日本共産党

2002年12月26日(木)「しんぶん赤旗」

主張

小児救急体制

国民と医療現場の声に応えよ


 休日や夜間に子どもが病気になったとき、診てもらえる病院がない。深刻な社会問題です。救急医療にたずさわる小児病院も小児科医も減っているなかで、小児救急医療を支えている小児科医や看護師の過重労働も限界にきています。

急がれる体制の整備

 救急医療の患者の約半数は十五歳以下であり、その大半は幼い子どもです。救急医療体制としては、各地に軽症患者を受け入れる休日・夜間急患センターなどが、整備されてきましたが、小児専門医の配置や検査、入院の設備がないなど十分に対応できていません。救急病院でも小児救急がない病院が増えています。これでは幼い子どもに特有の容体の急変や重症患者に即応できません。

 大阪・河内長野市では、救急車で運ばれた病院に小児科医がいなかったため、子どもが亡くなった事件をきっかけに、新日本婦人の会の署名運動と日本共産党の議会での奮闘で今年四月から、小児夜間救急の毎日実施がはじまりました。

 各地で住民の切実な声をうけて、開業医と病院関係者の協力で小児救急医療体制を整備する努力も続いています。

 たとえば、消防署を窓口に指定病院を紹介、救急搬送している地域もあります。開業医の協力を得て病院に軽症な救急(初期救急)医療を併設し手術・入院にも対応した例や救命救急センターに子どものすべてに対応できる小児科医を育て配置するといったとりくみもあります。

 こうした地域では、自治体が小児救急医療体制を整備するための協議機関をもち、独自の予算を組み制度の確保をはかっています。

 政府の小児救急医療支援の事業内容では基準額も低く、抜本的に見直していくことが必要です。日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会は、早い時期から事態を憂慮し、連名で厚生労働省に早急な整備を求める要望書をだしてきました。日本小児救急医学会は、全国小児専門医療施設(小児病院など)が小児救急医療に本格的にとりくむことを提言しています。

 小児科医の医療技術を正当に評価した診療報酬制度の改善が急がれます。病状を訴えられず、医師の説明も理解できない子どもの診察や治療には人手も時間も必要です。

 小児科医一人当たりの診療収入は、内科や整形外科の六割といわれています。病院経営の赤字構造は深刻となり、小児科医療は「不採算」でゆきづまっています。

 そのため小児科のある病院は一九九〇年から16%も減少し、小児科医が常駐している医療設備の整った病院に患者が集中しています。当直小児科医は仮眠もとれず、翌日も診療業務で三十六時間という勤務が常態化しているといわれています。

 国・公立の医療機関が率先して小児救急医療体制を確立し、参加するように医師、看護師を増員して条件を整えることです。まして、国と自治体がすすめている小児医療の縮小、統廃合計画はただちに取りやめるべきです。

国の支援事業改善を

 共働き家庭が増え、不規則な労働形態がひろがって、夜間・休日に子どもの病気に気づくことが増えています。子どもの病気を気軽に相談できる二十四時間の窓口も必要です。

 幼い命と健康をまもるために、乳幼児医療費無料化の国の制度早期実現とともに、小児救急医療体制の整備、国の支援事業の改善を強く求めるものです。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp