日本共産党

2003年2月11日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党は国民の立場で力を発揮している

政治戦勝利へ草の根から大波起こそう

東京・日本共産党演説会 不破議長の訴え(大要)


 日本共産党の不破哲三議長が八日の東京・日本武道館でおこなった演説(大要)はつぎのとおりです。

  • 日本の政治情勢には独特の特徴がある
  • 経済と国民生活――活路は日本共産党の前進のなかに
  • 日本共産党の野党外交――アジア・イスラム諸国に広がる友好と信頼の輪
  • 北朝鮮問題
  • 地方政治――住民の利益をまもる抜群の実績
  • 「先手必勝」を合言葉に、首都東京で草の根からの大波を

  •  みなさんこんにちは、日本共産党の不破哲三でございます。(拍手)

     きょうは、ひろい東京の各地から、この会場いっぱいに、本当にたくさんのみなさんがおいでいただきました。ありがとうございます。まず最初に心からお礼を申し上げます。(拍手)

    日本の政治情勢には独特の特徴がある

     いっせい地方選挙が目の前に迫り、総選挙もいつあるかわからないという状況にはいってまいりました。この選挙を前にした日本の政治情勢には、みんなでよく考えてみる必要がある独特の特徴があると思います。

     私がこの問題について東京のみなさんの前でお話ししたのは、三カ月前、あの「赤旗まつり」の「東京躍進のつどい」のときでした。そのとき私は、いろいろな新聞で「政党の衰弱」とか「政策の埋没」とかが言われていることをあげて、「いまの日本の政治には大きな特徴がある」と話しました。

     一つは、与党・野党の多くの政党が、内政でも外交でも「自分はこういうことをやるんだ」という明白な目標をもっていない。ちょうどあのときは国政補欠選挙が全国各地でやられた直後でしたが、その選挙で語るべき争点をもっていない、そのことがあまりにもはっきりしたので、戦後日本の政治でも異例なことだといって、「政党の衰弱」ということがマスコミでも大きな話題になりました。

     もう一つ、その中で「衰弱」していない政党がある。「埋没」していない政党がある。内政でも外交でもはっきりした目標を国民の立場で持っていて、政党らしい政党の仕事をちゃんとやっている政党がある。私は、それが日本共産党だということを、そのときみなさんに訴えました。(拍手)

     マスコミのある方からは、「日本共産党は、どんな情勢のもとでもブレない、揺れない、しっかりした足場に立ってものを言っている。この特徴が日本の政治にじわりじわりあらわれてくるんじゃないか」。こういう批評もいただきました。

     私は日本の政治のこの状況は、いよいよ選挙戦が近づいた今日、ますますはっきりしているということを、痛感しています。

     きょうはその問題について、三つの分野――国民の暮らしと経済の問題、外交と平和の問題、東京の地方政治の問題――この三つの分野について、話したいと思います。


    経済と国民生活――活路は日本共産党の前進のなかに

     まず、経済と国民の暮らしですが、本当にいまの日本は大変な状態に陥っています。

    収入は五年連続の減少、失業は“石油ショック”時の三倍

     国民の暮らしの目安として政府が発表しているものに、サラリーマン世帯の実収入という数字があります。これがこの五年間、毎年毎年下がって、五年間でとうとう六十八万三千円も減りました。この数字を政府が発表しはじめて長くなりますが、こんなことは、いまだかつてなかったことです。しかも国民の暮らしの収入の減り方はどこまでつづくかわからないという情勢です。ここにもかつてないひどい状態があらわれています。

     それから、失業です。去年の完全失業者の数がこの間発表されましたが、三百五十九万人です。政府も失業の数の大きさになれてしまって、平気な顔をして三百五十九万人と言いますが、これはみなさん、本当に大変な数字なのです。

     二十世紀の後半といいますか、これまでの時期に、私たちは日本でいろんな不景気を経験してきました。七○年代には“石油ショック”という、いまでも話題に残る大不況がありました。ひどい不況でしたが、そのときの失業者数は一番多かった年(一九七八年)で、百二十四万人でした。十数年前には円高不況がありました。これも大変でした。しかし、そのときの失業者の数は、一番多い年(一九八七年)で、百七十三万人です。いまの失業者三百五十九万人という数字は、石油ショックの三倍、円高不況の二倍ということで、戦後の日本でかつて経験したことのないような失業の広がりです。高校を卒業して新しい職場につこうと思っても、まだ就職先が内定した方が半分の五割にしかならない、こういうひどい事態がすすんでいます。

    「小泉改革」の正体を、共産党は最初から見抜いてきた

     この不況の見通しについて国会で質問をしますと、小泉さんは「複合不況だ」、「ただの景気循環の不況じゃない」と、他人ごとのように言います。たしかに「複合」なんです。もともと景気が悪いところに、小泉内閣が景気をより悪くする政策を自分からやりだした。だから「小泉不況」といわれるのです。

     本当に、小泉さんが内閣をつくってからの不況の足取りはひどいものでした。

     実は、この同じ会場で二年前の五月十四日、演説会をやりました。小泉内閣が生まれてまだ二、三週間というときでした。そこで、「この内閣は不況をひどくする内閣だ」という話を、私はしたのです。

     なぜそう言ったか。

     いまでも小泉さんは、「この内閣で一番大事なことは不良債権の早期処理だ」と言っているでしょう。小泉内閣ができてこの声をあげたとたんに、中小企業の全国団体のある幹部が「これは中小企業つぶしだ」とただちに言いました。私も二年前のこの武道館での演説会で、「不良債権をなくさなければならないのはあたりまえだが、それは景気をよくしながらじっくり時間をかけてやらなければいけないこと。二年、三年と短い期限を決めてあわててやったら、必ず中小企業がつぶされるし、日本の不景気がひどくなる」、そういう話をしました。

     しかしみなさん、与党、野党を問わず、「不良債権を早く処理する」というこの方針が日本の経済を不況のどん底に落とし込む間違った方針だと、そのとき断言した政党が、日本共産党のほかにあったでしょうか(拍手)。残念ながら、野党の中でも当時は「これは結構だ」「しっかりやってくれ」という声が大勢でした。

     しかしみなさん、二年間たって、これが不況をひどいものにした、アメリカの注文で始めたことだが、こんなことは日本経済が必要とするものではなかったという結論は、いまでは、きびしい事実によって明らかになっているのではないでしょうか。

     実際、中小企業の状況は、本当に深刻な状態になっています。去年一年間の中小企業の倒産の数は、一万九千四百五十八件、バブルが崩壊してから最悪の数字となりました。今年はさらにひどくなるだろうといわれています。

     そして、そんなに中小企業つぶしをやり、日本の経済のあちこちにきしみ、亀裂、崩れを起こしながら、小泉さんが看板にした「不良債権の処理」は多少とも片付きつつあるのでしょうか。“「不良債権」というこの病気を痛みをがまんしてなおしてゆけば、明るい未来がくる”。これが「小泉改革」の看板でした。小泉さんがいうその重い病の治療はすすんでいるのでしょうか。

     「減らした」「減らした」といっても、景気が悪くなるために、減らすそばから新しい不良債権が生まれてきます。公式統計はまだ一年分しか出ていませんが、小泉さんが内閣をつくったときに三十三兆六千億円あった不良債権は、一年たったら、なんと四十三兆二千億円に、九兆六千億円も増えました。こんなことをやっていれば、「退治する」「退治する」といっている肝心の不良債権もどんどん増えるのです。

     政策の間違いは、私はいまではもう誰の目にも明らかになっていると思います。私どもが一昨年いったこと、こういう間違った政治をやめなさいということが、いま国民の大きな声になっているということを、私はまず、申し上げたいのであります。(拍手)

    国民が苦難にぶつかる時、それを取り除くのが政治の務めではないか

     こういうときに、政治は何をやる必要があるのでしょうか。国民が苦しみ、困難にぶつかっているときには、その苦しみと困難をとりのぞくのが、政治の一番の務め、政党の何よりの責任のはずであります。私どもは、一貫してそのことを主張してまいりました。

     しかし、小泉内閣、自民党と公明党のこの政権がやったことは、まったく反対のことでした。国民がこんなに収入が減り、企業が困難になって苦しんでいるときに、その国民にさらに重い経済的負担をかぶせる。去年、今年、来年、合わせて、全部で四兆四千億円もの負担を国民にかぶせる。こういうことを平気でやっているわけです。

     きのう志位委員長が国会でこの数字をあげましたら、小泉内閣の閣僚が「来年の分も入っている。おかしい」と言いました。小泉内閣が来年の分まで決めて、実行しようとしているのが、四兆四千億円の負担増なのですから、来年の話をするなといわれても、これは無理な話というものです。いろいろ言い抜けはしますが、自分たちが国民にかぶせようとしているのが四兆四千億円の新しい負担だということを、国会でもついに認めざるを得ませんでした。

     そこには本当に国民の暮らしと命にかかわる大問題が数多く織り込まれています。

     医療の問題では、昨年お年寄りの医療費が負担増になりました。今年、健康保険の本人負担が三割に引き上げられようとしています。年金も切り下げられようとしています。介護保険の保険料も上げられようとしています。そして、これだけ失業者が多くなっているというのに、「失業者が多くなっているから、失業手当を増やそう」ということではないのです。「失業者が多くなっているから、失業手当をわたす期間を減らして、もう失業なんかしていられないように仕向けよう」「わたす手当も減らして、早く就職するように催促しよう」。仕事口がないのですから、いくら“催促”してもそれで片が付くわけではない。しかし政府は、これを「雇用の促進」だというのです。

     こういうとんでもないことをやって、社会保障の国民負担を二兆七千億円も増やそうとしています。

     それから税金です。「増減税」「増減税」といいますが、減税のほうは大企業とお金持ちの方にいくだけ。増税はまるまる国民の側にくる。配偶者特別控除を廃止する、発泡酒やワイン酒の税金を上げる、等々で、増税一兆七千億円がまるまる国民にかかります。

     みなさん、不況で国民の収入が減っているときに、国民負担のこんな無法な増大を平気でやろうとする内閣は、実はこれまでの自民党の政権にもあまり例がなかったし、同じ資本主義国でも、外国でもほとんど例がない悪政であります。

     さらに、「不良債権の処理」という名目で、ちゃんと利子まで払っている、支払いもちゃんとやっている中小企業に、金利の値上げを要求する、「もう貸さない」と言って、貸金の取り立て、いわゆる“貸しはがし”をやる。中小企業が悲鳴を上げているときに、こういうことが政府の号令で平気でやられている。国会で質問されると、「セーフティーネット(安全のアミ)を張ってありますから安全です」と言いわけをしますが、こんなネットにひっかかって助かったという個人も企業もまったくないのです。

     私は、そういうむちゃなことをやってきたのが、小泉内閣、自民党・公明党政権の二年間だったということを、みなさんにはっきり申し上げたいのであります。(拍手)

    負担増凍結、増税中止など 日本共産党の緊急要求に共感が広がっている

     これにたいして、私ども日本共産党は、国民の暮らしを守る、国民の仕事を守る、いまこそ政治がこのためにはっきりした仕事をすべきだという旗を、しっかりと掲げてまいりました。そして、昨年九月には、どうしてもやらなくてはいけない緊急の要求として、四つの項目を掲げました。

     第一は、社会保障の負担増の中止であります。社会保険の国民負担を増やして、国民をこれ以上苦しめるな、ということであります。

     第二は、庶民の負担を重くする増税はやるな。第三は、中小企業つぶしの政策から、中小企業を守る政策に転換せよ。第四は、リストラの奨励ではなく、雇用を守り、失業者をしっかり支える対策の充実をはかれ。

     この四つの要求を掲げました。これが、いま大変な国民的な反響を呼んでいます。

     たとえば、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会――これは医療関係の主要な全国組織の四つで、これまでは、だいたい自民党の選挙地盤として、いろいろな形ではたらいてきた組織であります。この四つの組織が十二月十一日に共同声明を出しました。「医療費の負担増反対」「健康保険を負担三割にするな」。まさに私たちがあげた第一の要求そのままであります。

     それから十一月には、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会という、中小企業を中心にした四つの全国経済組織が、四団体そろって総決起大会を開きました。中心のスローガンは、「庶民増税反対」、私たちの第二の要求と同じことであります。

     みなさん、日本共産党が小泉内閣のやることに反対し、いま政治はこういうことをやるべきだと掲げたことが、これまで自民党の足場になっていたような全国団体の要求になっている。“もう自民党政治ではやっていけない”、この国民的な声の大きなあらわれが、ここにはっきりと出ているのではないでしょうか。(拍手)

     いま野党は四つありますが、率直にいいまして、小泉内閣にたいする見方、経済政策の大きな柱、残念ながらまだばらばらであります。しかし、その野党がどうしてもいま国民の立場に立つならば、これだけは力を合わせてやろうという政策共闘が、この一年ほどの間に、かなりすすみはじめました。この間の、補正予算のときには、「国民負担増反対」を共通の要求にして、野党の予算要求を出しました。そしてつづいていま、「健保三割負担凍結法案」の共同提出にとりかかっています。

     みなさん、日本共産党が掲げた国民の緊急要求は、国会の野党共闘にもはっきり生きて、いま国政を動かす力を発揮しつつある。これが政治の現実であります。(拍手)

    「日本改革」の明確な処方せんを持っている政党だからこそ

     「政党の衰弱」といわれるなかで、日本共産党がなぜこういう役割ができるのか。いうまでもなく、私たちがつねに国民の利益から出発し、国民の利益をいかに政治に生かすかを基本に考えて行動する、そのことのあらわれがここにあるといえるでしょう。

     しかし、それだけではありません。私たちが、いま日本の経済の重い病気の根っこはどこにあるのか、そこをしっかり診断をして、それを治す処方せんをもっている。「日本改革」という処方せんをもっている。経済改革の明確な目標をもった政党であるからこそ、私たちはいま、そういう役割を発揮できる。そのことをぜひ、見ていただきたいのであります。

     私たちは「日本改革」について、これまで機会あるごとに訴えてまいりました。その柱の第一は、税金の使い方の逆立ちを改めることです。税金というものは、国民の暮らしを支える社会保障を重点に使っているのが、世界のどこの資本主義国でも、おもな国では常識ではないか。日本のように、大型公共事業に税金の多くをつぎ込んでいる国はどこにもない。この逆立ちをただそうではないかということです。

     第二に、同じ資本主義国でありながら、日本では、職場でも市民の生活の中でも、国民の生活を守るルールがないし、あっても弱い。こんな恥ずかしい状態はヨーロッパにはないじゃないか。ルールなき資本主義をルールある経済秩序に変えようではないか、これも私どもが前から訴えていたことであります。

     これが私どもの「日本改革」の処方せんの二つの柱であります。

     みなさん、この目標をしっかりもって、いまの国民の暮らしと経済の困難の中、政党としてしっかりした方向を見定めているのが、日本共産党です。その立場で、大いに日本の経済を切り開くためにがんばろうということを、まず第一に申し上げたいのであります。(拍手)


    日本共産党の野党外交――アジア・イスラム諸国に広がる友好と信頼の輪

     世界の平和、日本の安全を守る活動ではどうでしょうか。

    イラク問題

    国連の査察を成功させることに平和解決の道がある

     いま世界で大問題になっているのはイラク問題であります。

     新聞やテレビでご存じのように、アメリカは、早くイラクに戦争を仕掛けたい。戦争をやる、戦争をやると、毎日のように叫んでいます。

     しかし、国連は、いまはそんな段階ではない、アメリカが疑いをかけている問題、イラクが核兵器や毒ガス兵器のような、大量破壊兵器をもっているかどうか、それをしっかり、国連の責任で、確かめる段階だ、そういうことを決めまして、イラクも受け入れて、「査察」ということをやっています。

     この間、一月二十七日に、二つの査察機関の代表が去年十一月からやってきた査察の中間報告を国連に提出しました。一つの機関である国際原子力機関(IAEA)の事務局長は、「査察は着実にすすんでいる。もっと続けるべきだ。ちゃんとした方法がとられ、イラクの自発的協力がえられれば、あと数カ月以内に、イラクに核兵器の開発計画がないということの確証がえられるだろう。その数カ月は、戦争を避けるための価値ある平和の投資となるだろう」、そこまではっきりのべた報告を出しました。もう一つの機関、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の委員長は、それほどはっきりした調子ではないが、「イラクは全体として協力的だ」といい、査察を成功させるためには、これこれが必要だという具体的な提案をおこないました。いまは、そういう段階であります。

     イラクが大量破壊兵器を持っているかどうか、国連がこれを査察によって確かめようということを決めた以上、この仕事をちゃんと継続させて、査察の機関が、あるかないかの答えをはっきり出すまで、待つのが当然であります。そして、あるという証拠がでなければ、いわば、家宅捜索をやったけれども何も出なかったということであって、一つの問題解決であります。そして調べた結果、万が一あったということになったら、イラクの受け入れた査察で明らかになった結果ですから、国連がイラクに命令してこれをとりのぞかせる、これで、平和的な解決の道が開かれるわけであります。

    小泉内閣のアメリカ追従外交は無責任のきわみ

     「査察」ということを始めた以上、時間がかかるから途中でやめろなどという筋合いは、どこにもありません。ところが、いま、アメリカが言っているのは、それなのです。

     アメリカは、もともと査察などやりたくなかった、早く戦争を始めたかった。ところが査察が始まってしまった。これが不満なのです。大統領は“いつまでも待つわけにはいかない”と言いました。なんで、待つわけにはゆかないのですか。査察機関の責任者が、あと数カ月、平和のために待ってくれと言っている。なぜ、待てないのか。「見つからないのは、ある証拠だ」(笑い)、こんな無法な論理はありません。

     そして、ここで暴発をすれば、ことはアメリカとイラクとの間の戦争にはとどまりません。イスラムの世界とアメリカ・ヨーロッパの間の対決の引きがねになり、世界が新たな紛争と対決のるつぼに投げ込まれます。そのことを世界中がいま心配しています。

     また、超大国アメリカが超大国なるがゆえに、国際ルールを無視して、勝手に戦争をはじめる。そんなことを認めたら、戦後営々(えいえい)と世界が築いてきた平和の国際ルールがぶちこわされて、斬(き)り取り勝手しだいの戦国時代に逆戻りします。これも世界が心配しています。

     だから、われわれは、アメリカのイラク戦争に断固として反対を貫いてきたわけであります。(拍手)

     そして、この問題は、世界の平和にかかわる大問題でありますから、世界の国ぐにが、みんな真剣にとりくんで発言しています。しかしその中で、はっきりした主張を示さない国が一つあるのです(笑い)。残念ながら日本の小泉内閣であります。

     国会でいくら追及しても、「まだ戦争は始まってないじゃないか。始まってない戦争に賛成、反対が言えるわけがない」。この一本やりであります。しかし、腹は決まっているのです。戦争が始まったときに備えて、テロ報復戦争のときに出せなかったイージス艦――アメリカ以外の国でこれをもっているのは日本だけという、最新鋭の装備の護衛艦です――を、アメリカのイラク戦争に間に合うように、インド洋まで早ばやと出したではありませんか。腹は決まってるんですよ。

     しかし、決まっている腹を、国会でも国連でも、「これが日本の主張です」と言って、説明することができない。なぜか。「アメリカがやるから賛成する」、これしか理屈がないからであります。みなさん、これは一番ひきょうなやり方ではないでしょうか。それからまた、世界の平和という問題にたいして、無責任きわまるやり方ではないでしょうか。(拍手)

    日本共産党は、中国、中東、南アジアで平和の国際合意を広げてきた

     私たちは、この問題について、「アメリカの対イラク戦争は反対だ」、「イラクの大量破壊兵器の容疑の問題は国連のルールで平和解決すべきだ」という立場を、早くから明確に打ち出してきました。打ち出しただけではありません。その方針を実行するための外交活動を積極的に展開してまいりました。(拍手)

     八月には、私は中国を訪問して、江沢民総書記とこの問題で会談をやりました。そしていろいろな角度からお互いの考えをぶつけ合ったなかで、江沢民総書記は「中国はアメリカのイラク攻撃に反対だ」と、日本共産党と一致する立場をはっきりと言明しました(拍手)。これは、中国がアメリカの軍事攻撃に反対だということを初めて表明した場になりました。

     また十月には、私たちは、東京選出の参院議員である緒方靖夫さん、党の国際局長ですが、緒方さんを団長とする代表団を中東六カ国に出しました。イラクにもゆきました。イラクの政権の代表にたいして、「国連の査察を無条件に受け入れるべきだ」「あなた方はいままで、世界をごまかしたり、だましたりするやり方をずいぶんやってきたが、もうそんなことはやるべきではない」、そこまで言ったのです。ほかの国に行って、イラクでそういう話をしたと言いますと、みんなびっくりするそうですが、「あなたがたはいままで世界をだましてきた、そんなことはやるべきではない」とイラクの当局者に言ったときには、相手側も、言ったほうも、さすがに緊張したそうであります。そのとき、イラク側は「無条件査察に応じる」と言明しました。

     アラブのその他の五カ国でも、イラク問題について話し合い、「軍事攻撃反対だ」という点で、完全な意見の一致をみたわけです。そのときに歴訪したのは、ヨルダン、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールという五カ国でした。

     サウジアラビアというのは、イスラム世界の盟主といわれる国で、そこを日本共産党が訪問して政府と会談したといいますと、事情通はみんな目を丸くして驚きます。なにしろこの国は、「共産主義者とは共に席を同じうせず」という態度をずっととっていた国で、戦後も、その立場からソ連とも中国とも長く国交をもたず、一九九〇年にようやく国交をもったという国であります。

     以前、湾岸戦争のときに、緒方さんが党の手紙を持ってサウジアラビアの大使館に行きましたら、大使が会ってはくれたのだが、五メートル以上近づかないというのです。長い机の両側に二人で座って、大きな声で話し合う。「なぜこんなことになるのか」といったら、「わが国は、共産主義者とは席は同じくしません」(笑い)との答え。席は同じくしなくても、室は同じくしてくれたわけですが、ともかくそういう歴史をもっていた国です。その国が日本共産党代表団の訪問を受け入れて、政府当局者がきちんと会談して、イラク問題で意見の一致を確認しあったのです。これまでの常識では考えられない、驚くべきことなんですね。

     十二月には志位委員長を団長とする代表団が、南アジア――インド、スリランカ、パキスタンを訪問しました。パキスタンというのは、軍事政権として有名なところです。報復戦争ではアメリカの最前線の基地になった国ですが、その国が、ちゃんと日本共産党代表団を受け入れて、「アメリカの軍事攻撃には反対だ」ということで完全に意見が一致しました。

     そういう外交を私どもは積極的にやって、アメリカの戦争の暴挙から世界の平和を守る活動を、この数カ月間、本当に全力をあげて展開してきました。(拍手)

     はっきりいって、こういうことをやっている政党は、日本にはもちろんないし、世界にも政党としてはあまりないと思います。

     この間に私が驚いたのは、日本の政府が「イラクにものを言いたい」ということで中東に総理特使を派遣した。ところが、イラクには行かないで、周りの国に行き、「イラクにこう言ってくれ」と頼んで歩いたということです。これは恥ずかしいことだと思いました。日本はイラクとは国交があり、お互いに大使をおいているのです。言うべきことがあるのだったら、堂々とイラクに行って言えばいい(拍手)。野党である私たちができることを、日本を代表する国の政府がなぜできないのか。私は、本当に、恥ずかしさというか、日本の外交の貧しさを感じます。(拍手)

     実は、こういう国ぐにの政府や国会との外交というのは、私たちにとっても新しい経験であります。実は、九九年、いまから四年前に、私がマレーシア、シンガポールを訪問したのが最初でした。そして、そのときも、初めて訪問した未知の国で、政権側に新しい友人ができ、親密な交流ができるという大変うれしい経験をしました。

     緒方さんは、そのときも一緒に行ったのですが、今度は中東と南アジアの九カ国を歴訪しました。全部新しい経験です。そのうちイスラム諸国は七カ国にのぼりました。そこはだいたい、共産党というものが存在しない国です。共産党が認められているのはヨルダンだけでした。あとは全部禁止されているか、共産党がない国です。そういうところへ行って、政権側に新しい友人ができるのです。緒方さんは出先から毎晩のように電話をかけてきましたが、毎晩「うれしい」「うれしい」の連続でした。(笑い)

     なぜ、日本共産党がこういう外交ができるのか。そのことも一言お話ししたいわけですけれども、第一の理由は、日本共産党が自主独立の党だということが、世界でかなり有名になっている、という点にあります。中東に行きまして、ソ連がアフガニスタンを侵略したとき、日本共産党はこれに断固として反対して活動したというと、たちまち仲間意識が生まれます。それからまた、中国の毛沢東派の干渉に対しても断固として反対した、同時に五年前に中国の側が過去の干渉の誤りを認めて、関係を回復し、いまお互いの信頼と友好の関係を築いているという話をしますと、これがまた、非常に太い信頼の基盤になるのです。つまり、ソ連であれ、中国であれ、大国のどんな干渉も許さず、問題が解決したら、その国と対等平等の立場で関係を結び、友好関係を発展させている、こういう自主独立の党だということが、いまサウジアラビアやパキスタンなどを含めたイスラム諸国、アジア諸国がわが党への信頼を深めている第一の原因であります。

     第二に、日本共産党の活動というのは、アジア諸国が日本にもとめているもの、こうあってほしいと期待している姿をそのまま体現しているのです。

     その期待とは、あの過去の侵略戦争をきっぱり反省して、新しい平和の道をすすむ信頼できる日本であってほしい、また、アメリカにばかり気をつかうのではなく、アジアの国ぐにと本当に心の通う交流のできる自主的な日本であってほしい、何かというと軍事力をひけらかすのではなく、どんな問題でも平和的な話し合いで解決する平和な日本であってほしい、ということで、そういう気持ちをみんなが持って日本にのぞんでいます。

     しかし残念ながら、日本政府の外交政策はそういう期待をすべて裏切ってきました。

     ところが日本共産党という党に会って、その姿を現実に知ってみると、自分たちの期待のすべてが日本共産党の路線と外交に体現されていることがわかる。そのことが、こういう交流が続々できる大きな基盤になっています。

     こうして日本共産党を気に入ってくれた国は、そのことをまわりの国ぐににどんどん宣伝してくれるんですね。たとえばマレーシアを訪問して、私どもはマレーシアとかなり仲良くなりました。そうしたらマレーシアの政府は、原水爆禁止世界大会に、大使クラスの外交官を毎年送ってくれるようになり、この面からも関係が深まっています(拍手)。そうしたらこの間、タイでアジア政党国際会議というものが開かれまして、日本共産党に初めて招待状がきたのです。緒方さんが招待に応じて参加して、「なぜ日本共産党に招待状が初めてきたのか」と聞きましたら、「マレーシアの推薦だ」という話でした。こうして、タイの政党の人たちと会って話し合ってみると、ここでもまた、これは信頼できる党だということになるのです。

     こういう形で自主独立のわが党の外交路線そのものが、新しい友人を世界各地に生み出す力になっている。このこともみなさん方に、この機会にご報告しておきたいわけでございます。(拍手)


    北朝鮮問題

     外交問題では、北朝鮮のことを話さないわけにはいかないでしょう。すでにいろんな機会にかなり詳しいことをのべておりますので、要点だけにします。ある党がいまでも熱心にデタラメをふりまいていますので、これだけはということをお話ししておきたいのです。

    自主的な党と迎合的な党との違いは、はっきりしている

     だいたい、日本共産党は世界でも自主独立で知られる政党です。どこかの外国に頭があがらなかったり、無理無体なことがやられていても、黙ってお世辞を言ったり、そういうことは絶対にしない政党です(拍手)。北朝鮮の問題でも、私どもは、そういう態度でのぞんできました。

     北朝鮮の国内のひどさや国際的な無法ぶりは、いまいろいろテレビでもとりあげられていますが、それが目に見えるようになったのは七〇年代以後です。具体的に無法がおこなわれたとき――ビルマ(現在のミャンマー)のラングーン(現ヤンゴン)でテロ爆破事件が起こされたり(一九八三年)、大韓航空機が爆破されたり(一九八七年)、日本海でわが国の漁船が不法な銃撃攻撃を受けたり(一九八四年)、そういうときに、正面からこれを批判したのが、日本の政党では日本共産党であります(拍手)。私たちは、そのことによって北朝鮮から野蛮な攻撃を受け、大論戦をしてまいりました。だから、八〇年代の初めから今日にいたるまで、北朝鮮とはなんの関係ももたないままでいます。

     しかしこの時期、つまり北朝鮮の無法が明らかになりだした時期に、「北朝鮮との窓口になる」と言って、卑屈な政党外交をやってきた政党がいろいろあります。代表的なのは、自民党と社会党ですが、公明党も、その一人でありました。とくに金日成崇拝という無法ぶりが明らかになった段階で、一九七二年に竹入委員長を団長とする代表団を送って、「金日成首相のチュチェ思想を指針として……社会主義建設で大きな進歩をとげたことに対し祝賀した」と言って、金日成をたたえる共同声明を出したのが、公明党でした。

     日本の政党でも、外国に対する自主的な立場と、迎合の立場とが、これぐらい明りょうに分かれているのであります。

    拉致問題でも、それぞれの党が果たしてきた役割は明白

     拉致問題についても、歴史ははっきりしています。いろいろ各地に疑わしい状況の行方不明者が出るということが起こりましたが、日本政府は、初めは、北朝鮮との関係をいっさい口にしませんでした。そのときに、状況を全部調べ上げて、われわれは警察ではありませんから、疑惑以上のことは言えませんけれども、これは、北朝鮮による拉致の疑惑があるではないかということを国会で追及し、当時の国家公安委員長(故梶山静六氏)に、「その通りだ」と初めて言明させたのが、一九八八年の共産党の橋本敦さん(参院議員、当時)の国会質問でした。(拍手)

     では、公明党は何をしたか。その翌年(一九八九年)、日本で拉致の実行行為をやったと疑われた人物が韓国で逮捕されたときに、韓国の大統領に、その政治犯の釈放をお願いする釈放要望書を日本の国会議員の何人かが出しました。その中に公明党の六人の国会議員が名前を連ねていました。

     拉致の問題でも、白黒の違いは、これぐらい明白であります。(拍手)

     拉致問題は重大ですが、これを解決する道筋は何かということが、つぎに問題になります。これは、交渉以外にありません。

     実は一九九八年に、テポドンの問題が起きて、日本と北朝鮮の双方で互いに軍事対決熱が盛りあがった時期があったのです。交渉など問題にならないといった状況でした。そのときに、私は、九九年の国会でこの問題をとりあげて、“相手が無法な国家であればあるほど、交渉ルートをもたないで、お互いに非難しあっているということが一番危険なんだ。韓国だって、アメリカだって、交渉のルートをちゃんともっているではないか。日本がやるべき交渉がある。拉致問題、テポドン問題、植民地の清算問題、そういう問題をすべてひっくるめて、国交回復の交渉を開始すべきではないか”。この提案を二度にわたっておこないました。

     そして、それがとりあげられて、その年の十二月に、超党派の国会議員団が北朝鮮を訪問し、その席で、政府間交渉のルートが開かれたのであります。そのレールの上に、去年の小泉さんの北朝鮮訪問がおこなわれたわけですから、この点でも、私どもの提案は現実政治を動かして、解決に道を開く役割をした、そういうことを、はっきりいって間違いないと思っています。(拍手)

    外務省も舌をまいた日本共産党の「断固」とした態度

     補足ですが、北朝鮮との交渉について、「断固たる交渉を」ということを言う人がよくいます。実は、断固か断固でないかということは、交渉にあたるときの姿勢が問題なのです。

     いまお話しした超党派代表団に日本共産党が初めて参加を求められまして、緒方さんと衆院議員の穀田恵二さんが参加しました。行ってみますと、儀式があるんですね。何かというと、金日成の大きな銅像がある。それから金日成の遺体をおさめた廟(びょう)がある。そこへ行ってお辞儀をすることと、金日成をたたえる言葉を書く、これが一つの儀式になっているのです。そのことは、そこで初めて聞いたことでした。

     それで日本の代表団の緒方、穀田の両氏は相談して、「代表団の団結を壊さないために欠席せずに同行する。しかしお辞儀はしない。言葉も書かない」、こういう態度を決めて同行したそうです。

     この態度というのは、行かないより目立つんですよね(笑い)。みんながお辞儀をしているときに、立って見ている(笑い)。みんながたたえる言葉を書いているときに、何も書かないで見ている。

     この儀式というのは、遺体をおさめた廟を訪問するときにはどこどこの角度から何回お辞儀するとか、全部決まっているそうです。他の代表の人たちはみんな決められたとおりその回数だけお辞儀をして、ほめ言葉をちゃんと書く。

     わが党の代表たちは、金日成時代にあれだけ攻撃を受けて、その問題が解決されてもいないのに、こんなことをするわけにはゆかないということで、きちんとした態度を通したそうですけれども、そういう筋道は筋道として通しながら、そのあとの会談のときには言うべきことを堂々と言いました。相手側はまじめに耳を傾けて、「大変重要なことを言ってくれた」と言ったそうですけれども、そういう筋を通した態度で交渉をしなければ、難しい相手にたいして、難しい交渉はできないのです。

     この点でも、交渉のまだ第一歩の時点ではありましたが、断固たる交渉の姿勢を示したのが日本共産党の代表団だったことも、ここであわせてお知らせしておきたいのであります。(拍手)

     そのことを聞いた外務省の幹部が、緒方さんに、「日本共産党の自主独立というのはそこまでやるんですか」と言って、舌を巻いたという話も後で聞きました。外交というのはそういう姿勢が大事なのです。

     いま、二つの外交問題をとりあげて、政党の立場についてのべました。野党の立場で、世界の平和や日本の安全の問題をとりあげて、他国の政府や国会とのあいだで、こういう外交活動を展開している党は、ほかにはありません。

     そして、私どもが訪問した多くの国で、日本政府のアメリカ追随ぶりやアジアへの無理解を嘆く声が聞こえるとともに、日本共産党への期待の言葉が寄せられることは、うれしいと同時に、大きな責任を感じさせられることでもあります。

     日本とアジアの友好と信頼関係の確立は、二十一世紀の日本の未来にかかわることであります。そのためにも、みなさん。日本共産党の躍進のために、奮闘しようではありませんか。(拍手)


    地方政治――住民の利益をまもる抜群の実績

     つぎに、東京の地方政治の問題ですが、いま政府と都政の両方から、冷たい風が区市町村と住民の暮らしにのしかかっています。

    都政では、福祉切り捨ての攻撃に一貫して反対

     都政での福祉改悪は、予算の福祉費が、四年間で三百三十億円削られたことにもあらわれています。福祉予算がこんなに削られたという都道府県は、ほかにはないでしょう。まだ全部の県の数字が発表されてはいませんが、大都市をかかえた府県のこれまでに発表された予算を見ても、来年度の福祉予算が四年前よりも下がっているというところはありません。ところが東京は、三百三十億円の削減です。

     この切り捨ては、保育、高齢者、障害者、医療など、全分野におよんでいます。そして、都政の場でこれに反対を貫いている政党は、六つの政党の中で日本共産党だけだということは、たとえば「都政新報」のような都政専門紙にもよく指摘されることです。

    区市町村での実績のいくつかをあげると

     私があわせてここで強調したいのは、こういう態度をとると同時に、日本共産党の議員は、どの区市町村でも、この冷たい風に抗して住民の利益を守るためにがんばって成果をあげている、そこには抜群のはたらきがある、ということです。

     全部の区市町村の実績といいますと、これは電話帳以上のぶあつい報告が必要になるでしょう。ここでは全東京規模でまとめていえる実績だけにしぼってのべたいと思います。

    乳幼児医療の無料化――全域でかちとった「就学前」までの前進

     一つは子育てにかかわることで、乳幼児医療無料化の問題です。いまこの制度は全国に広がっていますが、もともとは一九六八年、東京の運動から始まったことです。そして東京では清瀬市でまず一九七三年に実現しました。ほかの自治体でもよく似た経過をとったものですが、このときも、日本共産党議員団が議会で提案します。それには住民運動の背景がありました。これを議会では他党がよってたかって否決をするのですが、否決したあとで、この問題は無視できないというので、当局が自分から提案し、実施する。こうやって生まれたのが、清瀬市の最初の例でした。

     同じようなことがあちこちで繰り返されて、九四年には東京都でも制度がつくられるようになり、現在それが就学前まで広げられてきました。そして多くの区市町村で、それに所得制限をうずめるかさ上げをしており、いまでこぼこは多少ありますけど、全都で非常に高い水準で、就学前の児童の全体に対する医療無料化がおこなわれています。

     先日、日本経済新聞(二〇〇二年九月二十三日付)が少子化対策での自治体の行政サービスの実績を全国的に調べて、トップ二十四をあげましたが、そのうち二十が東京の自治体でした(調査対象は全国六百七十五市と東京二十三区)。ここには、乳幼児医療無料化の実績が非常に鮮やかにあらわれています。

     私はこの全国に誇るべき実績を切り開き、支え、どんなに反対されても粘り強くここまですすめてきた第一の功績が、日本共産党の各区市町村議員団にあるということを、申し上げたいわけであります。(拍手)

    「ぼろぼろ校舎」がこう改善された――公明党の「デマ」宣伝はデマだった

     つぎに小中学校の校舎のぼろぼろ状態の改善であります。

     四年前のいっせい地方選挙では、これが大問題になりました。日本共産党がこれをとりあげましたら、公明党が、「あきれた『校舎ぼろぼろ』のデマ宣伝」といった反共ビラを全都にまきちらして、「デマだ」「デマだ」と言いたてました。しかし最近では、公明党議員がこの問題をとりあげて質問する議会があるそうです(笑い)。この「デマ」宣伝は完全にデマだったことが、明らかになりました。(拍手)

     この四年間の実績をみますと、共産党の議員団が、公立の小学校、中学校千九百六十六校のうち41%にあたる八百十校を訪問して、実態調査をおこないました。ゆきますと「歓迎、日本共産党議員団様」と、どこかに旅行にいったんじゃないかと思うような看板が出されている学校もあったようですが(笑い)、どこでも大歓迎されました。なかでも、「汚い」「暗い」「臭い」の3Kトイレの修理改善に力を入れました。それまで、二千万円以上の規模の修理でないと国の補助が出なかったのを、井上美代さんの奮闘で国の制度も改善され、四百万円以上の修理にも補助がつくようになりましたので、小規模修理をふくめてかなり広くすすみました。このトイレ改修をおこなった学校数は、それまでの年間九十校台(九六―九八年度)から、百三十校台(九九―〇一年度)にまで増えたようです。こういう点で大きく教育環境の改善がすすみました。

     きょうも話を聞きましたが、「ホテルみたいだ」という子どもたちの声があるそうです。これまでトイレというのは学校のできるだけすみに置かれていたのが、いまでは子どもたちの社交の場として(笑い)、学校の中心にきっちりつくられているところが多い、それぐらい環境改善になったということを聞いてうれしく思っております。

     この点でも、こういう道を切り開いたのが日本共産党議員団であることは、これは誰しも認めざるをえないところでしょう。(拍手)

    介護保険の減免・軽減制度でも、全国に誇るべき実績が

     三番目は、介護保険の改善であります。これも住民運動と議会での日本共産党の奮闘が力になってかなりの前進をしてきました。

     介護保険の制度が発足されてはじめのうちは、保険料の減免、利用料の軽減について提起すると、「制度の根幹が崩れる」と言ってこれを拒否するというのが、だいたいのところ当局の言い分でした。他党も、自民党、公明党から残念ながら民主党まで、みんなだいたい同じ言い分で反対したと聞きました。しかし、議会でのわが党の論戦と住民運動の広がりが力になって実現に道が開かれ、他党の態度もだんだん変わってきました。

     現在どうなっているかといいますと、保険料の減免がやられているのは、東京の六十二の自治体のうち三十二自治体、51・6%です。利用料の軽減がやられているのは五十五自治体、88・7%です。

     これは全国からみるとなかなかの水準なんですね。全国では保険料の減免は自治体数の13・3%、それが東京では51・6%ですから、かなり高水準の実現です。利用料の軽減は、全国25・5%にたいして、東京では88・7%ですから、やはりこの面でも全国に誇るべき成果をあげている。私たちはこの面でも、100%の自治体で実現されるように、また減免や軽減の内容が実情により応えるものになるように、さらにひきつづき努力をしていきたいと思うものであります。(拍手)

    むだ遣い開発の凍結も事業費5,485億円の規模に

     四番目に、無駄遣いの大型開発をストップさせるという点でも、なかなかの実績があります。豪華庁舎の建設や私鉄と組んだ駅前再開発の見直し、見通しのない開発プロジェクトの中止など、この四年間に凍結させたり先送りや減額をさせたりした事業は、二十自治体、三十六事業、事業費総額五千四百八十五億円になると聞きました。あわせたらなかなかの大型プロジェクトです。それだけのものを、みなさんの奮闘で、くいとめました。これらの事業の区市町村の負担分が二千四百十二億円と聞きましたが、それだけ節約させて、住民のための施策の充実にまわす条件をつくったわけです。この面でも、わが党議員団が全都的にあげた実績は大変なものがあると思います。(拍手)

     ほかにも中小企業対策とか、議会改革とかいろいろうかがいましたが、ここでは四つだけに絞りました。

     ともかく「住民の要求の実現したところ、住民と組んだ共産党議員団の活動あり」、こう言って間違いない実績があげられています(拍手)。日本共産党議員団の前進なしに、住民のための政治の前進のないことも明らかであります。この面でも日本共産党の躍進で、新たな道をさらに開いてゆこうではありませんか。(拍手)


    「先手必勝」を合言葉に、首都東京で草の根からの大波を

     「政党の衰退」がいわれるこの時代、国民の利益を一筋に貫く日本共産党の役割がこんなにはっきりしている時代はないと思います。

     そのことを、実は相手側は一番よく知っているのです。“日本共産党の躍進の波が起きたら、これまでのようなことはできない”。相手側がそう心配するだけの根拠は、いまあげた政治各分野の事実のなかにはっきりあらわれています。

    「共産党打倒」だけが政治の目標だという政党――こんな政党を国民が必要としているだろうか

     そこで、相手側は、なんとか共産党の前進を抑えようと、必死の手を打ってきています。その先頭にたっているのが、公明党・創価学会の反共作戦です。

     私は、はじめに、「多くの党に戦略目標がない」と言いましたが、公明党の戦略目標ははっきりしているのです。「共産党打倒」が戦略目標であります。そして、その役割を自民党に売り込み、自民党にとってなくてはならない存在にして、政権与党の地位を永久化することです。つまり、国民がどうなろうが、自分の党利党略から自民党の悪政を支持して、共産党の打倒だけに熱中する。これが、この党と学会の実態であります。

     一体、こんな政党を、日本の国民が必要としているだろうか、いまこれが、問われているのであります。(拍手)

     私は、日本共産党を批判するなとは言いません。まじめな政策論争なら、百八十度違った立場からの批判でも、政治の筋道を明らかにするのに役立ちます。われわれは大歓迎であります。しかし、公明党・学会の批判は別物です。うそと承知で相手を攻撃する。これがやり口であります。

    病院問題での攻撃――国会でも見え透いた党略は打ち破られた

     ですから、北朝鮮での日本共産党攻撃のでたらめぶりが証明されてだめになったら、今度は病院問題です。

     川崎のある病院の事件を、西東京の選挙でとりあげました。「日本共産党員が存在している」病院で起きた事件だ、だから共産党に責任があると言って、西東京の選挙で川崎の問題を持ち出しました。そんなことをいえば、創価学会員は、公表されている限りでは、わが党の党員よりもかなり多いようですが、「創価学会員が存在している」病院で事件が起きたら、その責任を創価学会と公明党がとるのでしょうか。うかがいたいものであります。(拍手)

     医療事故というものは、いま全国的な重大問題です。国が指定して高度医療をになう特定機能病院とされている病院、そこだけでも二〇〇〇年四月から二〇〇二年二月の約二年間に、一万五千件の医療事故が起きています。

     起きた病院も、それ以外の病院も、事故の原因をつきとめ、再発を起こさないために何をなすべきか、懸命に努力をしている最中です。国民一人ひとりの安全にかかわる問題だからであります。そういう病院の努力を応援しないで、これを、無理無体なこじつけで、他党攻撃の選挙の材料にする、私は、ここには、この集団の人間離れした正体がまざまざと示されていると思います。(拍手)

     六日の国会では、公明党に同調して自民党がこの問題をとりあげました。

     七日のわが党の志位委員長の質問で、こういう問題にたいして政党はどういう姿勢をとるべきか、を明らかにしました。自民党議員がとりあげた最初の病院は大阪・堺のある病院でしたが、病院からの自主的な届け出に応じて、市が設けた専門調査班の責任者の先生が、徹底した原因究明と感染防止、その教訓の全国的な普及など、この病院の真剣な努力を高く評価したうえ、“こういうまじめな努力をやっている病院を報道が袋だたきにするようなことがあってはならない”と公式の報告書に書いていることを、志位さんは、国会に報告しました。そういうときに、国政はどういう態度をとるべきか、昨日の質問は、“あってはならない”とされた間違った道に立っているんじゃないか、このことを追及したのですが、問題をもちだした自民党席からもやじの声一つでませんでした。まさに、自分たちの無法ぶりが明らかになったという自覚が、やじの声がとまったところにあらわれていると、私は思いました。

     みなさん、国民の命と安全の問題でも、デタラメな党略の具にして恥じない、こういうやり方でおこなわれているのがこの攻撃であります。私たちは、こういうデタラメな攻撃は根こそぎ打ち破って、いまの政治の本当の姿を、また日本共産党の本当の姿を、ひろく国民のみなさんの間に広めてゆく必要がある、このことを強調したいのであります。(拍手)

    21世紀の新しい政治の展望は、死に物狂いの与党勢力を確実に打ち破る政治戦を通じてこそ、開ける

     これは大きな政治戦であります。しかしわれわれの側には、真実と道理があります。相手の側にあるのは党略とウソ偽りだけであります。勝利の条件は、十分にあります。

     ただここで一つ注意しなければならないことがあります。相手側は、いままでは、選挙戦がはじまってからこういうデマをふりまくことに力を入れてきました。最近は、どうもそれでは足りないと思いだしたようで、選挙戦がはじまる前に勝負をつけてやろう、選挙戦がはじまってから反撃したのでは手も足もでないところに、共産党を追い込んでやろう、これが彼らの新しい手口になっているようであります。それをはっきりさせたのが、西東京の選挙戦でした。

     「先手必勝」という言葉があります。いくら道理があり、勝利の条件があっても、遅れたのでは間に合わないのです。先手をとるために、選挙の勝利に必要な仕事を、早くやり遂げようではありませんか(拍手)。これを合言葉にしたいと思います。

     とくに、多くの知人友人に声をかけ、日本共産党の立場を知らせ、候補者への支持をひろげる活動をどんどん広げて、まず、いま掲げている目標を一カ月間でやりとげ、さらにそれを新たな足場に、選挙戦に向けて、いっそう大きな前進を遂げる。こういう活動に意気高くとりくもうではありませんか。(拍手)

     東京には、多くの日本共産党員、後援会員、赤旗読者のみなさんがおいでです。その一人ひとりが多くの知人友人を、東京のさまざまな地域にもっていると思います。草の根のこの勢力が、もっている力を存分に発揮し、あらゆるつながりをいかして、対話の輪を広げていけば、そして日本共産党支持の声を広げるならば、東京を動かす大波をひきおこせるはずであります。

     二十一世紀は、国民が主人公という民主主義の政治を、みんなの力でこの日本に実現すべき時代であります。その条件がいま発展しつつあることは、自民党政治の危機とゆきづまりにはっきりと示されています。そしてその道は、間違った政治にあくまでしがみつき、死に物狂いでこれを守ろうとする自民党・公明党などの与党勢力を、一つひとつの政治戦で確実に打ち破ることで、一歩一歩開かれてゆくものであります。

     みなさん、いっせい地方選挙と総選挙、どちらも国民の利益と日本の未来がかかった大事な政治戦であります。この選挙戦での勝利を、首都・東京で、私たちがもっている知恵と力のすべてを注ぎ込んで、勝ちとろうではありませんか。(拍手)

     みなさんの、ご奮闘とご協力をお願いして、話を終わるものであります。どうもご清聴ありがとうございました。(大きな拍手)


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