2003年5月16日(金)「しんぶん赤旗」
告発人の二人が、創価大グループの携帯電話通話記録盗み出し事件を捜査中の警察から「あなたの記録も調べられている」と知らされたのは昨年九月。「心当たりは?」、刑事の問いに「大いにある」と答えました。
告発人の佐藤せい子さんは、創価学会が「撃滅」の対象にする日蓮正宗の信徒団体・妙観講の副講頭。学会批判の記事を載せている月刊誌『暁鐘』編集長でもあります。「身辺を探られている」という体験を何回もしています。当事者以外は知り得ない電話の内容が学会系文書に載るというような例もありました。
もう一人のAさんは学会退会後「一緒には住めない」という夫と離婚。彼女が経営する学習塾の父母の間に「Aは精神病」といううわさが流されました。学会男子部員が自宅に侵入しようとしたり、買い物先で「先生(池田大作名誉会長)を信じないのか」とどなられたことも。あるジャーナリストの取材を受けると、学会外郭組織の幹部職員である前夫から「ブラックジャーナリストにかかわるな」と電話。前夫がなぜそんな情報を知っているのか、「ぞっとした」といいます。
『脱講闘争マニュアル』という学会内部文書があります。脱会者(死亡しておればその家族)のカードを作り、「原本は地区教宣部長が保管し、コピーを県に提出」すること。転居すれば「移転先の住所を確認」することなどと書かれています。「教宣部」とは、脱会者や敵対者の動静調査を専門にする部署。告発人の二人は、その主要ターゲットの立場にあるのです。
ところで―。実行犯として告発されたドコモシステムズの嘉村社員は二人の通話記録を盗み出すことはできても、二人の存在を知る立場にはありません。彼に二人の名前を教えたのは誰なのか。
そこで浮上するのが昨年、別件の通話記録盗み出し事件で有罪になった創価大グループ。このとき、嘉村被告に犯行を指示したのは創価大学生課副課長でした。創価学会全国副青年部長という要職にある同副課長のもう一つの肩書。情報収集機関「教宣部」(前出)メンバーという肩書です。
告発状は「嘉村に本件の実行をそそのかして共謀した人物が(同副課長ら)であることの蓋然性(確実性)はきわめて高い」としつつ、仮に別人物だったとしても「学会関係者の範囲内に属することは疑いがない」と述べています。
事件を解くキーワード、それは「創価学会」です。(つづく)