日本共産党

2003年3月27日(木)「しんぶん赤旗」

主張

2003年度予算

戦争の陰で悪政の強要許せぬ


 二〇〇三年度予算案の審議が大詰めを迎えています。

 日本経済の落ち込みは、失業が過去最悪水準で個人消費も設備投資も冷え込むなど、ますます深刻です。アメリカの無法な戦争で世界と日本の経済が被る打撃への不安も高まっています。

 こういうときに、社会保障と税制の改悪で、合わせて四兆円以上の負担増を国民に押し付ける予算成立を強行するなど断じて許せません。

家計の痛みに無関心

 予算案に盛り込まれた国民負担増がくらしに与える影響は深刻です。

 医療では四月からサラリーマンらの健康保険本人の窓口負担を二割から三割に引き上げます。病気になっても医者にかかるのをがまんする受診抑制を広げて、国民の健康悪化とともに医療費増大による保険財政の悪化を招くことは必至です。

 年金は物価下落を口実にして給付を0・9%引き下げます。現に受給している人の年金が引き下げられるのは初めてです。

 介護保険の保険料値上げが実行されれば、年金生活者にとっては引き下げられた年金から値上げされた保険料が天引きされることになり、二重の痛みを強いられます。

 雇用保険では、失業が深刻になっているにもかかわらず失業手当を削減します。

 税制では発泡酒・ワイン、たばこの増税、家族を含めると約四千万人に影響が出る配偶者特別控除の廃止が家計を直撃します。免税点引き下げなど消費税の特例縮小は、不況に苦しむ中小零細企業の経営難に追い打ちをかけずにはおきません。

 見過ごせないのは、これだけの負担増を押し付けようというのに、小泉首相は“家計だけが問題じゃない”と開き直り、その影響を真剣に考えようともしていないことです。

 日本経済は、不況と身勝手なリストラで雇用者所得が減少を続ける異常事態に陥っています。そんなときに国民に巨額の負担増を押し付けるのは、歴代のどの自民党政権もやらなかった暴挙であり、きわめつけの愚行というほかありません。

 日本共産党など野党四党は、予算の組み替え案を提示し、サラリーマンらの医療費三割負担の凍結を求める法案を提出しています。与党三党は、凍結法案の審議入りさえかたくなに拒否して、国民負担増を強行しようとしています。

 負担増の影響をまじめに考えようとしない、負担増を回避する対案が提示されているのに取り上げようともしない―。首相と与党三党の態度は、家計が受ける痛みなどどうでもいいといわんばかりです。

 日本経済の六割を占める家計を顧みないで経済の再生を語ることが、いかに現実を無視した空論かは明らかです。くらしと家計を軽んじる政党や政治家に日本経済のかじ取りを任せてはおけません。

混乱を増幅するだけ

 アメリカのイラク攻撃による株式市場の混乱に際して、小泉内閣は、来年度予算の成立が何より大事だと繰り返しています。

 国民負担増の予算は経済と市場の最大の不安要因にほかなりません。予算を強行することは、戦争とともに経済危機を増幅するだけです。

 アメリカによる戦争が引き起こしている経済の混乱に乗じ、くらしと経済を泥沼に引きずり込む予算の成立を強行するなど、二重三重に国民を愚弄(ぐろう)するやり方です。戦争による経済悪化の回避をいうなら、小泉内閣は無法な戦争への支持を撤回することです。


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