日本共産党

2003年6月1日(日)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

ホワイトカラー全体を労働時間規制の枠外に

裁量労働制を拡大

労基法改悪で山口議員指摘


 いくら働いても決めた時間しか働いたと認めない「裁量労働制」を、ホワイトカラー(事務系)労働者のほとんどに広げようとする労働基準法改悪案。日本共産党の山口富男議員の質問(五月三十日、衆院厚生労働委員会)で、ホワイトカラー労働者が労働時間規制の枠外に置かれる危険性が浮き彫りになりました。


「新Vワーク」

 電機大手・NECは昨年秋、「新Vワーク」と名づけた裁量労働制を導入しました。

 「企画業務」での適用労働者は約千人。

 全国の企画業務型裁量労働者(六千七百四十四人)の15%を占める大規模なもので「裁量労働を全ホワイトカラーに広げることを視野に入れている」と報じられています。

 山口 一九九九年の労働基準局長通達では「ホワイトカラー業務すべてが該当するものではない」と明言している。NECの姿勢は認められない。

 松崎朗労働基準局長 ホワイトカラーなら何でも入ることにはならない。

 NECの姿勢を厚労省も肯定するとはいえません。しかし、政府の「規制改革推進三カ年計画(再改定)」では、ホワイトカラーの多くが労働時間規制の適用除外になる米国のホワイトカラーエグザンプション(適用除外)制度を参考に、「裁量性の高い業務については適用除外方式を採用することを検討する」と打ち出しています。

 山口氏は、日本経団連が適用除外の制度を求めていることをあげて「ホワイトカラー全体に裁量労働を広め、日本の労働者を労働時間規制の外に置くことは許されない」と強調しました。

 坂口力厚労相は「これまでの法律の範囲で考え、あてはまらないものは取り上げない」と答えました。

限定の削除

 今回の改悪では、裁量労働の適用を本社機能をもつ職場に限定している規定(事業運営上の重要な決定がおこなわれる事業場)を削除します。

 導入手続きも緩和し、労使委員会の届け出を廃止したり、労使委員会全員の合意が必要な決議を五分の四でいいとするなど法律上の歯止めを取り払おうとしています。

 “本社機能をもつ職場”という規定は、企画業務といっても、実際には外から見ても分からないために設けられた外見上の要件です。これを削除するのは、基本理念を変えることになります。

 山口 政府は発足当初、労使委員会と監督行政の二重のチェックの仕組みがあるといっていた。これを緩和するのは制度に反している。

 松崎 現場を知る労使委員会を基本において、不必要なものはないかと検討し、省略しても他の措置で担保できるところを簡素化した。

 山口 不必要という答弁は撤回すべきだ。労使委員会の全員の合意が多数決に変われば、性格が根本的に変わる。改定は重大な意味を持っている。

報告を削減

 改悪案では、企画型裁量労働制について使用者が労基署に出す定期報告の内容をバッサリ削ろうとしています。

 労使委員会の開催や苦情処理の実施状況の報告もなくし、残るのは労働時間の状況(把握方法)と健康診断をやっているかどうかの二項目です。

 山口 定期報告は今でも紙一枚だ。労働時間の状況も実態をつかむものではない。さらに削除して運用状況がつかめるのか。どういう苦情が出ているのかつかむなど、もっと充実すべきだ。

 松崎 定期報告にもとづきチェックする。中身は労使委員会のチェックで運営していく。

 山口 チェックといっても報告では、労使委員会の開催状況もつかまない。これでは裁量労働者を労働監督行政の視野の外におきかねない。

 山口氏は、前出の「三カ年計画」が「裁量労働制の対象業務を労使の自治に委ねる方向で見直しをはかる」と明示していることをあげて、「これを先取りしたのが今度の裁量労働にかかわる改正だ」と指摘。「裁量労働への監督・指導をきちんとやるべきだ」と強調しました。

 坂口厚労相は「働く条件を守っていく立場だから、その点を十分にふまえてやっていきたい」と答えました。


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