2022年10月29日(土)
青年が語りあう「日本共産党創立100周年記念講演」
私たちが次の100年つくらなきゃ
志位和夫委員長の日本共産党創立100周年記念講演「日本共産党100年の歴史と綱領を語る」について、若い世代の人たちに感想をオンラインで語り合ってもらいました。出席者は、入党して1~5カ月足らずの10代20代の3人と民青県委員長の若き党員たち。各人のドラマチックな入党エピソードに座談会は熱を帯び、若者が語りあう日本共産党“発見”物語です。
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――きょうは、党創立100周年記念講演について、ざっくばらんに語りあってもらいたいと思います。まずは初対面なので入党のいきさつなどから自己紹介をお願いします。
ケイ 首都圏の大学院生です。日本共産党に関心を持ったのは、夏の参院選でした。6月末のジェンダー街頭宣伝でリプロ(性と生殖に関する健康と権利)、性暴力被害、経済格差、LGBTQ(性的少数者)の権利など幅広いイシュー(論点、争点)を取り上げているところを見て、小さな声を取りこぼさない政党だと、これは本格的に支持することができると思いました。投票日の翌日の選挙結果報告の街頭宣伝を聞いていたら民青同盟を紹介され、それ以来、綱領や科学的社会主義などを少しずつ勉強していったんですが、入党はちょっと二の足を踏んでいました。しかし、最終的に入党を決めた決定打は、日本共産党創立100周年記念講演でした。講演を視聴したその日のうちに入党しました。
猫さん 北海道で教員をしています。高校生の時、ネットで憲法を調べたら自民党の改憲草案が出てきて、平和とか人権という価値観が否定されているような気がしました。おかしいと思いながら10年たち、安保法制が強行された時、市民と野党の共闘で立憲主義を回復させようと、他の野党を巻き込んで頑張る共産党がかっこいいなと思った。社会を変えたいという人がたくさんいるとわかり、自分も頑張りたいと思って先月、共産党に入党しました。
カエデ 今年、長野県内の大学に入学し、5月に入党しました。7月の参院選でビラのポスティングをしました。私は、もともと科学的社会主義に興味があり、高校生の頃から独学でマルクスやエンゲルスの古典をいろいろと読みあさっています。
古川大暁 民青同盟愛知県委員長をしてます。大学生の時、学生自治会の活動をしました。学費が払えなくて大学をやめないといけないという学生が身近にいて、衝撃を受けました。党員の先輩から一緒に社会を変えようと誘われて、考えに考えて入党しました。
不屈のたたかい知り 先人に背筋が伸びる
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――記念講演の第一印象はどうですか。
猫さん 記念講演を3回視聴しましたが、長いとは思わなかった。今の世の中があるのは、血のにじむような思いをしながら自分の生き方を貫いて生きてきた人たちのおかげなんだと思いました。この人たちの後に続きたいという思いです。
一番印象に残ったのは、宮本顕治さん(戦前・戦後の党の指導者)が弾圧によって逮捕され獄中で腸結核が悪化して、死は時間の問題と思われていた時に、予審判事が、「『人並み』に一応調書だけとれば外の病院で死なせてやる」と言われて、それを拒絶したところです。自分だったらこんな生き方できるかなとすごく考えました。
ケイ 私は、一言でいえば背筋が伸びたというか、思わず襟を正してしまいました。記念講演では、100年の歴史を追いながら、党の姿がひもとかれ、日本共産党がどのようにあり続けてきたのか、どうあろうとし続けてきたのかが語られていました。
記念講演を視聴するちょうど数日前に、映画「百年と希望」を見て、今の若い世代の共産党員がどのようにたたかっているかが描かれていてとても感銘を受けました。記念講演と映画を両方見て、縦糸と横糸がつながるように、党の100年の歴史と今現在の在り方がつながって、いよいよ入党しようという決意に至りました。
古川 第一印象は、党の不屈性の話です。一見、不可能とか無理なことを共産党はどう乗り越えてきたのか。もし、戦前の天皇制の社会に生まれていたら、命がけで天皇制打倒と言うなんてできるだろうか。当時の人たちの多くはそう思ったのではないか。そのなかで共産党は「国民主権」を掲げました。また、戦後、沖縄人民党と瀬長亀次郎さんが先駆的にたたかった沖縄の島ぐるみの「祖国復帰」運動も、サンフランシスコ条約上は不可能なことでした。最初は絶対不可能だと思われていたことを不屈のたたかいでくつがえしているんだなと思いました。
だから最賃1500円とか、共産党が参画する政権とか今、無理だと思われることも、あきらめずにたたかうことで実現できると思います。
カエデ 長い歴史の中で治安維持法など多くの苦難がありましたが、正面から立ち向かって、それを乗り越えようとする、そうしたことが日本共産党を今日まで存続させてきたのだなと思いました。
それができた理由は何かというと、先人の方々の不屈性とか、不断の努力とか、科学的社会主義だとか、社会の本来あるべき姿をとらえていく姿勢を絶えず続けてきたから実現したので、私は、この日本共産党こそが、今後の日本社会を変革していける政党なんだと思いました。
平和・ジェンダー平等 たたかえたのはなぜ
戦前の女性党員たち。命をかけて反戦の信念をつらぬきました。4人の女性党員は、政府の弾圧により、いずれも24歳の若さで命を落としました。
――戦前の宮本顕治さん、それから、戦後の瀬長亀次郎さんの感想が語られました。先人の不屈のたたかいを聞いてどう感じましたか。
ケイ 戦前の女性党員の存在と、彼女らの本当に文字通り命がけのたたかいの話がとても強く印象に残っています。戦前、女性は合法化されていた政党への加入が禁じられていた中で、日本共産党には女性党員がいて、しかも少なくない女性党員が命を落としています。文字通り命をかけて私の大先輩にあたる人々がたたかっていました。
今から見れば不十分な点もあったかもしれないけれども、当時から日本共産党が先駆的に女性解放を唱えて、女性党員が男性と肩を並べてたたかっていた不屈さが今にもつながっているんだなと思って、新たに党員となる女性である自分としては、彼女らの存在を心にとめて恥ずかしくないあり方をしたいなと強く思いました。
カエデ 共産党に対する風当たりが非常に厳しい中で先人の方々が文字通り血を流しながら必死に人間とか社会とかの本来あるべき姿とかを訴え続けてきて、それが今の共産党の形につながっているのではないかと感じました。ジェンダー平等、平和を求める動きが世界中で高まっているということから考えても、先人の方々が訴えた内容、理論的な正しさ、先駆性においても非常に優れていたもので、敬服せざるを得ません。
ケイ たしかにカエデさんや古川さんがおっしゃったようにあの当時自明とされていたことに対して異を唱えていることがすごいなと思います。
ちょっと戦後の話になりますけど、50年代に日本共産党がソ連の介入を受けた際も、当時ソ連はある意味“社会主義の旗振り役”のような存在だったところをそのソ連からの介入をはねのけて、ソ連の覇権主義、全体主義を当時から批判していました。ソ連の内実がわかってくる前から、ソ連に対して批判をしていたっていうところ、女性解放を早くから唱えてきたところ、――今の視点から見れば正しかったっていうことを歴史が証明してるんですけれど、でも当時はその状況の中ではそれが正しいかどうかって、多分多くの人は判断がつかなかったと思うんです。
そういう状況で、今、振り返ってみても、日本共産党が大枠で正しい選択をできてきたのってどうしてなのかなってすごく思いました。何かやはり科学的社会主義を背骨にして理論的に事実をもとに考え続けていたからこそ、正しい選択ができたのかなとか思いつつ、それにしてもすごいなと思いました。
猫さん 講演のなかで、日本共産党が命懸けで掲げた主張が日本国憲法の中心的内容に実っているところが印象に残っています。
若者憲法集会の活動を頑張っています。「憲法は大事という人は理想論ばっかり」と思っている人がいます。そう思っている人に「当時非合法だった共産党が命かけて主張してきた内容が今の憲法につながってるんだよ」っていう話をできるようになりたいなってすごく思いました。
憲法ってまだどんなに攻撃されたって生きてるじゃないですか。政府の行為によって戦争の惨禍が起こることを防いでくれていると思うんです。「外国から日本も攻撃されるんじゃないか」とかって不安に思った時に「ちょっと待って」って思いとどめさせてくれるのが憲法9条。その裏には講演の中にあった先人たちのたたかいがあって、先人たちの声が聞こえてきます。「憲法を大事にするっていうことは決して理想論じゃないよ。現実的な問題なんだよ」と歴史を踏まえて話せるようになりたいなって、記念講演を見て思いました。
自己改革の党いいな 未来社会はあこがれ
――記念講演で志位委員長は自己改革の努力を続けてきたことを詳しく語っています。どう思いましたか。
カエデ 日本共産党の掲げている自主独立路線と自己改革という姿勢は、「共産党宣言」以降マルクスとエンゲルスが発展させてきたその国独自の条件に応じた社会変革といった点をしっかりと受け継ぎながら自分たちで討論を繰り返して成長させ、受け継いでいると感じました。
猫さん 正しく理解できてるかどうか分からないんですけど、マルクスやエンゲルスを徹底的に分析して研究したからこそ、原点に立ち返って、中国やソ連が誤っているんだっていうことを言えたんだなっていうのをすごく感じました。もし、日本共産党が暴力革命論を支持している政党だったら、自分は入党は絶対にしなかった。
記念講演の中に、社会主義・共産主義論が出てきます。私は、マルクスの「自由の国と必然性の国」の話がすごく好きなんですけど、労働時間が短縮されれば、その分の自由な時間を使って、自分自身を発達させるために時間を使えるんだっていうのはすごくいいなって。
教員やってたら、そういうことをすごく思います。仕事が忙しい時はなかなか帰れないし、きょうもこのあと仕事です。(「持ち帰り残業ですか」の声)持ち帰り残業ですね。自由な時間がもっとあれば、その分、映画を見に行ったりとか、おいしいもの食べたりとか、そういうことに使える、それは人が人として発達していくためには、すごく必要だと思います。そうすることで、子どもたちのよりよい教育につなげることもできるから。そういう社会になることは、あこがれです。それは暴力じゃ絶対につくることできない。そういう面でも、日本共産党がいいなって思います。
ケイ 記念講演で語られていましたけれど、日本共産党は過去に同性愛に関して否定的に述べたことについて、2020年の党大会で公式に謝罪していましたよね。おそらく残念ながら、現在の日本で、これができる政党は、日本共産党のほかにはないかもしれないなと、私は思ってしまっています。
過去の誤りや時代の制約を認め続けているところって、すごく魅力的だなと。これもあったから入党しようと思ったんだよなって思います。微力ながら、一員となった今となっては、自分も自己改革の姿勢を忘れないようにしないと、と思っています。
2020年の改定綱領には、ジェンダー平等が盛り込まれましたけれど、時代によって、理念を大事にするだけじゃなくって、今起こっていることや今あがっている小さな声も拾いあげて、練り上げてつくられていくのが日本共産党なんだなということを改めて感じました。
――メディアなどで「共産党は間違いを絶対に認めない」「無謬主義」というイメージで言われることがありますが。
古川 無謬主義の話でいうと、山際(大志郎)大臣(経済再生担当相)が辞めましたけど、自分たちの誤りを認めないのは自民党ですよね。
それから記念講演での民主集中制の話が印象的です。共産党が民主集中制の組織原則を持つ党でよかったなとつくづく思います。他党は党首が今までと違うことを突然言い出して党内が大混乱していることがあります。
志位さんはそんなこと言わないわけですよ。それは、志位さんがいい人ということもあると思うけど、民主集中制に基づいてみんなで決めたことを、みんなで実行するというのが組織原則になっているから。党内では徹底議論し、分派をつくらず国民に対してきちんと責任を果たす。共産党が歴史の中で鍛え上げてきた組織原則は、合理的だし力強さがあるなと感じています。
ケイ 今のお話を聞いて、実は民主集中制に関して少しひっかかり、誤解していた部分が正直ありましたが、少しふに落ちました。
民主集中制という形になった経緯や必要性も理解していたんですけど、いまひとつ引っかかっていて。私が最初に日本共産党に興味を持ったきっかけは小さな声を取りこぼさない党だっていうことを確信したからです。でも結局縦社会じゃないかという誤解を持ってしまっていたんですね。
今、お話を聞いていて党の中で派閥が生まれたり、属人的な党内政治が行われたりしてしまわないためっていう意義はすごく大きく、それは確かに民主的なシステムかもしれないなあということを思いました。
若者に語りかければ展望抱いてもらえる
――党や民青を大きくすることや今後の抱負を聞かせてください。
カエデ 党や民青の拡大は本当に最近注力したいと思っています。先日、大学でフードパントリーを民青の主催でやり、それを通じて1人学生が新たに加盟しました。そうやって語りかけて対話していけば民青に希望を見いだして、社会は変えられるという展望も抱いてもらうことができるということを身をもって体感しました。今後もそういった自分にできることから一つ一つやっていけたらと思います。
ケイ この講演を聞いて改めてその、百年の先人が不屈につないできた流れを止めてはいけないなと思いました。微力ですが私を含めた今の若い党員がこれからの100年をつくっていかなくちゃいけないと考えたときに、これまで通り自己改革を続ける不屈性をもった党であり続けられるかどうかは自分たちの世代にかかっているんだなあと思って、ちょっとやれるだろうかという不安と身が引きしまる思いが入り混じった気持ちになりました。
これからの100年って私たちや私たちが対話して仲間に増やしていく若い人たちがつくっていくものだと思います。入党したばかりですが、身近なところから始めたいです。
古川 党を大きくしたいですね。今、民青同盟員が増えているんです。日本の政治は新しい政治への転換をはらむ大きな激動の最中にありますというけど、まさにそういうことを感じています。
ケイ きょうは、他の方の感想が聞けて、違う角度から記念講演を見ることができて理解が深まりました。
カエデ 私も普段は他県の方とお話することがないのですが、今回は貴重な機会をいただきました。
猫さん 時間が足りない、もっと話したい(笑い)。今後頑張りたいことは、まず一つ、若者憲法集会。もう一つは、科学的社会主義を学んでみたいという気持ちでいっぱいです。
一同 ありがとうございました。(拍手)