2006年8月6日(日)「しんぶん赤旗」
安全教育なかった
プール事故 元監視員が証言
ずさんな管理の実態が明るみにでた埼玉県ふじみ野市立大井プールの死亡事故で、同プールの監視員をつとめた複数の経験者が、市から管理運営を委託された太陽管財から「吸水口の危険や救命などの安全教育もなかった」「緊急時のマニュアルも見たことがない」と、五日までの本紙の取材に証言しました。
昨年まで三年間、大井プールでアルバイト監視員をしていた女性会社員(18)は「京明プランニングの求人広告を見て応募しました。採用当時は高校生だった」といい、アルバイト監視員は高校生が主体でした。
女性会社員は「監視員には泳げない人もいた。採用のとき、水泳の経験や救命などの資格も聞かれなかった」。現場責任者が京明プランニングの社名入りポロシャツを着ていた記憶があると語ります。行政当局はこれまで「(京明プランニングの)現場責任者を太陽管財社員だと思った」(ふじみ野市教育委員会)と釈明していました。この証言で行政当局が丸投げを黙認していた可能性もでてきました。
監視員は流水プール横の三カ所にある監視台とブリッジのところで、「プールに飛び込んだり、プールサイドで走ったりしないように注意するのが仕事だった」といい、事故が発生したときのマニュアルは見たことがなく、「吸水口が危険だとは聞いていなかった。水が勢いよくでる排水口のところに子どもたちが面白がって集まるので、子どもが集まらないように口頭で注意するようにいわれていた」と話します。「何かあったときにはトランシーバーで連絡をとり、現場責任者から指示を受けるようにといわれていただけ」と語ります。
吸水口の格子状のふたの固定について、点検を指示されたことも、監視員が点検したこともないと証言します。
ふじみ野市の元監視員の男性(25)も「吸水口に子どもが強く吸い寄せられることは経験がある。でも危険だと教えられたことはなく、マニュアルもない。水中に落としものがないか、もぐって調べていたが、吸水口のふたの固定されているかを点検したことはない」と話します。
ふじみ野市は、太陽管財との管理委託契約のさい、監視員に日本赤十字社などの安全講習を義務付けていたのに、安全管理を丸投げされた京明プランニングは、講習受講者の採用や安全教育をおこなっていませんでした。行政当局も同プールに市職員を常駐させず、ノーチェックでプールの運営を丸投げしていた無責任な実態があらためて浮き彫りになりました。

