日本共産党

2003年5月2日(金)「しんぶん赤旗」

解説

米主導で当事者参加せず


 公表された中東和平の「ロードマップ(行程表)」は、パレスチナ国家の独立と、イスラエル・パレスチナ両国家の共存という、中東和平にとって不可欠の課題を確認したことが特徴の一つとなっています。これらの点はパレスチナ問題解決で不可欠の課題です。

 アナン国連事務総長は、「行程表は、長く痛ましい紛争を終結させる好機を双方に提供している」とし、「双方が、この好機をつかむよう希望する」と述べました。

 しかし、これが紛争解決のための基本文書となるには、幾つかの問題があります。

 「ロードマップ」は、パレスチナ国家の実現について日程を定める一方で、パレスチナの民族自決権という基本点についてあいまいさをはらんでいます。

 これらの問題点は、米国が主導し、当事者のイスラエル、パレスチナが起草に参加していないことと、無関係ではありません。

 「ロードマップ」は実際には、パレスチナの意思とはかかわりなく、アラファト議長排除を押しつけるものとなっています。パレスチナの体制づくりで米国が拒否権を確保しておこうというものです。

 「ロードマップ」は、暴力の無条件放棄をまず着手すべき課題としてあげました。暴力の応酬をやめる必要性は明らかです。ただ、米政権がその必要性を「反テロ」の文脈だけで理解し、イスラエルの暴力を放置したまま、パレスチナ側だけに圧力を加えるなら、「ロードマップ」は結局イスラエルの支配訴えのための“行程表”になりかねません。

 ブッシュ米大統領は三十日の声明で、「米国はこの好機をものにするため全力をあげる」と表明しました。米国がイスラエルの武力停止に真剣に取り組むことで初めて、「ロードマップ」が現実性を帯びることになります。(ワシントンで浜谷浩司)


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