日本共産党

2003年4月2日(水)「しんぶん赤旗」

「福祉はぜいたく」と異常な切り捨て

石原都政 このまま続けていいのか


 大不況、医療、年金、介護などでの国民負担増と給付減…。いま、小泉内閣と自民、公明がすすめる冷たい政治から、住民を守る地方政治の役割が、ますます大きくなっています。東京都では、「何が贅沢(ぜいたく)かといえば、まず福祉」(『文芸春秋』一九九九年七月号)という石原慎太郎知事と「オール与党」のもとで、革新都政がつくりあげ、その後も都民の運動で守りぬかれてきた福祉施策が次つぎ切り捨てられ、国の悪政に追い打ちをかけて、都民を苦しめています。「いまこそ都政の大転換を」―日本共産党の若林義春都知事候補は、都民のくらしと福祉を守れの願いを担って奮闘しています。

都知事選の大争点

 石原知事は、シルバーパス(敬老パス)の全面有料化や、寝たきり高齢者への老人福祉手当の段階的廃止、障害者医療費助成の対象を縮小するなど、高齢者、障害者の命綱として、都民のくらしと命を支えてきた東京の福祉を軒並み切り捨てました(表参照)。その被害は百二十万人の都民に及びます。

 さらに、特別養護老人ホームへの補助は四年間で百八十一億円(85%)も削減。難病医療費助成の対象から慢性肝炎を除外、盲導犬の飼育代、盲ろう者のための通訳者養成講座の廃止など、福祉切り捨てはあらゆる分野に及んでいます。

 この四年間で、高齢者は三十二万人(18%)増加し、介護保険制度の導入などで行政の仕事が増えているにもかかわらず、福祉予算は逆に三百三十億円、6%も減らしています。自民、公明、民主など「オール与党」は、福祉切り捨ての予算にすべて賛成、石原都政と二人三脚で逆立ちした都政を進めてきました。

 石原知事は、今度の都知事選挙の公約で「第二次財政再建推進プランを策定」とのべ、事実上、さらなる福祉や教育の切り捨てを宣言。石原知事が再選すれば、私学助成の削減が狙われるほか、都民運動で守りぬいてきた福祉施設職員への人件費補助など、都独自の福祉が根こそぎにされかねません。


ムダはぶき福祉充実

若林候補、都政転換へ財源示す

 日本共産党の若林義春候補は、福祉・暮らしを都政の中心にすえた、都民に温かい都政への大転換を訴えています。

 “財政難”を口実に、冷酷な福祉切り捨てをすすめる一方で、一メートルで一億円もかかる高速道路建設をすすめ、入居のめどもたたないのに、五十五階だての超高層ビルを六十棟もつくる無駄な大型開発を推進する石原都政。若林候補は、この“逆立ち”を切り替え、「だれもが安心できる医療・介護へ、都の責任を果たす」と約束しています。

 日本共産党は、都議会で、都政の無駄をはぶき、くらしを充実する予算のくみかえ案を提案。年間六兆円(一般会計)の都の予算のわずか3・3%をやりくりするだけで、借金も減らしながら、四十をこえる暮らしの施策を充実できることを示してきました。(図参照)

 若林氏は、石原都政の税金の使い方を変えることで、すぐにでも実現できる暮らしの施策を公約しています。

 介護保険の負担軽減(四十四億円)、特養老人ホームの建設促進(七十二億円)、二人目の保育料無料(二十四億円)など、どれも待ち望まれている施策ばかり。都の予算を月三十万円の家計にたとえると、わずか千円程度のやりくりで実現可能です。


石原与党に担がれた樋口候補

福祉切り捨てへの批判なし

 石原都政の福祉切り捨ては、石原知事のいうことならなんでも賛成の都議会「オール与党」、自民、公明、民主などが知事と二人三脚ですすめたものです。

 今度の選挙で、石原知事が「共産党以外のすべての政党・会派が私の予算に賛成した」(三月二十八日)、「共産党以外全部、力を合わせてきた」(三月三十一日)といっている通り、異常な「オール与党」都議会で、石原知事の福祉切り捨てと正面から対決してきたのは日本共産党だけでした。

 この都議会「オール与党」の一員である、民主などの支持を受けているのが、樋口恵子候補です。樋口候補は出馬会見で「自民党さん、公明党さんも支持していただきたい」と語りました。

 樋口氏の公約には、石原都政の福祉切り捨てへの批判がありません。

 樋口氏は政府の審議会で、都の老人福祉手当切り捨ての先駆けとなる発言をし、医療費の負担増を当然とする発言をしてきました。それは、小泉首相や石原知事がめざすものと同じ流れのものでした。(別項参照)

●樋口氏の発言

 東京の「高額の介護手当」は「自立を阻害」

 「高額の介護手当を支給している東京都においても、特別養護老人ホームの入所待ちは解消されず、介護手当があるから家族関係もうまくいっているという話も聞かない」「寝たきり状態を継続させる方が現金給付を受けられるので、高齢者の自立を阻害するなど、介護の質の向上につながらない」(旧厚生省第三回老人保健福祉審議会介護給付分科会議事録 九五年十二月四日)

 「患者の側も痛みに耐えなきゃ」

 「現行の保険を国民皆保険として日本独特のこのアクセスのよさを維持しようとすると、患者の側も痛みに耐えなきゃならないとは思う」(第五回社会保障審議会医療保険部会議事録 〇一年十一月六日)


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