日本共産党

2003年5月18日(日)「しんぶん赤旗」

日本共産党員の誇り胸に

クラボウ人権裁判原告が手記 (上)

伊藤建夫さん

いわれもなく夢断たれ半生かけ差別とたたかう


 「日本共産党員であることを理由に、差別的な処遇をおこなってきたことは違法」−。大阪地裁は十四日、繊維大手のクラボウが、同社に働く日本共産党員の伊藤建夫さん(59)と宮崎周吉さん(54)に、二十五年以上つづけてきた思想差別、人権侵害を厳しく断罪しました。その二人の手記を紹介します。

 判決はほぼ完全に原告の主張を認め、「被告が原告らを共産党員であることを理由として、差別的な処遇を行ってきたことは、違法である」と断罪しました。

 裁判は三年ですが、実際には職場での人権侵害・差別とのたたかいは四半世紀以上になります。まさに半生をかけたたたかいになりました。

 このたたかいの原点は、入社した三十六年前にさかのぼります。労基法違反の研究所の労働条件是正、民社党一党支持を押し付ける労組幹部への批判、生理休暇取得、有給休暇取得、住宅手当の増額などの要求実現を求めてたたかいました。

 当時の研究所の所員に限っただけでも、多くの仲間の顔が思い出されます。思想信条は異にしても、「明るい民主的な職場、働きやすい職場を」の一致点でともに頑張ってきた仲間たちです。

 なかには自殺した者もいます。自殺未遂後、音信が途絶えた者、労務支配に絶望し転職した者、「合理化」人員削減のたびに無能力者よばわりされて去った者、職場の雰囲気の暗さから転職した者もいます。もちろん、今も差別に抗してたたかっている仲間もいます。

 私自身は子どものころからの「夢」でもあった科学者、技術者への道を何のいわれもなく断たれたこと、無能力者呼ばわりされて、「見せしめ的業務」を強いられたことへの無念さ、悔しさなどをバネとして、みずから職場に掲げた日本共産党の旗を倒すまいと頑張ってきました。

 この間、この旗印が鮮明であるかどうかが職場の労働者にとって、生き死ににかかわることも経験してきました。

 それは言い換えれば、無謬(むびゅう)主義をとらず、一貫して弱者の立場をとり、決して人民を裏切らない、何よりも侵略戦争に命がけで反対した日本共産党の一員であることへの誇りと、日本共産党への職場の労働者の信頼がそうさせるのでしょう。

 今回の裁判では、被告会社の無法、違法は許さないとの職場内外の支援の輪の広がりが原告の名誉の回復、そして何よりもこれ以上職場の民主主義の破壊、職場の無法や違法、憲法違反を許さないという運動になり、勝訴へと導いてきました。

 勝利判決後、クラボウは悪あがきしてすぐに控訴してきました。

 日本の民主主義を守るためにも負けるわけにはいきません。引き続き勝利確定まで奮闘をしていきたいと決意を新たにしています。


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