨費を投じて取得し、事実上の大企業救済をおこなっています。

 公団を「都市再生機構」にすることによって、これらの事業をいっそう推進しようというのが法案のねらいです。

居住の安定損ねる転換

 もうひとつの問題は、現公団居住者の「居住の安定」が図られるのかということです。

 都市再生機構は現公団より営利追求の経営を行うため、家賃を大幅値上げしたり、採算に合う公団住宅を売却することが懸念されています。

 衆院の審議で日本共産党の大森猛議員は、「公団内部資料」をもとに、家賃の値上げも含む「家賃増収の取組み」や、老朽化した団地の建て替え事業では、建て替え後の団地に入居する世帯の分しか建設しないことを検討していることを明らかにしました。

 現在でも建て替え後の家賃が最終的には三―四倍にもなるため、住み慣れた団地を離れざるを得ない世帯が増加しており、いっそう進行することが予想されます。

 さらに、建て替え後に生まれた「余剰敷地」を「民間」に売却することも方針とされています。

 しかも、瀬古由起子議員の質問や、山口不二夫・青山学院大学教授の参考人意見陳述で、賃貸住宅事業では毎年三千億円もの収益を得ていることが明らかになりました。

 この収益は結果的にはバブル期やその崩壊以降に公団が購入した三千三百八十一ヘクタールに及ぶ「塩漬け土地」購入費の利払いに、その一定額がまわされているのです。

 デフレ不況でホームレスも増えています。また、大都市では狭い、地震時に倒壊のおそれのあるなど居住水準の悪い住宅が多数あります。こうした中で政府の住宅政策の根本を変え、公共住宅建設から手を引くこの法案は公団居住者はもちろん、国民の居住安定をそこねるものです。

 政府の住宅政策や公団の経営責任をあいまいにしたまま、法案成立を急ぐ政府・与党にたいして「住まいの保障は人権、公的責任を放棄するな」との声を上げることが重要になっています。

 (国会議員団事務局・高瀬康正)


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