日本共産党

2003年2月3日(月)「しんぶん赤旗」

シベリア抑留者未払い賃金問題

早期解決の声高まる

小沢議員質問で立法化焦点に


 戦後、シベリア抑留で強制労働させられた「未払い賃金」を支払ってほしい――。平均年齢が八十歳を超える抑留体験者は、生あるうちに解決をと、国会前で座り込むなど世論にも訴えてきました。日本共産党も国会で政府の責任で解決するよう要求、立法府のはたすべき役割が焦点になっています。(菊池敏也記者)

 旧ソ連は第二次世界大戦後、シベリアを中心とする地域に関東軍の日本兵など六十数万人を連行、過酷な強制労働に従事させました。

 これはポツダム宣言にも、捕虜の扱いを取り決めた国際法にも違反するものです。

国際法根拠に

 抑留者は、冬には氷点下四〇度にも達するシベリアの酷寒にさいなまれ、食糧事情が悪く、飢餓状態に置かれました。加えて過大なノルマの重労働が課せられました。衛生状態も悪く、しばしば疫病が流行しました。こうしたなか、抑留者の一割にもおよぶ六万数千人が亡くなりました。

 国際法では、捕虜として抑留された国で働いた賃金は、帰国時に証明書を持ち帰れば、その捕虜の所属国が支払うことになっています。この国際慣習は、一九四九年のジュネーブ条約で明文化されました。

 日本政府は戦後、南方地域で米英の捕虜になった日本兵に対しては、個人計算カード(労働証明書)にもとづき賃金を支払いました。しかし、ソ連政府は抑留者に労働証明書を発行せず、日本政府も支払わないまま推移し、今日まで未解決となっています。

 ソ連崩壊後、ロシア政府は是正の措置をとり、九二年以後、労働証明書を発行するようになりました。すでに三万四千枚あまりを発給。ロシア側は、この労働証明書が政府の公式文書であることを認めています。あとは、日本政府の問題です。

政府責任迫る

 日本共産党は、シベリア抑留者への補償問題を重視してきました。小沢和秋衆院議員は昨年三月の国会質問で、日本政府がソ連政府に代わって未払い賃金を支払う意思があったことを示した連合軍最高司令官総司令部(GHQ)あての文書(四七年三月十八日付)の存在を明らかにし、日本政府の責任で「未払い賃金」問題を解決するよう迫りました。

 厚生労働省側は、この問題で外務省と協議すると約束。両省の協議で、外務省側は十一月下旬、「GHQ宛文書の取り扱い」という書面を示しました。

 同書面は「この文書がソ連側に伝えられたか否かを含め、GHQによりいかに取り扱われたかは明らかではなく、結果として、この提案にあるような了解が関係国間で成立したとは承知していない」と責任を回避。

 同時に「捕虜の抑留期間中の労働賃金を日本国政府が支払うべきかどうかの問題は、戦争損害に対する補償の一環をなすものとして、立法府の総合的政策判断に委ねられるに至った」と最高裁が判示していることを紹介しています。

 「立法府の総合的政策判断」にも言及していることは、「未払い賃金」問題の解決に大きな意味をもっています。

 厚労省が小沢議員に対して外務省との協議内容を説明したさい、「立法措置があれば、シベリア抑留者の賃金支払い等が可能」と明らかにしています。

個人資料提供

 厚労省社会・援護局は昨年十二月、ロシア政府から提供された四十七万五百三十八人分のシベリア抑留者等の個人資料を、希望する抑留者および遺族に提供する業務を開始すると発表しました。

 この個人資料の数は、政府が把握している抑留からの帰国者数(約四十七万三千人)にほぼ見合うものです。抑留者本人および遺族が、抑留の期間や場所などを確認することが可能になります。いっそう多くの抑留者・遺族が未払い賃金を要求していくうえで決定的な根拠になっていくものです。

 全国抑留者補償協議会(全抑協)東京都連合会事務局長の平塚光雄さん(75)は「新しい局面が開かれつつあることは、運動の成果です。『未払い賃金の支払い』の要求を一致点に、抑留体験者・遺族の運動をいっそう広げたい。各党国会議員への働きかけをつよめ、立法化の促進をはかるとともに、街頭での署名活動などにも取り組み、広範な国民にこの問題を知ってほしい」と話しています。

 問い合わせ先 厚生労働省社会・援護局業務課調査資料室資料第五係 電話03(5253)1111 内線3472


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp