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2024年2月1日(木)

共同親権は「現実離れ」

法制審部会案 反対委員が会見

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(写真)会見する(左から)戒能さん、赤石さん=30日、東京都内

 離婚後も父母双方が子の親権者となる「共同親権」の導入に向け、法制審議会の部会が要綱案をまとめ、民法改定に動き出したことを受け、部会で反対票を投じた委員2人が30日夕方、東京都内で会見を開きました。強制的な「共同親権」導入ありきの議論であり、「子どもの利益や権利、福祉の視点が抜け落ちている」と批判しました。

 要綱案は、裁判所がDV(配偶者間の暴力)があると認めた場合は「単独親権」とするとしました。

 会見に臨んだ委員の一人で、お茶の水女子大学の戒能民江名誉教授(ジェンダー法学者)は、DVは身体的、精神的、経済的、性的と多様であり、密室で起きるため、現在でも離婚にあたり家庭裁判所での立証が困難であり、被害者と子どもが命の危険にさらされていると述べました。父母が対立状態にあっても家裁の判断で「共同親権」を適用するとした要綱案は「現実とあまりにもかけ離れている」と指摘。民法改定は、当事者、自治体などの支援現場、社会に「大きな変化をもたらす。その重大性を(部会の委員は)どこまで認識していたのか。大変、疑問だ」と述べました。

 NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は、部会では「子どもの権利」がいっさい議論されず、要綱案にも「子どもの意見表明権が最後まで入らなかった」と発言。「子どもの権利条約のある時代です。部会には、子どもの立場の委員がいるべきだった」と語りました。

 法務省は民法改定案を今国会に提出する方針です。議論の場は国会へ移ります。

 女性に対する暴力から被害者と子どもを守る活動を行うNPO法人「全国女性シェルターネット」の山崎友記子事務局長は「強制的な共同親権は阻止していきたい。活動を続けていきます」と語りました。


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