2002年9月13日(金)「しんぶん赤旗」
十三日付官報で二〇〇一年政治資金収支報告書が公表されましたが、日本共産党の政治資金の特徴について、上田均財務・業務局長に聞きました。
――二〇〇一年の各政党の政治資金収支報告書が公表されましたが、日本共産党の政治資金の特徴はどんなことでしょうか。
上田 日本共産党中央委員会の二〇〇一年の政治資金の収支は、収入総額三百四十二億八千九百二十六万円(前年比104・6%)、支出総額三百四十九億四千七百六十八万円(前年比102・9%)で、本部ビル建設の関係もあって収支とも前年より増えました。
項目 | 金額(万円) |
前年比(%)
|
構成比(%)
|
(1)収入 党費 寄付 機関紙誌・書籍等 納付金、借入金、その他 収入合計 |
12億6330 14億4811 291億7980 23億9805 342億8926 |
95.1 109.4 103.8 119.1 104.6 |
3.7 4.2 85.1 7.0 100.0 |
(2)支出 経常経費 機関紙誌・書籍等 交付金・その他 支出合計 |
55億6302 204億5492 89億2974 349億4768 |
94.4 98.3 123.0 102.9 |
15.9 58.5 25.6 100.0 |
収支差引(1)-(2) | −6億5842 | ||
前年からの繰越金 翌年への繰越金 |
74億1537 67億5695 |
項目
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金額(万円)
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土地 | 22億5309 |
建物 | 19億8951 |
地上権または借地権 | 3324 |
取得価格が100万超の動産 | 4億7975 |
預・貯金残高 | 56億8495 |
有価証券 | 3億1540 |
残高100万超の貸付金 | 18億3100 |
100万超の敷金 | 9億3807 |
100万超の施設利用権 | 1800 |
残高100万円超の借入金 | 5億0670 |
その根本的な特徴は、日本共産党が企業・団体献金も政党助成金も受け取らず、機密費とも無縁の党であること、党財政の基盤が党費、機関紙誌などの事業収入、個人からの寄付など、党員と支持者、国民から寄せられる浄財のみで成り立っていることです。
また、機関紙誌などの党活動を基本とした事業活動が収入の85・1%、支出の58・5%と大部分を占めていることは、「しんぶん赤旗」を中心に国民と草の根で結びついて活動するというわが党の特質を示すものです。
今年に入って相次いで明るみに出た腐敗政治にたいして、わが党は国会での真相究明の先頭にたち、現実政治を動かす大きな役割を果たしてきましたが、その根本は、わが党が草の根から国民と結びつき、国民の浄財のみを支えにした地道な財政活動をつらぬいていることにあります。
今日の情勢のもとで、わが党が国民の期待にこたえていくためには、諸活動のいっそうの発展と、それを支える財政基盤の強化が必要となりますが、わが党は、今後とも一貫して党員と国民に支えられた財政活動をつらぬき、党自身の力を強く大きくすることをとおして財政基盤を確立・強化していくものです。
――今年七月に新しい日本共産党本部ビルの一期棟が竣工(しゅんこう)し、大きな注目を集めましたが、この建設事業は昨年の政治資金収支のなかにはどのように反映されていますか。
上田 本部ビル建設事業の総予算は八十五億円で、その約半分が第一期工事の予算です。一期工事は二〇〇〇年六月の旧本部ビル解体工事から始まって二〇〇二年七月に竣工となりました。従って、この一期工事にともなう収支が、二〇〇一年、二〇〇二年の政治資金収支に反映していくことになります。
一九九九年以前の収支報告書の総額は約三百億円でしたが、二〇〇〇年、二〇〇一年の総額は約三百三十億〜三百四十億円に増え、しかも、支出総額が収入総額を上回り、繰越金が減っています。これは、本部ビル建設のために備蓄してきた準備資金を建設関係の支払いにあてていることなどによるものです。
収入面では、全国の党員・支持者のみなさんから寄せられた建設募金のうち、二〇〇一年分の寄付と協力借入金が今回の政治資金収支報告書に掲載されています。建設募金は、昨年末の時点ではまだ中間段階でしたが、すでに本紙でも報道したように今年七月に当初の第一次目標だった二十五億円を超過し、二十六億円に達しました。あらためてこれまでの多くの党員、支持者のみなさんのご協力に感謝するとともに、引き続く第二次募金(十五億円)へのご協力を心からお願いします。
なお、この建設募金には協力借入金が約半分ふくまれていますので、五年目以降からは協力借入金への返済も必要になってきます。党中央委員会としては、今後十年間の計画で引き続き中央独自の備蓄の努力をつよめ、第二次建設募金とあわせて、建設資金および協力借入金返済にあてていくことにしています。
――この間、「政治とカネ」ということで取り上げられてきたことのなかには、口利き政治の問題や機密費疑惑の問題などとともに、国会議員秘書給与の問題もありましたが、日本共産党の立場は明快でしたね。
上田 相次いで明らかになった口利き政治をめぐる一連の事態は、わが党が一貫して主張し、身をもって実行している企業・団体献金禁止の重要性をあらためてうきぼりにしました。機密費疑惑については、小泉内閣が疑惑にふたをしようとしているだけに、引き続く追及が重要です。
秘書給与問題では、公設秘書としての実態のない「名義借り」が問題となった例、ファミリー企業との関係が問題になった例、自分の身内を公設秘書に登録して秘書給与を得ている例など、さまざまな問題が出ました。
わが党の国会議員公設秘書の扱いは、近代的組織政党にふさわしい公明正大なやり方を一貫してとっています。わが党の場合は、公設秘書が国会から受け取った給与のなかから、それぞれの自発的意思にもとづいてそれぞれの額を党への寄付とし、寄付された資金は調査費、出張費、その他の国会での秘書活動の共同の経費にあてています。
これは、国が秘書給与として支出した資金のすべてが秘書の国会活動にあてられ、その他の経費への流用は起こりえない制度になっているということです。今回公表されたわが党の政治資金収支報告書においても、収入欄には秘書一人ひとりの寄付をもれなく記載し、支出欄では同額を国会議員団会計に支出し、秘書活動の共同経費にあてていることがわかるようにし、きちんと国民の前に明らかにしています。
秘書であれ公務員であれ、民間企業の労働者であれ、給与として受け取ったものをどう使うかは個人の権利に属する問題であり、政党への自発的な寄付は、国民の政治に参加する権利を行使する形態の一つです。「政治とカネ」は今後とも重要な課題です。わが党は、財政面でも国民とともに歩む立場をつらぬいている党にふさわしく、さらに大きな役割を発揮するよう奮闘するものです。