日本共産党

2003年2月26日(水)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

名古屋刑務所暴行致死事件

受刑者守る最後のとりで

「情願」封殺した法務省

衆院予算委集中審議 木島議員の追及


 名古屋刑務所内の受刑者暴行致死事件で森山真弓法相の責任が議論になっている衆院予算委員会の集中審議(二十一日)で、日本共産党の木島日出夫議員は、受刑者が大臣に出した多数の「情願」を法務省が長年にわたって封殺していた問題を追及しました。

 情願とは、受刑者が刑務所内の人権侵害などについて、手紙で法相に直訴できる制度。年間三千件にも及びます。

 木島議員 情願は、監獄法に基づく受刑者の権利であり、(却下するか対応するかを)決裁する義務は法相にある。これを大臣以外の者に委任する法律はあるか。

 森山法相 法律はないそうだが、法務省の文書決裁規程というものがある。

 情願は、まず法務省の矯正局長が目を通し、さらに大事なものは事務次官、非常に大事なものは大臣に見せるやり方が、「昭和五十年代から続いてきた」(二十一日、衆院予算委、森山法相)といいます。

 森山法相自身、情願の制度そのものを知ったのは昨年の秋か夏ごろで、初めて読んだのは集中審議前日の二十日だとのこと。こうした事態を許した法務省の内部規則に、何の疑問も感じていないかのような答弁です。

目通すのは法相の責務

 木島議員は、法務省矯正局作成の研修教材を読み上げました。“情願は刑務所長の悪い行いを覆すために行われるもの”とはっきり書かれています。木島議員は「だからこそ法相以外見てはいけない。大臣以外の者が横やりを入れたのでは、情願の趣旨の根本が消えてしまう」と強調しました。

 森山法相は答弁につまり、「法律の細かい専門家ではないので何とも言えない」という始末。かわって出てきたのが中井憲治矯正局長でした。暴行致死事件について“法相に報告する必要はない”“それが私の信念”(十八日、衆院予算委)と大声を出し、批判が集まって陳謝に追い込まれた官僚です。

内部委任の根拠はない

 中井局長 法務省の職員は大臣の補助機構、いわば手足だ。内部での委任、決裁は法務省の規程で定めている。

 木島議員 答弁になっていない。(職員に委任できる)法律の根拠を示せといっているのに、示していない。

 中井局長が同じ答弁を繰り返したため、野党席からいっせいに抗議の声があがり、審議は十五分近くストップ。急きょ、秋山收内閣法制局長官が議場に呼ばれることになりました。

 秋山長官 「専決の制度」といって、大臣の権限事項の内部委任を受け、その省の局長などが、内部的な意思決定を行う制度がある。法律に明文の根拠はないが、恐らく戦前から行われている。情願については、法務省が判断すべき話だ。

 木島議員 一般的に、明治時代から、そういう勝手な解釈、運用をしてきたというだけの話だ。情願とは受刑者が獄中で命を守る最後のとりでであり、そんなに生易しい権限ではない。

 法律解釈の責任者としてかりだされた秋山長官も、法律に大臣の権限を職員に委任できる“明文の根拠はない”と認め、森山法相、法務官僚の言い分は完全に破たんしました。重大事件を組織ぐるみで隠ぺいしてきた法務省のあり方、これを放置した森山法相の人権軽視の姿勢が、くっきり浮かび上がりました。

 木島議員は、「情願は、受刑者が刑務所長の非道、監獄官吏の間違いを直接法相に知ってもらう権利であり、それに目を通すのは法相の責務だ」と力説。法相としての資格が問われていることを厳しく指摘しました。


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