日本共産党

2002年12月25日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党 知りたい聞きたい

中国残留孤児らの「戦時死亡宣告」とは?


 〈問い〉 中国残留孤児が国家賠償を求めた理由の一つに「戦時死亡宣告」をあげていますが、どういうことですか。(神奈川・一読者)

 〈答え〉 第二次世界大戦終了時、多くの日本人が中国に置き去りにされましたが、一九四六年から引き揚げが開始されていました。四九年に成立した中華人民共和国を日本政府は承認せず、国交断絶で引き揚げも一時中断しましたが、五二年に中国政府が残留日本人の帰国援助を表明し、両国の赤十字や日中友好協会などが結んだ協定によって、民間レベルでの引き揚げが再開されました。しかし五八年に日中両国は全面的な断絶状態となり、その後の中国国内の混乱や日本政府の中国敵視政策もあいまって、民間レベルの引き揚げも中断を余儀なくされます。

 そのさなかの五九年に、日本は「未帰還者に関する特別措置法」を制定します。この法律は、未帰還者のうち「生死が分明でない者」などの「戦時死亡宣告」を請求する権限を、厚生大臣に与えました(政令で都道府県知事に委任)。政府はまだ多くの日本人が中国に残されていることを知りながら、まともな調査もせずに“生死分明でない”“生存していないと推測される”などとして「死亡宣告」を出させ、戸籍から抹消させました。この措置は、長い間、残留日本人の帰国の道を閉ざすものとなってきました。

 十二月二十日、六百三十七人の中国残留日本人孤児が、国家賠償と謝罪を求め、東京地裁に提訴しました。原告団は、孤児に対する三度の「棄民政策」の責任を問うています。三度の棄民とは、(1)終戦前後の混乱の中で、中国に置き去りにしたまま放置した(2)「戦時死亡宣告」により死亡扱いされた(3)ようやく帰国しても政府の冷たい施策で困難な生活を余儀なくされている―ことを指しています。政府は侵略戦争を真剣に反省する立場に立ち、国策の犠牲となった残留孤児らに謝罪し、過ちを償うべきです。

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 2002・12・25(水)


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