日本共産党

2003年1月19日(日)「しんぶん赤旗」

靖国神社がまつるA級戦犯とは?


 <問い> 小泉首相が参拝した靖国神社がまつっているA級戦犯とは、どういう人たちですか。(千葉・一読者)

 <答え> A級戦犯とは戦争犯罪人の処罰を定めたポツダム宣言にもとづき、極東国際軍事裁判(東京裁判)で処罰された日本の侵略戦争の中心的指導者です。同裁判所条例の第六条が定めるa、b、cのすべての罪が問われました。同条例でいうb、cにあたる罪が問われた一般将兵など(BC級戦犯)と区別しA級戦犯と呼びます。

 条例六条のaは「平和に対する罪」で、侵略戦争の計画や開始、遂行などです。bは戦争法規違反など狭義の「戦争犯罪」で、占領地人民の殺人、虐待、奴隷労働などを含みます。cは「人道に対する罪」で、「戦前若しくは戦時中にすべての一般人民に対して行われた」殺人、奴隷化などをさし、ドイツの強制収容所や、上官命令による実行犯にも適用されています。

 A級戦犯はアジア・太平洋への侵略戦争を計画・実施しただけでなく、二千万人以上の死者を出した日本軍の蛮行にも関与しました。軍の作戦書や記録、戦争中に連合国政府が送付した捕虜虐待への抗議文書など多くの証拠が提示されました。

 対米英開戦時に首相と陸軍相・内務相を兼任した東条英機ら軍・政府首脳の二十八人が起訴され、一九四八年の判決は東条ら七人を死刑、十六人を終身禁固、二人を有期禁固としました(二人は公判中死亡、一人は精神障害で免訴)。しかしドイツやイタリアと違い最高責任者・昭和天皇の罪は不問、禁固のA級戦犯ものちに釈放され、自民党政府の閣僚になった人もいます。A級戦犯容疑者であった岸信介は首相にもなりました。

 もっぱら天皇のために戦死した軍人などをまつる靖国神社は刑死・獄死したA級戦犯を七八年に合祀(ごうし)し、侵略戦争を“正義の戦争”とする立場を鮮明にしています。小泉首相の靖国神社への参拝強行は、同神社の侵略戦争肯定の立場を共有するものです。

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 〔2003・1・19(日)〕


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