日本共産党

2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

西尾私案 春名議員が批判

「合併でよくなる」は机上の空論

「たたき台」といいつつ現場で強制するとは


 「強制合併をやめよ」「地方自治を守れ」−−市町村の怒りを代弁した日本共産党の春名真章議員の質問(衆院予算委員会と同分科会で二月二十六、二十八両日)。“合併すればよくなる”と西尾私案をテコに合併を押しつける政府の論理は破たんしました。

  ■自治体あればこそ■

 地方制度調査会の西尾勝副会長「私案」は、一定の人口に満たない小規模町村の権限を一律にはく奪し、他の自治体に強制編入することを提案。自民党内で一万人以下とする方針が出ています。

 一万人以下といえば全国で千五百四十六自治体(全体の48%)、四国では百二十五自治体(同58%)にのぼる−−春名氏がパネルで示した四国の地図は、赤く塗られた一万人以下の自治体が半分近くを占め、そのうち30%以上人口が減少している町村が八十六と四割を占めています。

 春名議員 歯を食いしばって努力している町村を強制的に切り捨てることはやってはならない。

 片山総務相 規模を大きくしていろいろなことをやってもらう。そのための基盤強化が合併だ。

 春名 現実と歴史を見ない空論だ。「昭和の大合併」で地域がすたれていった事実を国民は知っている。

 「昭和の大合併」で高知県安芸市と合併した東川村では、合併当時二千八百四人だった人口が二〇〇〇年には五百六人と六分の一に激減。学校がなくなり児童数も三百九十七人が九人と四十四分の一に減りました。

 「役場も学校も働く場もあり、生きた自治体が踏ん張っている。そういうところをなくしていけば農山村は守れない」と春名氏は批判しました。

  ■合併のテコに■

 「(西尾私案は)一つのたたき台」と弁明する片山氏。春名氏は現場では正反対となっている事実を突き付けました。

 二月に長野県栄村で開かれた講演会で総務省の担当者は「私案といっても個人的な案ではない」「(合併しないと)権限を縮小して他の県か隣の大きなところが代わりにやる」とのべたのです。

 春名 国会では「たたき台」といいながら、下では今のうちに合併しなさい。これは強制だ。

 片山 合併して大きくなるところと何もしないところで差をつけることはある。

 質問に答えず、小規模町村つぶしを「差をつける」とごまかす片山氏。春名氏は「現場では合併に追いたてるテコに使っている。やめるべきだ」とのべました。

  ■憲法に照らして■

 憲法の定める「地方自治の本旨」に照らして、西尾私案が「たたき台」になるものなのか−−。

 春名 人口規模を決めて一律に権限をとりあげる西尾案は、団体自治の否定そのもので地方自治の本旨に反する。「たたき台」として俎上(そじょう)にのせるべきものではない。

 片山 西尾先生は議論を喚起しようと、ドラスティックというか極端なお考えを示した。

 団体自治とは、自治体が独自に意思決定すること。さすがの片山氏も「私もびっくりしたのは『一律に』というところ」といわざるをえないほど団体自治、地方自治の本旨のじゅうりんが明らかな西尾私案。これを既定方針のようにいって合併にせきたてる根拠はまったくありません。

 春名氏は、広く知られる『逐条解説地方自治法』で「地方自治制度の実態的内容を破壊し、その本質的要素を奪うような法律は憲法違反」とのべていることを紹介し、西尾私案は地方自治の本旨に反すると迫りました。

 「西尾私案は法律でも何でもない」「単なる試案、考え方」と弁明する片山氏。

 春名氏は「西尾私案を合併のテコに使うのをやめ、町村会や町村議長会の意見を最大限尊重すべきだ」とのべました。


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