日本共産党

2003年2月4日(火)「しんぶん赤旗」

主張

陸前高田市長選

住民の共同が政治の流れ変えた


 岩手県陸前高田市の市長選で、広範な市民におされ無所属で立候補した、日本共産党前市議の中里長門氏が現職市長を破り当選しました。全国で十人目の、日本共産党員首長の誕生です。

開発優先への批判

 陸前高田市は三陸沿岸の風光明美なところで、夏場には海水浴客でもにぎわう土地です。

 これまでの市政は、民宿がたくさんあるのに経営破たんした大型ホテルを買い取ったり、八億円もの費用をかけてタラソテラピー(海洋療法)施設の建設を計画するなど、リゾート開発優先の政治をすすめてきました。市長選は、そうした市政に市民が反対の声をあげ「政治を変えよう」と立ちあがった結果です。

 市民は昨年十二月の市議会に、二千六百七十七人の署名をそえ、タラソテラピー施設建設の可否を問う住民投票条例の制定を求めました。ところが市長は「必要ない」と主張し、議会も否決しました。そこでタラソテラピー建設に反対してきた市民が、共同してきた市議会の日本共産党と保守系の「爽風会」などに市長候補を要請、当時日本共産党市議団長だった中里氏が擁立されたというのが経過です。

 中里氏は、不要不急のタラソテラピー施設の建設を中止し、市民のくらしを応援する福祉などの政策をすすめることを訴えました。中里氏の当選について、地元の新聞がいっせいに、「有権者タラソに『ノー』」(「河北新報」)と報じ、「陸前高田市民は、開発優先のこれまでの市政ではなく、『変化』を選んだ」(「朝日」)と書いているのは当然のことです。

 現職市長陣営は選挙戦ではタラソテラピー問題などにはほとんどふれず、国会議員や県議などを投入し、市長選は「共産党員とのたたかい」などと争点そらしに終始しました。それが市民に通用しなかったことも選挙結果にあきらかです。

 中里氏が四期十六年の豊かな実績をもつ日本共産党の市議だったことは市民に知られています。市民はその中里氏を評価し、市長候補に擁立したのです。現職陣営の攻撃は、日本共産党に信頼を寄せた市民を攻撃するものでしかありませんでした。

 この点でも地元の新聞が、「保守的な土地柄にあって共産党籍があることは支持拡大に一定の制約になったとみられるが、改革への期待感がそうした壁も乗り越えた」(「岩手日報」)と書いているのは、率直な感想として注目されます。

 開発優先の政治がゆきづまり、住民のくらしを優先する政治が切望されるなか、いま「住民が主人公」の立場をつらぬく日本共産党の活動が評価され、日本共産党と保守層を含めた広範な無党派の人たちが手を組んで地方から政治を変える流れは、各地で相次いでいます。

 陸前高田市での日本共産党員市長の誕生は、そうした地方政治の新しい流れに、新たな一ページを書き加えたことはまちがいありません。

新しい流れを全国に

 自民党、公明党などが中心になった全国の自治体では、これまでの開発優先の政治のゆきづまりに反省せず、福祉・教育の削減につけまわしし、自治体本来の役割を投げ捨てています。自治体本来の姿を取りもどす、新しい政治の流れを全国に押し広げていくことが重要です。

 いっせい地方選挙が間近です。希望ある政治の流れをさらに大きくするため、いっそう力をつくそうではありませんか。


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