2003年6月2日(月)「しんぶん赤旗」
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東京・霞が関にある文部科学省の建物に、ひときわ目を引く緑の垂れ幕があります。
「新登場!得点予想のtotoGOAL」
「トト(toto)ゴール」というギャンブルを、青少年の健全な育成に責任を持つ文科省が導入し、懸命に宣伝する――。同省のゆがんだ姿を象徴的に示しています。
その文科省は、売り上げが低迷するサッカーくじ(トト)の打開策として、八月からコンビニエンスストアでの販売を決め、準備を進めています。青少年への影響が危ぐされるなか、本紙はJリーグのスタジアムで中・高校生を中心とした五十人にアンケートを実施しました。その中で三割がなんらかの形でサッカーくじを購入した経験があることが明らかになりました。
調査では、東京、横浜の二つのスタジアムでJリーグを観戦している五十人に「サッカーくじを買ったことがあるかどうか」を質問。七人が「直接、自分が買った」と答え、八人が「親などに買ってもらった」と回答しています。三十五人は買っていませんでした。
さらに本紙は東京都内のくじ販売店の年齢確認状況も調査。驚くことに四十店舗のすべてで十九歳未満かどうかを確認せずに販売していました。
コンビニ販売の問題については、サッカーくじ導入の際、日本PTA全国協議会や教育、スポーツ、女性団体などが文部省(当時)やコンビニ業界に販売自粛を要請。国会でも日本共産党の議員が販売中止を求めてきたものです。その結果、「青少年に悪影響を及ぼさないよう販売方法について十分留意すること」などの付帯決議が付され、文部省も「当面、コンビニ販売は実施しない」としていました。
しかし、くじの売り上げが落ち込んでいる事情と合わせ、「青少年に問題が起きていない」として、三年目で早くもコンビニ販売に踏み切ろうとしています。
――都内販売店の実態――
■スポーツ用品店(新宿)
「年齢を聞き19歳以上だと失礼。制服を着た子だけ確認する」
■めがね店(新宿)
若いアルバイトが1人で。「研修は受けていません」
■旅行代理店(池袋)
totoデビット会員(注)の手続きの際「身分証明書はなくてもいいです」
■宝くじ売り場(新宿)
同会員手続きで「年齢さえわかればいいです。いくつ?」
■CDレンタル店(渋谷)
次々来る客の対応に追われほとんど顔も見ずに販売
■携帯電話店(足立)
同会員手続きを「身分証明を持ってません」といってもすすめる
(注)totoをカードで買える。本来、発行には身分証明書の提出が必要