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日本共産党

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➡2021総選挙 分野別政策一覧

7、女性とジェンダー

男女賃金格差是正、「痴漢」ゼロ、女性の人権、女性の政治参加・「パリテ」(男女同数)推進

2021年10月

 10月1日、日本共産党は「ジェンダー平等の日本へ いまこそ政治の転換を」を発表しました。コロナ危機であらわになった日本のジェンダー平等の遅れを大本から断ち切るために、政治の転換をめざすことを表明しました。

 日本共産党は、日本社会で劇的に高まるジェンダー平等を求める声、運動と力を合わせて、誰もが性別にかかわらず個人の尊厳を大切にされ、自分らしく生きられる、すべての人にとって希望に満ちたジェンダー平等の社会をつくります。来たる総選挙で、ジェンダー平等を大争点の一つと位置づけ、政治の転換を目指して全力をあげます。

 「ジェンダー政策」にかかげた内容に加え、次のような政策を、女性・国民のみなさんと協力して実現してゆきます。

男女賃金格差の是正をはじめ、働く場でのジェンダー平等を進めます

男女の賃金格差を政治の責任で是正します

 賃金の平等はジェンダー平等社会を築くうえでの土台中の土台です。しかし日本では依然として、大きな男女の賃金格差が残されています。正社員でも、女性の賃金は男性の7割 (厚生労働省 賃金構造基本統計調査)で、非正規を含む平均給与では、男性―532万円、女性―293万円(国税庁 民間給与実態統計調査)です。40年勤続で計算すると、生涯賃金では1億円近い格差になります。賃金の格差は年金にも連動し、大きな男女格差になり、定年まで働いても年金で生活できない女性も少なくありません。

 国連の女性差別撤廃委員会などからも、繰り返し、性別賃金格差を縮小するための取り組みを強化することが勧告されてきました。しかし日本政府は、条約を1985年に批准しながら、まともに具体化・実施に取り組んできませんでした。

 EU(欧州連合)では、女性の賃金は男性の8~9割になっていますが、この格差を重大な問題として、今年3月、男女の賃金格差公表を企業に義務づけ、透明化をテコに是正させるEU指令案を発表しました。是正しない企業への罰金、ペナルティーも含まれています。 このような格差の実態把握と公表、是正を企業に義務付け、国としても是正の行動計画を策定するなど、政治の責任で男女の賃金格差の是正をすすめます。

企業に男女賃金格差の実態の把握・公表と、その是正計画の策定・公表を義務付けます

―――企業に男女別平均賃金の把握・公表、格差是正計画の策定・公表を義務づけます。国は、その是正計画が実行されるように指導・監督を行います。

―――国としても、職種、時間当たり、企業規模、地域ごとに、男女賃金格差の実態を把握、分析し、国としての是正の行動計画を策定します。

女性が多く働く介護・福祉・保育などケア労働の賃金を引き上げます

 保育や介護など女性が多く働くケア労働は、高度な専門性をもつ仕事でありながら、低賃金であるのが当たり前にされ、平均給与は全産業平均より月約10万円も低いという実態が長らく放置されてきました。

―――国が基準を定めている介護、保育の賃上げや労働条件の改善、配置基準の見直しを国の責任で行うとともに、雇用の正規化、長時間労働の是正に取り組みます。

実質的な女性差別を横行させている間接差別をなくします

 明文上は性別差別でなくても、転勤や長時間労働に応じるかどうかで、基本給や昇給昇格での差別を当然とする就業規則や雇用慣行によって、実際には女性を差別し、賃金格差の要因になっている間接差別をなくします。

―――労働基準法をはじめ、男女雇用機会均等法(均等法)、パート法などに、間接差別の禁止、同一価値労働同一賃金の原則を明記し、差別の是正を労働行政が指導できるようにします。現在の均等法の間接差別の禁止の規定は、非常に限定的で、間接差別のほとんどが、事実上野放しになっています。「すべての間接差別の禁止」を明記し、結果として一方の性に不利益を与える基準、制度について、広く規制し、是正を図ります。

差別是正のための権限をもつ独立した救済機関を設置します

 労働者からの相談や差別の訴えは、都道府県におかれた国の出先機関である雇用環境・均等部(室)が受け付けています。しかし企業に是正指導や勧告をしても、使用者が従わなければ、それ以上、改善させることができません。是正を求めて裁判に訴えるのは非常に負担が重く、時間もかかります。

―――気軽に相談することができ、差別があったかどうかを調査、認定し、是正につよい権限をもつ政府から独立した救済機関を設置します。EUのように会社側・使用者に「差別はしていない」ことの立証責任をもたせます。

非正規から正社員への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件改善と均等待遇を進めます

 労働法制の規制緩和によって、女性の非正規雇用化が進み、働く女性の56%がパート、派遣、契約などの非正規雇用です。非正規から正社員への流れをつくり、非正規雇用の労働条件の改善、均等待遇を進めます。

―――労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、常用雇用の代替を防止する、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくります。

―――非正規雇用でも、同じ仕事なら正社員との時間比例で同じ賃金、同じ労働条件を保障するために、同一価値労働同一賃金、均等待遇の原則を、労働基準法、パートタイム労働法などに明記し、賃金や賞与、有給休暇、福利厚生などでの不当な差別をなくします。ILOパート条約を批准し、国際基準で法整備をすすめます。

―――不当な雇止め、違法・脱法的な働かせ方を厳しく取り締まります。有期雇用による不合理な労働条件を禁止した労働契約法第20条を厳しく守らせます。正規労働者の募集・採用の際には、その業務についていて正規を希望するパートや有期労働者などを優先的に雇うことを義務化します。無期雇用への転換が迫られる5年を前に非正規労働者を解雇するなどの違法・脱法行為を厳しく取り締まります。

―――最低賃金を1,500円に引き上げます。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など中小企業への支援を抜本的に強化します。全国一律の最低賃金制を確立して地域による格差を解消します。

家族的責任と働くことを両立できる労働のルールをつくります

 女性は、男性の長時間労働を支えるために、家族的責任をより重く担うことが当然とされてきました。男性も、子育てに参加したくてもできない実態が広く存在しています。長時間労働をなくすことは、ジェンダー平等社会の実現に不可欠です。

―――過労死をうむ異常な長時間労働をなくし、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」にします。いますぐ残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」にします。最低11時間の連続休息時間の確保、残業代の割増率の見直しなどで、長時間労働を是正します。

―――家族的責任を持つ労働者は、男女を問わず、単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止します。残業は本人同意を原則とします。これらの措置が、昇給昇格において不利益な評価とされることを禁止します。

―――子育て期の労働者の時間外労働の免除、短時間勤務制度はただちに小学校入学前まで延長し、さらに拡充をめざします。深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。「子ども看護休暇」は、学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親が各年10日以上に拡充し、所得保障を導入します。

―――だれでも安心して利用できる育児・介護休業制度へ改善をすすめます。有期雇用労働者が取得しにくい条件を改善し、6カ月以上勤続している労働者すべてに対象を拡大します。制度利用による不利益扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。

―――介護休業制度を拡充し、3カ月が限度となっている休業期間の延長、介護休業中の社会保険料免除制度の創設などをすすめます。

 *保育・学童保育については、20、保育 をごらんください。

ハラスメントを明確に禁止し、なくします

 ハラスメントは、女性が働き続けることを阻害する大きな要因の一つです。現行法は、予防措置などを事業所に義務づけているだけで、ハラスメント禁止が明文化されておらず、セクハラ、マタハラ、パワハラ、SOGI(ソジ)ハラなどが人権侵害であり犯罪であるということが徹底されていません。 

 セクシュアル・ハラスメントに対する刑事罰、民事救済の規定を持つ法律がない国は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本、チリ、ハンガリーの3カ国だけです(世界銀行、2018年調査)。ILO(国際労働機関)は2019年、「労働の世界における暴力とハラスメント禁止条約」(190号条約)を採択し、ハラスメント禁止規定をふくむ職場でのハラスメント防止のための実効ある施策を含む法整備を求めています。

―――ハラスメント禁止規定をもつ実効ある法整備を進め、働く場での暴力とハラスメントを広く禁じたILO190号条約を批准します。

―――ハラスメントの加害者の範囲を、使用者や上司、職場の労働者にとどめず、顧客、取引先、患者など第三者も含めるとともに、被害者の範囲も就活生やフリーランスを含め、国際水準並みに広く定義します。

―――被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関を設置します。

―――お茶くみやメガネ禁止、パンプスやミニスカートの制服などが女性のみに課されている職場での慣行をなくす規定を盛り込んだ法律を制定します。

―――マタニティハラスメント防止のために、妊娠中や出産前後の女性が安心して訴えることのできる相談窓口を増やします。当面ただちに雇用環境均等部(室)の体制を強化・拡充し、違反した企業名のすみやかな公表、罰則の強化などをはかります。

 *詳しくは、11、ハラスメント をごらんください。

自営業・農林漁業で働く女性の労働を正当に評価する税制改正をおこない、権利を守ります

―――所得税法56条を廃止して、妻などの家族従業者の働き分を正当に評価し、必要経費と認められるようにします。

―――国民健康保険に、病気や出産の時に安心して休める出産・傷病手当金制度をつくります。国民年金保険料に続いて、国民健康保険でも、出産前後の保険料免除制度を導入します。

選択的夫婦別姓、LGBT平等法を実現し、多様性が尊重される社会をつくります

 夫婦・家族のかたちはさまざまであり、それぞれの選択に寛容な社会をつくっていくことが急務です。

 夫婦別姓を選択できるようにしてほしいと、長年にわたって多くの人々が声をあげ、裁判に訴えることも含めて運動してきました。しかし自公政権はこの願いに背を向け続けています。世界では、法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけです。しかも結婚時に女性が改姓する例が96%と、明らかなジェンダー格差があります。

 同性婚を認める国・地域は、約30にのぼり、日本でも同性カップルを認証するパートナーシップ制度を導入する自治体が約120に広がり、総人口の40%をカバーしています(「自治体にパートナーシップ制度を求める会」調べ、9月1日時点)。

 すでに国民の間では、選択的夫婦別姓「賛成」が78%(20~30台)(2020年11月、早稲田大学法学部・棚村政行研究室/選択的夫婦別姓・全国陳情アクション合同調査)、同性婚「認めるべき」が86%(18~29歳)(2021年3月、朝日新聞世論調査)と、

 とりわけ若い世代の中で賛成の意見が多数であり、制度実現の機は熟しています。

 しかし、自民党は党内に強固な反対派議員を抱え、結局は選択的夫婦別姓も同性婚もLGBT差別解消法も、すべて実現にフタをしてきました。もういいかげんに実現しましょう。そのためには自民党政権を終わらせる以外にありません。

―――選択的夫婦別姓制度をいますぐ導入します。

―――同性婚を認める民法改正を行います。

―――LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的マイノリティーの権利保障と理解促進を図ります。

 *詳しくは次の項目をごらんください。 

 9、選択的夫婦別姓

 12、性的マイノリティー

「痴漢ゼロ」の実現、女性に対するあらゆる暴力を根絶します

 コロナ禍のもとで女性への暴力が増大し、DV被害相談は前年の1・6倍へ、性暴力被害ワンストップ支援センターへの相談は前年の1・2倍にもなっています。

 性暴力は取り返しのつかない「魂の殺人」であり、ジェンダー格差再生産の要因でもあります。その根絶は政治の緊急かつ根本の課題です。

「痴漢ゼロ」を政治の重要な課題に位置づけます

 女性や子どもにとって、もっとも身近な性暴力が痴漢です。日本共産党東京都委員会の痴漢被害アンケート調査(1,435人が回答)では、ほとんどの女性が経験し、その後の人生に深刻な打撃をこうむりながら、被害を訴えることもできない実態が明らかになりました。政治がこれを正面から問うてこなかったことが、痴漢を"軽い問題"扱いし、女性の尊厳を軽んじる社会的風潮を広げてきました。

―――痴漢被害の実態を調査し、相談窓口の充実、加害根絶のための啓発や加害者更生を推進します。そのために内閣府に担当部局を設け、警察庁や民間事業者とも連携しながら政府あげて取り組むことを求めます。

刑法・DV防止法を改正し、被害者支援を強めます

 「個人の尊厳と両性の本質的平等」をうたう憲法24条と国連女性差別撤廃条約や国際条約にもとづいて、人権を守る制度、法律を国際的水準に引き上げます。人間の尊厳が大切にされる社会をつくります。

 日本政府は、国連から、強姦(ごうかん)の定義を拡張するとともに、性犯罪の職権による起訴を確保するための刑法の改正を促進すること、配偶者強姦が明示的に犯罪化されていないこと、性交同意年齢が13歳のままであることなどの懸念の表明と是正勧告を受けています。#MeToo運動やフラワーデモなどで明らかにされた、犠牲者の切実な声と願いに寄り添い、被害の実態に見合った法改正を進めます。

*詳しくは、10、女性に対する暴力をなくす をごらんください。

―――刑法性犯罪規定について、暴行脅迫要件の撤廃、同意要件の新設、地位関係利用型の犯罪化、公訴時効の廃止、性交同意年齢の引き上げなど、性被害の実態に見合った改正を早急に進めます。

―――「性的な写真をSNSにアップされた」「女性が意見を主張すると誹謗(ひぼう)中傷が殺到」など、オンライン上の暴力は人の命すら奪いかねない人権侵害です。通報と削除の仕組みの強化、被害者のケアの体制をつくります。

―――DV防止法を改正し、緊急保護命令の導入や保護対象の拡大などを図ります。国の予算を増やし、関係諸機関と連携協力した切れ目のない支援、配偶者暴力相談支援センターの増設、24時間相談体制の確立などを進めます。民間シェルターへの財政的支援の強化、ステップハウスへの助成、公営住宅への優先入居など、生活再建のための支援を強めます。被害者や子どもの心身のケアをふくめ専門スタッフの養成・研修の充実、被害者に対する警察の対応を改善するため、性犯罪専門部署・担当官の設置と研修プログラムの充実などを行います。加害者更生プログラムの整備など、加害者の更生対策を強化します。

―――性暴力被害ワンストップ支援センターに対する予算の抜本的な拡充、若年女性やさまざまな困難を抱える女性がアクセスしやすい相談窓口、シェルターの拡充など、性暴力、DV・虐待被害者支援を緊急に強めます。

困難を抱えた女性への支援をつよめ、あらゆる女性の人権を守ります

―――生活困窮、DV被害、社会的孤立、性的搾取など、さまざまな困難を抱えた女性たちの支援法を制定します。差別や人権侵害を受けやすい、こうした女性の実態をつかみ、教育を受ける権利の保障、安定した雇用、健康支援など、実態をふまえた支援策の充実、差別の是正を図り、あらゆる立場の女性の権利を守ります。

―――女性の性をおとしめ人格をふみにじる性の商品化、性的搾取を許さず、法規制と相談・啓発の体制を強化します。

―――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)における児童ポルノの定義を、「児童性虐待・性的搾取描写物」(※)と改め、性虐待・性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子どもを守ることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます。

(※)ここで言う「描写物」には、漫画やアニメなどは含みません。詳しくは下記のリンクをご覧ください。

「共産党は表現規制の容認に舵を切ったのですか」とのご質問に答えて - 日本共産党 個人の尊厳とジェンダー平等のための JCP With You

 現行法は、漫画やアニメ、ゲームなどのいわゆる「非実在児童ポルノ」については規制の対象としていませんが、日本は、極端に暴力的な子どもポルノを描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等の主要な制作国として国際的にも名指しされており、これらを適切に規制するためのより踏み込んだ対策を国連人権理事会の特別報告者などから勧告されています(2016年)。非実在児童ポルノは、現実・生身の子どもを誰も害していないとしても、子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め、子どもの尊厳を傷つけることにつながります。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会的な合意をつくっていくために、幅広い関係者と力をあわせて取り組みます。

―――ストーカーへの迅速な対応を強め、被害防止をめざします。実効ある法改正を検討するとともに、被害者が相談できる窓口や体制の充実、関係機関の連携強化、被害者が一時避難できる施設の拡充、民間シェルターへの助成、加害者更生プログラムの研究・実施などを急いですすめます。

―――米兵による暴行を許さず、日米地位協定の見直しをすすめます。米軍の特権的地位を認めた日米地位協定によって、「公務中」の犯罪の第一次裁判権は日本側になく、「公務外」でも容疑者が基地内に逃げ込めば、日本側に身柄が引き渡されない限り起訴できません。不当な日米地位協定を抜本的に改正します。根本的には米軍基地があるかぎり米兵・米軍属による犯罪・事件はなくなりません。米軍基地の撤去が必要です。元凶である米軍基地を押し付けてきた日米両政府の責任が厳しく問われています。

日本が責任を負う戦時性暴力=「慰安婦」問題の解決を進めます

 日本軍「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなかに、植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などで女性たちを強制的に集め、性行為を強要した非人道的行為です。当時の国際法規からみても違法行為です。

 「慰安婦」とされたすべての被害者が人間としての尊厳を回復してこそ真の解決になります。政府は、女性の人間としての尊厳を踏みにじった歴史の真実に対して、「性奴隷制」の加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任をはたすべきです。

 国連からも、指導者や公職にある者が「慰安婦」問題に対する責任を過小評価し、被害者を再び傷つけるような発言はやめること、被害者の救済の権利を認め、十分かつ効果的な救済および賠償を提供すること、「慰安婦」問題を教科書に適切に組み込み、歴史の事実を子どもたちや社会に客観的に伝えることなどの勧告を受けています。

―――日本政府に、日本軍「慰安婦」に対する加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任をはたさせます。「軍の関与と強制」を認め、歴史研究や歴史教育を通じて「同じ過ちを決して繰り返さない」とした「河野談話」にそい、子どもたちに歴史の事実を語り継いでいきます。

 *詳しくは、65、歴史認識・「徴用工」・「慰安婦」・「靖国」 をごらんください。

リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点にたった政治を

 リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権です。性と生殖に関する健康や、それについての情報を最大限享受できることも、大事な権利の一環です。

 ところが日本では、性教育がきわめて不十分です。子どもたちは、人間の生理や生殖、避妊についての科学的な知識も、互いを尊重し合う人間関係を築く方法も、自分の心や体を傷つけるものから身を守るすべも十分に学べないまま、成長していきます。社会には意図的に中絶へのスティグマ(負の烙印〈らくいん〉)が広げられ、明治期から残る刑法の自己堕胎罪もあいまって、多くの女性が深い苦しみを抱えてきました。リプロ(性と生殖)に関しても、先進国ではありえない遅れを抱えているのが日本です。

 一方、過去1年間に金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者が5人に1人にのぼることが明らかになり(「みんなの生理」アンケート、2021年3月)、「生理の貧困」がみんなの問題として議論される大きな前向きの変化も生まれました。

包括的性教育の導入、権利として国際水準の避妊・中絶医療を保障します

―――子どもの年齢・発達に即した、科学的な「包括的性教育」を公教育に導入します。

―――避妊も中絶も、女性の大切な権利です。避妊薬と緊急避妊薬を安価で入手しやすくします。中絶薬を早期に認可し、中絶医療を国際水準まで高めます。

―――明治期から残る刑法の自己堕胎罪や、母体保護法の配偶者同意要件を廃止します。

―――生理用品の恒久的な無償配布、学校など公的施設のトイレへの設置を進めます。非課税の対象とするなど、より安価で入手しやすくします。

―――職場や学校などでも生理に関する知識や理解を深め、女性が過ごしやすい環境を整えます。

女性の健康を守り、安心して妊娠・出産できる体制を充実させます

―――安全な妊娠・出産のための周産期医療体制を充実させます。産科医不足を解消するために、国の責任による産科医の育成・研修をすすめます。地域の産院・産科病院への公的支援を強化し、産科・小児科・救急医療などの診療報酬を引き上げます。国公立病院の産科切り捨てをやめ、周産期医療を守る拠点として支援します。産科医の過酷な労働条件の改善をすすめます。女性産婦人科医の妊娠中の当直免除、産休・育休中の身分保障、代替要員の確保、職場内保育所の設置、職場復帰に向けた研修など仕事と家庭の両立支援をすすめます。助産師・助産院への公的支援をすすめます。医師と助産師の連携を国の責任ですすめます。

―――妊婦検診や出産費用の軽減、ベビー服や哺乳瓶などの育児用品を贈る制度の導入など、妊娠・出産にかかる経済的負担を軽減します。出産一時金の金額を大幅に引き上げます。

―――国の制度に位置づけられた産後ケアセンターを充実させます。心身ともに不調になりやすい産後の支援をつよめるために、国の予算を増やし、すべての自治体が退院直後の母親の心身のケアや育児サポート事業を継続してすすめていけるようにします。

―――不妊治療の経済的、精神的負担の軽減をはかります。保険適用の範囲の拡大をめざします。不妊専門相談センターの整備・拡充をはかります。リプロダクティブ・ヘルス&ライツにもとづいて女性の自己決定権を保障する立場から、カウンセリング体制を強化し、悩みや思いに寄り添ったアドバイス、支援ができるようにします。生殖補助医療においては、生まれた子どもの「出自を知る権利」保障など人権とリプロの立場をつらぬきます。

―――乳がん、子宮頸がんの早期発見と治癒率向上をめざし、国の予算を引き上げ、自己負担の軽減、無料化をはかります。子宮頸がん予防のHPVワクチンの積極的勧奨については、医学・医師団体が共同で早期再開を求める要望を出し、厚労省の専門部会でも検討がすすんでいます。引き続き、副反応被害者に対する補償と支援、治療体制の整備などの救済策を進め、副反応についての調査・原因究明を行いながら、希望するすべての人が安全・迅速に接種を受けられる環境の整備をすすめます。骨粗しょう症や甲状腺障害など女性に多い疾病の予防・健診の充実をはかります

―――女性が健康に生涯をおくるための支援、性差を考慮した医療の充実をすすめます。

―――働く女性の健康をまもります。長時間の残業や深夜労働による過労・ストレスで体調を崩す女性が増え、生理休暇も多くが利用できていないのが実態です。男女ともに長時間労働を規制するとともに、生理休暇を気兼ねなく取得できるように、制度の充実、周知徹底、企業への指導をつよめます。働く女性の長時間労働、深夜労働の実態・健康影響調査をすすめます。

どんな生き方でも安心して暮らせる社会へ、ジェンダーの視点で社会保障を充実します

 どんな生き方をしても、誰もが安心して生活でき、老後をおくることができる社会をめざしてジェンダーの視点で社会保障の充実をはかります。ひとり親家庭への支援の充実、女性の無年金・低年金の解決、女性の貧困の克服は急務です。税と社会保障は、「応能負担」「生計費非課税」の原則をつらぬき、無収入や低収入の人への免除・軽減制度、課税最低限の引き上げ、最低保障年金制度の確立など、総合的・段階的な制度改革をすすめます。富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただすことで財源を確保することができます。

ひとり親家庭への支援を拡充します

―――児童扶養手当を拡充します。支給額を第1子から抜本的に拡充し、所得制限の見直し、多子加算の引き上げなどをすすめます。児童扶養手当を支給開始5年後に半減する措置をやめさせます。18歳までの児童手当支給、就学援助の拡充、教育の無償化、給付型奨学金の拡充など、総合的な支援をつよめます。

―――父子家庭への支援をすすめます。一人で仕事と子育てをする大変さは、父親も母親も変わりません。父子家庭の実態に即した子育て支援・生活支援をつよめます。

―――長期の安定した雇用の確保、保育所への入所支援、安価で良質な公営住宅の供給など、安定した暮らしへの支援をすすめます。

―――「離婚後共同親権」を拙速(せっそく)に導入するのではなく、子どもの権利擁護の立場から、戦前の明治民法下で戸主が家族を支配していた時代の名残である「親権」そのものを見直します。民法の「親権」にかんする規定を抜本改正し、子どもの権利を実現する親と社会の責任・責務という位置づけを明確にします。面会交流や養育費の支払い、DV問題などについては、民法改正を待つまでもなく早急な改善をすすめます。

最低保障年金を確立し、女性の無年金・低年金をなくします

―――最低保障年金を確立し、低年金、無年金をなくします。パート労働者の社会保険加入の権利を保障し、厚生年金の遺族年金受給額に女性が働いて納めた保険料を反映できるようにするなど、公平な年金制度にします。当面、サラリーマン世帯で一定所得以下の配偶者(第3号被保険者)の保険料は、応能負担の原則で、高額所得の場合に応分の負担をもとめるしくみにします。全額国庫負担の最低保障年金制度に足を踏み出せば、女性の低年金や無年金の解決とともに、第3号被保険者をめぐる制度の矛盾、働く女性、自営業者や学生との「不公平」など現行制度の問題点を解決する道がひらけます。

―――女性の低年金の土台を引き上げるために、男女賃金格差の是正、パート労働者と正規労働者の均等待遇、最低賃金の時給1,500円への引き上げ、業者女性などの働き分を正当に評価する税制などへの改善をすすめます。

―――「自助、共助」の名で福祉・年金・社会保障制度の改悪、増税・負担増を進めることに反対し、ジェンダーの視点で、どのような生き方を選んでも安心して暮らせる制度、社会保障の拡充をすすめます。低所得者の税負担を軽減するために、課税最低限の引き上げをはかります。配偶者控除は、基礎控除と同様、最低限度の生活費に相当する額は非課税にするという「生計費非課税の原則」に立ったものです。何の代替措置もなく縮小・廃止すれば、この原則に反し、税負担を重くすることになります。所得税制の検討にあたっては、ジェンダーの観点と「応能負担」「生計費非課税」の原則をつらぬくことが必要です。

若い女性、高齢女性のくらしを守ります

―――貧困、生活苦に直面している女性、とりわけ1人暮らしの若い女性や高齢女性の生活支援をつよめます。「住宅手当」や公営住宅の保障、雇用保険適用条件の改善、失業・半失業状態にある女性の相談窓口の拡充などをすすめ、経済的に自立し、安定して生活できるように支援します。

―――コロナ危機で収入が減った家計への支援として、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を5兆~6兆円規模で支給し、国民の暮らしを支えます。年収1,000万未満程度の中間層を含め幅広く対象にします。生活が困窮している低所得者には手厚い支給をします。

―――生活保護は「生活保障制度」に名称を改め、必要な人がすべて利用できるように拡充します。

―――フードバンク、子ども食堂など民間の食料支援の取り組みに、助成や場所の提供など公的な支援を行います。

意思決定の場に女性を増やし、あらゆる政策にジェンダーの視点を貫く「ジェンダー主流化」を進めます

 90年代以降、世界は「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきました。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野で、計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくことです。

 そのためにも、政治家や、企業の管理職はもちろん、各種団体、地域など、あらゆる場面で女性の参画を進めることが求められています。意思決定の場に女性を増やすことは、ジェンダー平等を進めるために欠かせません。

政策決定、意思決定の場で、男女半々の実現をめざします

―――「2030年までに政策・意思決定の構成を男女半々に」の目標をかかげ、積極的差別是正措置を活用した実効性ある本気の取り組みを進めます。政府や自治体の行政機関、管理職、審議会などへ、男女の平等な参加をすすめます。政府と自治体が計画的に女性の採用、管理職への登用を行うようにします。民間企業に改善計画、数値目標の策定・公表を義務づけます。

―――政治分野における男女共同参画推進法の立法趣旨に沿い、パリテ(男女議員同数化)に取り組みます。民意をただしく反映するとともに女性議員を増やす力にもなる比例代表制中心の選挙制度に変えます。高すぎる供託金を引き下げます。

―――両立支援、セクシュアル・ハラスメント防止、議会の民主的改革などの条件整備をすすめます。

―――男女の固定的な役割分担意識の解消をめざし、あらゆる分野での男女平等の参加をすすめるうえで、法制度や支援策の充実を図るとともに、根深い男女の固定的役割分担意識を解消し、男女平等が当たり前になるために、憲法と女性差別撤廃条約にもとづいて、男女平等・ジェンダー教育、研修、周知・広報を、行政や自治体、教育機関、司法、警察をはじめとする専門機関、マスコミ、地域社会など、社会のあらゆる分野、場面で、積極的にすすめていきます。とりわけ若い世代のなかで男女平等教育を徹底していくことが、社会の各分野で男女平等教育、研修などをつよめます。

―――防災・復興に女性の意見を反映できるしくみをつくります。中央・地方の防災会議、避難所運営への女性の参加を促進します。

あらゆる政策にジェンダーの視点を貫きます

 女性差別撤廃条約を実効あるものにするため、「調査制度」と「個人通報制度」を定めた選択議定書を、早期に批准します。

―――選択的夫婦別姓制度の導入とともに、女性にだけある離婚後100日の再婚禁止期間の廃止や自己堕胎罪の廃止など、法律に残されたすべての差別的条項を改正します。女性差別撤廃条約にもとづいてあらゆる施策、法律を見直し、未批准のILO条約の早期批准をすすめます。

―――「特別定額給付金」支給で大きな矛盾と混乱をもたらし、憲法の両性の平等の見地とも反する「世帯主規定」を廃止します。

政策