日本共産党

2003年1月4日(土)「しんぶん赤旗」

北海道庁 “口利きメモ”にやりとり

「何とかなるのか」「よろしく」

黒塗り部分の公開不可欠


 黒塗りの企業名と並んでしるされた政治家の名前――。一面所報のように、二十九人もの政治家名が登場する北海道庁の内部文書は、政治家が特定企業について道側に「要請」したことを示す“口利きメモ”といえるものでした。その真相や実態を究明するためにも、黒塗り部分の開示が必要不可欠という声があがっています。


写真
政治家の“要請”と道側の生々しいやりとりが記録された道庁資料

 政治家が登場するのは、「本庁126―4」「上川支庁17」などと記載された七つの文書。

 「本庁126―4」には鈴木宗男被告、中川義雄参院議員と十六人の道議(うちOB二人)の名前が記載されています。その内容は公共事業の工事名や指名をめぐる政治家と道側の生々しいやりとりです。例えば…。

 ▽釣部勲道議(自民党)

 「8/19に二本、8/26に三本の指名がきて大変喜んでいるが、何とかなるのか」

 道側見解 「●工区の暗渠排水工事、●が有力である」

 ▽船橋利実道議(自民党) 「●工区●が受注して。ボーリング工事があるが、●は手伝いできるのか」

 道側見解 「横穴ボーリング工事があるので、業者間で話し合ってもらう」

 ●部分に記載されているのは、特定の業者名や工事名ですが、これが黒塗りされています。

 名前が出た議員は、別表のとおり。このなかには、「ある企業が受注したかどうか個人的に問い合わせただけ」(自民党・釣部道議)、「地域の人々の窓口として役所と懇談し、地元をお願いすることはあった」(公明党・荒島仁道議)などとマスコミに語る議員もいれば、「覚えがない」(自民党・船橋道議)と答える議員も。しかし、現在まで名誉棄損で訴えた議員もいなければ、「潔白」を証明する“最良の道”であるはずの文書全容公開を求めた議員もいません。

 道議会で「口利き」疑惑を正面から取り上げたのは日本共産党道議団だけでした。

 党道議団は本会議や委員会含め、二十回以上にわたって追及。自民党、公明党は質問すらおこなわず、地元紙は「追及姿勢が鮮明なのは共産党だけ。自民、公明両党は…現職の名前が登場するため全く質問に立たず、同様の理由で民主党・道民連合も及び腰」(「北海道新聞」)と論評したほど。文書開示請求をおこなったのも政党としては日本共産党だけでした。

 事情をよく知る道庁OBの一人はいいます。

 「口利きの対象となっているのは上川支庁発注の工事や農業土木工事だけではない。道発注の工事は多かれ少なかれ、こうした口利きが横行していた。大事なことは真相をかくすのではなく、すべての資料を公開してウミを出しきることだ」


“口利きメモ”に記載された名前

 【堀達也知事】

 【国会議員】鈴木宗男

 中川義雄 金田英行

 【道議】▽自民党 加藤唯勝 鎌田公浩 喜多龍一 瀬能晃 高橋一史 高橋文明 竹内英順 釣部勲 船橋利実 本間勲 見延順章 山崎正隆 ○藤井猛 ○若狭靖 ▽公明党 荒島仁 ▽民主党 井野厚 大内良一 鰹谷忠 佐々木隆博 鈴木泰行 段坂繁美 西本美嗣 ○大平盛雄 ○神本三也 ○舟山広治

 【政党】公明党

 (注)○印はOB


真相追及した共産党

 官製談合問題で損害賠償を求め、住民訴訟を起こしている橘晃弘・北海道民医連事務局次長の話

 道庁内部資料で、オール与党道政の北海道に口利き・利権政治が横行していることがますますはっきりしてきました。

 問題なのは、知事や議会がロクな調査もしないことです。道民の立場で真相を追及したのは日本共産党だけで、名前のあがった政党の議員は議会でまともに質問すらしていません。

 北海道では、道庁を舞台にした不正・腐敗が繰り返され、その一方で、道独自の乳幼児の医療費助成などに所得制限を持ち込むなど、医療や福祉が切り捨てられました。

 口利き疑惑の真相解明は道政を根本から直す大きなチャンスです。そのためにも、スミ塗りだらけの公開ではなく、資料の全容を明らかにしてほしい。「口利きしていない」と弁明する議員は、自ら資料公開を要求すべきでしょう。それでこそ、道民の納得も得られるというものです。


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