日本共産党

2003年3月29日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

深刻な高卒者の就職難

吉川議員 予算使って政府は本腰を

厚労相 若者の働く気持ちの問題


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質問する吉川春子参院議員=19日、参院予算委員会

 深刻な高校生の就職難。一月末時点の就職内定率は74・7%で、まだ五万人が職を探しています。十九日の参院予算委員会で、日本共産党の吉川春子議員がとりあげました。

深刻な事態

 吉川氏がまず示したのは、高校入学者の17%、約二十四万人が、就職・進学のルートからはずれるというデータです。吉川氏は、「健康・雇用保険や年金制度にも揺らぎを生じさせ、日本の将来にも大きな影響が及ぶ」と追及。政府の担当者は−−。

 戸苅利和・厚労省職業安定局長 高卒者の職業意識が十分形成されておらず、民間人やハローワーク職員による職業講話などを行っている。

 矢野重典・文科省初等中等教育局長 早期離職、フリーター志向の高まりなど、若者にしっかりした職業観、勤労観が身についていない。インターンシップ(就業体験)などで実際的知識や技能を習得し、望ましい職業観、勤労観を醸成することを期待している。

 どちらも深刻な現状認識はなく、就職難は若者の意識が原因と言わんばかり。施策も“意識の喚起”どまりです。高校生への求人は、一九九二年から二〇〇二年までの十年間に百四十万人以上減って七分の一になっています。吉川氏はこの現状を打開する必要性を強調しました。

 その一つとして、若者が生活費の心配なく受けられる職業訓練の実施をあげ、英、仏、独のように「日本でももっと予算を使って若者の雇用対策に乗り出すべきだ」と主張。ところが坂口力厚労相からとんでもない答弁が−−。

 坂口厚労相 若い人たちに働く気持ちをもってもらうことが一番大事。いろいろなものを並べても、働く気持ちにならなければなかなか就職しないわけですから。

 担当大臣がこんな認識では、政府の本格的な青年雇用対策は望めません。吉川氏は「“働く気持ち”では解決できない深刻な事態が進んでいる」と批判しました。

 吉川氏は、高校生の就職難を“好機”に、雇用期間が短期で切れる有期雇用を一気に広げようとする動きがあることを明らかにしました。示したのは、厚労省・文科省が昨年三月に発表した「高卒者の職業生活の移行に関する研究」最終報告。就職前に派遣労働者として一定期間働く紹介予定派遣も高卒者の「就職経路として検討に値する」と打ち出しています。

 吉川 長年違法だった紹介予定派遣を高校生にあっせんするのか。

 遠山敦子文科相 常用雇用を実現したいが、職業の機会も種類も少ない中、チャンスを与えるのが大事。

 吉川 紹介予定派遣は派遣労働者を企業が自由に選別でき、気に入らなければ受け入れを拒否できるなど、使用者に使い勝手のよいものだ。

 厚労省の担当者も「アメリカでは広く行われている」「派遣という働き方は社会的に定着してきた」などと合理化しますが、政府自身、先の「最終報告」で「有期雇用の求人が浸透すると、新規高卒者の求人自体が常用雇用中心から有期雇用の方に大きく移行してしまう可能性がある」と懸念を表明しています。

企業の代弁者

 遠山文科相も「一定期間後、正社員への登用制度があるかなどの条件を見て紹介する」と答えざるを得ませんでした。しかし坂口厚労相は−−。

 吉川 今度の国会には有期雇用の大改悪が出される。そこに十八歳の新卒者を投げ入れるのは適切ではない。

 坂口厚労相 就職がない人に一年なら一年働いていただき、経営者が「この子なら欲しい」、お子さんも「ここなら一生働いてもいい」となれば常用雇用に変わる。私はすべて有期雇用が悪いとは思わない。

 まるで企業の代弁者のような口ぶり。実際には、一定期間働いても正社員として雇用される保証はありません。

 「安い労働力を使おうということで労働法制の規制緩和をやってきたツケが若者にまわっている」−−吉川氏は厳しい雇用環境とかけ離れた坂口厚労相の甘い認識を強く批判しました。


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