日本共産党

2003年5月12日(月)「しんぶん赤旗」

小泉内閣の米政策「改革」案

農と食 大変になる

農民連、食健連が署名運動


 小泉内閣の農業つぶし策である「米政策改革」にもとづく主要食糧法一部「改正」案の国会審議が始まります。米と水田農業への政府責任を放棄し、助成を削る内容です。具体的制度は概算要求にむけ論議されます。農民連や全国食健連は、「米と田んぼがつぶれる内容で、食の安定・安全が大変になる」と、食と農を守る運動を強めています。

「10年後大丈夫か」

各地ですすむ取り組み

 全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は、「日本のお米と食の安全を守る請願署名」を呼びかけています。同事務局には「日本の農業と食糧はこのままでは大変」との思いをこめた署名が寄せられています。

輸入米が増え国内は青刈り

 福島県岩瀬村に住む新日本婦人の会の片野ミチ子さんは昨年秋、収穫一歩前の稲を刈り取る「青刈り」処分を受けた場面を見ました。輸入米が増える一方で、減反面積が目標に達せず、国内米は捨てられる―。「大変なことになる」と実感し、農家中心に百人以上の署名を集めました。

 署名にいくと、兼業農家や高齢農家から「もう家族の分だけを作ればいい。出荷しても安くてしょうがない」という声がでます。ゆとりある備蓄と価格保障を求める国会請願署名を話すと、「二万円あれば、作り手も出てなんとかやっていける」と期待を寄せるといいます。

 村の特別栽培米「清流米」も下落して六十キロ一万六千円に。水田の転作作物として期待したキュウリやトマトも値崩れ。「大規模農家の方が先行きに不安を持っている。このままで十年、二十年後は大丈夫でしょうか」と片野さんは心配します。

 奈良市の法律事務所に勤める谷さゆりさんは、“農業を守るため頑張って”というコメントを添えて二十五人分の署名を全国食健連に寄せました。「農民連の機関紙を見て、国の姿勢を変えたいと思いました。安心・安全のためには少しでもみんなで声をあげることが大事」と語ります。

 新潟県の農協職員でつくる新潟農協労連は、学習もして署名を千五百人近く集約しました。

農家・農協がバラバラに

 同労連の荒井一弘書記長は、「政府の米政策改革では、農家がばらばらにされる」と危機感を募らせます。自民党や公明党の「改革」では、農業政策の助成対象から多くの中小農家を排除するからです。

 「家族農業をもとにしていた集落自体も農協もなりたたない。農協はどう農家とかかわりをもっていくのか、農家と話し合い、学習会を持っていく」といいます。


消費者もリスクを負う

千葉県の農家から声

 「消費者はどこから輸入されたか分からない米を食べる。農家はいま米価が安く大変だが、消費者もリスク(危険)を負うんじゃないか」。農民運動千葉県連合会の小倉毅書記長が同県の水田地帯の酒々井町で米政策問題を話すと、「地域の人に頼まれ、三fやっている」という農民(63)は、「先行き米価が高くなるわけない。損するから作るのは大変だけど、自分が作るのは安全でうまいからだ」と話します。

 「米政策の内容を初めて聞いた」という一・五f経営の農民(66)は、「若い人は田んぼをやらない。この地域は担い手がどうなっていくのか分からない」と顔を曇らせます。

 佐倉市の大規模農家を訪ねると、「国は百姓にただ努力しろ、努力しろというだけでなく、百姓として食っていけることをやれ」と語気を強めます。米のほか麦を転作作物として経営しており、「麦価が安くなってしまい増やせない。転作奨励金の予算を切られたらおしまいだ」といいます。


【請願項目】

 一、国の責任を放棄し、主食であるお米を市場原理にゆだねる米改革はやめ、国内生産・安定供給を確保できるよう、米のゆとりある需給と価格保障に責任を持つ政策に切り替えること。

 二、食の安全・安心・信頼を確保するため、実効ある食品安全基本法を制定すること。安全性に疑義があるものは認めないことを基本とした基準を作り、守らせる体制を強化すること。

 三、米をはじめ農畜産物の輸入を減らし、食料自給率を抜本的に向上させること。


農業つぶし反対 14日に中央行動

食健連、農民連

 全国食健連と農民連は十四日、国会や農水省にむけた中央行動を実施します。食糧法改悪や概算要求の検討、食料安全関係法案の審議にむけ、中央行動は、午前十一時には農水省前で要請。有事法案や労働法制改悪に反対する大運動実行委員会の行動に合流し、国会前座り込み、関係議員への要請、集会を行います。

 同日夜の日比谷野外音楽堂で開かれる「STOP有事法制緊急集会」に参加します。全国食健連は「請願署名を持ちよって『国民の主食・米つぶし許すな』の声を農水省、国会に届けよう」と呼びかけています。


小泉内閣 米政策のポイント

 政府は一九九四年に外国産米の輸入を決めました。食糧管理法を廃止して、主要食糧法を制定。米の下支え政策を廃止し流通も大幅に自由化しました。

 その結果、生産者価格(自主流通米)は、六十キロc全国平均で二万一千三百六十七円から一万六千二百七十四円(〇一年産)へと暴落しました。米の消費量も減る傾向にあり、水田の減反(生産調整)は九四年の六十八万fから百六万fに拡大しています。

 食料自給率(カロリーベース)は40%、穀物自給率は27%へと下がり続けています。

 小泉内閣が昨年打ち出した「米政策改革」案は、農家の苦境と農村の危機を救うのでなく、助成をいっそう減らし、政府の責任を放棄します。そのポイントを見ると―。

【政府が責任放棄する「米政策」の方向】

 ◆生産調整は農家・農協の責任で

 農家・農業団体の主体的推進を強調。2010年に国は手を引く(1年前倒しもあり)

 ◆米価下落・経営の対策は後退

 暴落の一部を補てんしてきた稲作経営安定対策は廃止

 “過剰”とされる豊作分は、主食で売れば60キロ1万5000円でも、加工用で3000円。売れなければ翌年はその分減反を拡大

 転作助成金を減らすため「産地づくり推進交付金」に

 「過剰米に関連する政策経費の思いきった縮減」を大前提にしている

 ◆中小農家切り捨てよ

 「担い手」をごく少数にせばめる計画づくりを地域に迫る。大規模経営に限った所得補てんというが、北海道10f、都府県4f、集落営農の形は20fで法人化という厳しい枠を設定(条件・金額は8月の概算要求で明確に)

 ◆外国産米は聖域

 米輸入が前提(WTO農業交渉でアメリカから圧力。現在、新潟県の生産量を超える77万トン輸入して“コメ余り”になっている)

 ◆大企業のコメ流通支配

 複数の米穀市場で商社や量販店の取引参入、米が買いたたきや投機の対象に。ニセ表示が横行の危険性(一方で、生産者の販売は届け出し帳簿を置く義務。不作時は罰則付き統制強化をする)


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