日本共産党

2003年1月26日(日)「しんぶん赤旗」

山口組系ヤミ金逮捕

暴力団資金源の疑い

法定金利の1250倍も


 指定暴力団山口組系組長が複数のヤミ金融業者を指揮、組の資金源にしていたとされる出資法違反事件で、警視庁生活経済課は二十五日、違法な高金利で貸金業を経営したとして、東京都渋谷区本町、貸金業で山口組系陣内組組員福田健一容疑者(23)ら二人を出資法違反(高金利)の疑いで逮捕しました。

 調べに対し、二人は容疑を認めているといいます。同容疑者らは法定金利の四十八―千二百五十倍で金を貸し付けていたとみられ、同課は被害の実体解明を急ぎます。

 調べによると、福田容疑者は新宿区四谷の貸しビルで貸金業「アームズ」を経営。昨年六月下旬から九月下旬にかけ、広島県三次市の無職の男性(55)ら七人に対し、約七十八万円を貸し付け、法定利息の約七十五倍に当たる九十八万七千円の利息を受け取った疑い。

 広島県警が昨年十一月、複数のヤミ金融を経営していた山口組系暴力団組長を出資法違反容疑で逮捕。この組長は都内などで十数カ所のヤミ金融を実質的に経営。これらの業者は法定金利の約五十―八十倍で多重債務者を相手に資金を貸し付けていました。

 その後の調べで、逮捕された組長らが複数のヤミ金融業者を組織的に指揮し、利益を上部団体が吸い上げ、資金源としている疑いが強まりました。暴力団系のヤミ金融業者は顧客名簿を使って多重債務者を一元管理。客をキャッチボールする形で暴利をむさぼっているとされます。

 警視庁は暴力団系のヤミ金融業者の資金の流れなどを解明するため二十五日、愛知、広島、福島各県警と合同の捜査本部を発足させました。


解説

取り締まりは政府の責任

 暴力団がヤミ金融を使って荒稼ぎをする活動が活発化しています。しかし、行政や警察の取り締まり対策は極めて遅れており、暴力団の格好の資金源となっています。

 今回、摘発された業者は最大の指定暴力団・山口組系です。同組系で静岡県を拠点とする暴力団が関与するとみられる金融業者が東京都内に千社以上あると、一部報道で指摘されています。

 暴力団系のなかには、顧客情報の「裏センター」を設置している場合もあります。傘下の複数のヤミ金業者で、顧客の債務情報を共有。返済期限の近づいた顧客に、新たな融資を持ちかけるなど、一度つかんだ顧客は、違法な高金利で徹底的にむさぼり尽くしています。今回、逮捕された業者は、そうした暴力団による組織的ヤミ金融の一つです。

 ヤミ金融は、利息制限法(年15%―20%)や出資法の制限(年29・2%)をはるかに超える法外な高金利をむさぼる明白な犯罪行為です。さらに、脅迫的な取り立てで、貸金業法違反、脅迫罪、恐喝罪、監禁罪など、数々の犯罪に当たる場合もあります。

 ところが、警察に被害者が訴えても「民事不介入」などとして、とりあわないことも少なくありません。『警察白書』(二〇〇二年版)にもヤミ金融についての記述はなく、対策の遅れを物語っています。監督官庁の金融庁や知事も業務停止・登録取り消しなどの指導を十分に行っているとはいえません。

 こうした甘い対応が、暴力団の狙い目となり、無法な資金稼ぎの温床となっているのです。

 そもそもヤミ金融被害者は、自民党政治のもとで不況、生活苦からやむにやまれず借りた事例も多くあります。

 それだけに、暴力団系だけでなくすべてのヤミ金融を徹底的に取り締まることは、政府の当然の責任として求められているのです。(森近茂樹記者)


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