日本共産党

2003年2月13日(木)「しんぶん赤旗」

医療費3割負担凍結法案

許されない与党の審議拒否

国民の苦難とり除くのは政治の務め

自ら招いた破たん口実に強行とは


 日本共産党など野党四党が十二日に衆議院に提出した医療費の「三割負担凍結法案」に、自民、公明、保守新の与党三党は「国会で(四月からの実施は)決まったこと」(自民党・山崎拓幹事長)などと主張し、審議のテーブルに乗せることさえ拒んでいます。

 しかし、国民の苦難をとり除くことは政治の一番の務め。それを忘れて国民に「痛み」を強いるなど、本末転倒です。しかも三割負担にする健保法改悪は、衆参二度にわたって委員会採決が強行されて成立したもの。採決強行のため、質疑を途中打ちきった与党に、「決まったこと」などといって「凍結法案」の審議を拒否することは許されるものではありません。

自らの責任はおかまいなし

 自民党の中川秀直国対委員長は「一度決めたことを凍結するのは、医療制度『改革』そのものを否定するもの。政管(健保)も三千八百億円の赤字だ。医療保険制度は破産しており、それをどうするという対案を示さないのは無責任だ」(九日)とのべました。

 公明党の神崎武法代表も五日の記者会見で、「政府からも医療保険財政に余裕はなく、このまま放置すれば、パンクすると聞いている。(実施は)やむを得ないだろうと判断している」(六日付「公明新聞」)と表明。政権与党として国民に激痛を与えている自らの責任などおかまいなしです。

 与党側が持ち出しているのが“保険財政の悪化”という言い訳。しかし、保険財政を悪化させてきた責任は、当の政府・与党にあります。政管健保への国庫負担率は、保険財政の黒字を理由に一九九二年には16・4%から13%に引き下げられ、二〇〇二年までの十一年間で削減された累計額は一兆六千億円に及びます。国庫負担率引き下げの際、政府は保険財政が赤字になったら元に戻すと約束しましたが、悪化しても国の負担を戻さずにきたのです。約束を破ったままの与党に、対案を示せという資格はありません。

 三割負担引き上げを前提にした二〇〇三年度政府予算案では、年金、介護、雇用各保険で負担増・給付減をはじめ、庶民増税も目白押しです。こうした国民負担増が経済の六割を占める個人消費をさらに冷え込ませ、社会保険料収入の減少をもたらし、保険財政も悪化させる「悪循環」となっています。

 保険財政悪化の元凶をつくり出しながら、その悪化をタテに三割負担を強行しようという始末。国民をバカにするにもほどがあります。

 「一度決めたことだから」といいますが、介護保険料の徴収時期について、いったん決めた法律を変えて延長したこともあります。国民のために政府予算案を組み替えることは当然のことです。

3割負担凍結国民的運動に

 野党四党が法案という形で要求している三割負担凍結は、これまで自民党の選挙地盤とされてきた医療関係団体の要求となり、国民的な運動になっています。与党の地方組織にも激震が走り、自民党名古屋市議団は十日、三割負担凍結を政府に求めるよう同党愛知県連(会長・杉浦正健衆院議員)に申し入れました。

 与党が、「三割負担凍結法案」の審議入りを拒めば拒むほど、自らの失政の自覚のなさをさらけ出し、国民に「痛み」の一言で片づけようとする政党であると証明するようなものです。(高柳幸雄記者)


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