日本共産党

2002年12月4日(水)「しんぶん赤旗」

主張

つめこみ保育

子どもに痛みをまわさないで


 「子どもたちが重なり合うように寝ている」「赤ちゃんが冷たい廊下で遊んでいる」――。いま、保育園でこんなことがおきています。

初めて定員数超える

 厚生労働省の調査で、全国の認可保育所に入所している児童の総数が定員を上回っていることが明らかになりました。一九五六年の調査開始以来初めてです。定員超過の保育所が半数を超えたのも初めてです。

 小泉内閣は「最小のコストで最大の受け入れ」と称して「待機児童ゼロ作戦」をすすめてきました。九八年に定員の125%まで入所させてもいいと規制緩和をし、さらに昨年、この枠もなくしました。戦後直後に制定されたままの低すぎる設置最低基準さえ下回る状況がつくられています。その結果、ゼロ歳児の定員が200%を超えている園が二十七園もある地域もうまれています。

 こうした園では、トイレが足りない、昼食の途中に掃除をして布団を敷かないと昼寝ができない、ロッカーやかばんかけはテラスに置く、ゼロ歳クラスでハイハイするスペースがないという放置できない事態が起きています。つめこみ保育はもう限界です。

 国会で日本共産党は、保育所が最低基準を満たすために階段や廊下の面積も保育室として計算して子どもをうけいれているなどのリアルな実態を示し、調査・改善をもとめました。これにたいして坂口厚生労働相は「本当に廊下や階段にまでその面積の中に入れておるというようなところがあるのかどうか…そんなことはないのではないか」と答弁し、あまりに実態を知らない無責任ぶりに傍聴者の怒りを買いました。

 「子どもを保育所に入れなければ仕事を続けられない」という願いは切実です。待機児童は増えつづけており、四月現在で全国に約四万人の待機児童がいます。

 待機児童やつめこみ保育の問題を解決するには、保育に必要な予算をつけ、保育所を緊急に新・増設して保育士も十分に配置することです。

 約四万人の待機児童の解消には、九十人規模で四百四十四カ所の保育所が必要です。これには約七百億円が必要で国庫補助分は三百五十億円程度、公共事業等予備費三千億円の一部をあてれば保育所の建設は可能です。七〇年代には毎年五百〜六百カ所がつくられましたが、その後減りつづけました。二〇〇一年四月には十六年ぶりに増加に転じましたが、その増加数は二十三カ所で、翌年も五十八カ所増にすぎません。

 また、産休明け保育や延長保育を実施する保育所に入所希望が集中します。現在、延長保育を実施している認可保育所は全体の四割にも満たず、乳児保育促進事業も全体の二割弱にとどまっています。こうした保育条件の拡充が必要です。

 保育時間の延長については、父母の勤務時間と通勤時間を合わせた十一時間を保育時間、それ以降を「延長・夜間保育」とし、これに必要な経費は補助金ではなく運営費として位置づけて国の予算を増やすことで可能となります。

新・増設は急務

 「散歩中、目が行き届かない」「昼休みなし。書類仕事は自宅へ持ちかえる」など、つめこみ保育は保育士の過重負担を生み出し、何よりも子どもの発達や命の危険と隣り合わせです。何かあってからでは遅いのです。

 すでに各地で入所手続きが始まっています。待機児童を一人もうまないために保育所の新・増設と保育条件の充実を実施させましょう。


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