日本共産党

2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」

白装束の反共カルト

がん入院先 集団で押掛け

元会員の遺品・遺族が語る実態


 「ジョギング」と称して日本共産党攻撃のビラ配り。がんになっても病院から連れ出す──。「パナウェーブ研究所」「千乃正法会」などと名乗る白装束の反共カルト集団に加入し、昨年二月、がんで亡くなった会員の遺族の証言からこんな実態が浮かんできました。証言や残された資料から集団の実態にせまると…。

 亡くなったのは愛知県の男性会員。五十八歳でした。

 愛知県内の高校を卒業し、県内の会社に就職。登山好きでまじめ。部下を相手に名前の字画占いが趣味でした。

 残されたメモによると、一九八九年、男性は初めて「集い」と呼ばれる集会に参加。集団に傾倒していきました。

 九六年には営業所長の地位も捨てて会社を退職。集団の事務局にはいり、集いや会員のまとめ役となってきました。九二年三月には集団で移動するキャラバンにも参加しています。

寄付1千万円

 男性の寄付は遺族の推定で一千万円以上。しかし、いま残されているのは集団の関連会社「ジェイ・アイ出版」の株券の体裁になっている二百五十万円と五十万円の領収書です。千乃代表が愛用している健康食品や水を紹介されれば、一回に十数万から五十数万円分も購入していました。

 会員向けのアンケートが残されていました。そこには、多くの会員が、代表の「千乃裕子」著の本を読んだことをきっかけに入会していることがわかります。

 集団には、出版部門のほか、会員勧誘の窓口として「正法中央センター」、寄付金窓口として「日本正法基宇協会本部」があり、健康食品の通信販売を担当する「ジェイ・アイ通販」「オーベルテール」、講演会への参加を会員に呼びかける「未来政経研究会」も。

 全国はいくつかのブロックにわかれ、男性の活動時には、ブロック長、主宰、世話役、協力会員の段階がありました。

反共ビラまき

 集団のなかでは、千乃代表を「先生」または「T様」、白い綿布を「卵」、ビラまきを「ジョギング」などと呼んでいました。まいたビラが遺品のなかにありました。それは「共産党、民主党議員を国会から放逐を!」「日本共産党には絶対『ノー』」などという見出しを掲げた反共ビラ。内容は「カルト共産党にご用心」などという荒唐無稽(むけい)なものでした。

 その後、男性は、がんが再発し体調が悪化。入院し、寝たきりになりました。病院の治療を信用せず、健康食品数種類を通販で買った水に混ぜて飲んだり、電磁波を恐れて病室を白い綿布で埋めました。

 家族の都合もあって転院。ホスピス病棟へ。それでも集団の会員四、五人が現れ、男性を病院から連れ出し、自宅に戻しました。翌日、転院前の病院に戻ることができましたが、集団の反社会性が現れた事件でした。

 この事件をきっかけに、男性も看護師に「変な宗教に入って、家族に迷惑をかけた」と語るようになったといいます。男性の遺族は、「集団は反対する家族とは引き離そうとする。秘密主義です。家族崩壊においこまれた」と振りかえりました。


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