日本共産党

2003年5月5日(月)「しんぶん赤旗」

主張

こどもの日

権利条約を生かす社会を


 「アメリカの無法を許さない」「私たちの未来に戦争はいらない」と、ピースフルメッセージを学校で集め、参加した高校生――東京・渋谷で開かれた全国高校生平和集会に、八百人の高校生がつどい、平和な未来をつくりたいという熱いメッセージと力強く行動する姿が伝えられるなかで、きょう五日、「こどもの日」を迎えました。

子どもの声に耳傾けて

 日本のすみずみでも、よりよい教育、福祉、文化を子どもたちにと願う父母と関係者の努力が、確かな成果をつくりだしています。

 学力の問題や十年間で倍増した不登校など、「教育の問題を何とかしたい」「わかる授業を」という国民の強い願いが三十人学級実現の運動をすすめてきました。これまでに二十九道県で、少人数学級実施にふみだしています。

 長年にわたりとりくまれた乳幼児医療費無料制度は、今日、すべての自治体で実施されるところまで前進しました。「不況で家計がたいへんでも、安心して病院にかかりたい」という切実な願いにこたえて対象年齢を十八歳未満までひろげた自治体も生まれています。

 「働きながら安心して子どもを育てたい」と、保育園や学童保育づくりもとりくまれてきました。

 政府の態度はどうでしょうか。一九九四年に日本政府が批准した子どもの権利条約は、子どもも人間としての権利があり、国とおとなはこの権利を保障する義務と責任があるとうたっています。その実施状況について、日本政府は九八年に国連・子どもの権利委員会から、競争的な学校教育の改革や、退廃文化から子どもたちを守るとりくみでのたちおくれなどを厳しく指摘されました。

 この間、高校の学区制度の廃止、新学習指導要領などが実施され、「競争的な教育制度」の矛盾は拡大しています。学校週五日制も、子どもに新たな負担をうみだしています。小学五年生を対象におこなった昨年末の調査(国立教育政策研究所)では、「最近、疲れたと思うことが多い」が65%、「最近イライラすることが多い」が54%を占めています。

 メディアが子どもにあたえる影響、深刻な実態も、社会的な問題になっています。

 国連・子どもの権利委員会は来年一月、第二回政府報告書を審査しますが、日本政府が勧告にもとづき、どう改善したかが問われます。NGOからの報告も届けられ、子どもをめぐる事態を放置している政府の責任が、いっそう厳しく指摘されるでしょう。

 また、「世界子供白書2003」(ユニセフ)は、「子どもたちの声が聴かれなければならない」として「おとなの責務」と「本当の子ども参加」を強調しています。

 地域、学校、家庭で、子どもの声に耳を傾け、子どもの権利条約にそってよりよい福祉、教育、環境をどうつくっていくか、真剣な話し合いと共同を発展させていこうではありませんか。

不況から子どもを守る

 深刻な不況から子どもの生活と未来を守ることも緊急の課題です。親の過労死や自殺、リストラなどで学校をつづけられない子どもが増え、高卒の就職内定率も過去最低です。

 子どもが安心して学び生活できる条件と環境を保障することは政治の責任です。

 日本共産党は、あらゆる分野で子どもの権利条約が息づき権利が保障される社会にするために、国民のみなさんとともに奮闘する決意です。


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