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大木寿さん(全労連・全国一般労働組合 中央執行委員長)

写真みなさん一人一人の大切な人生です。一歩踏み出してまず相談してください。

  みなさんのコメントを読み、企業のやりたい放題、それも法律を無視した横暴なやり方が至る所で起きていることが分かります。世の中はますますひどくなっています。

 18歳男性(アルバイト)は、150時間近く働いたのに98時間にさせられ、その上会社に迷惑をかけたと給料を半額にされ4万円しかもらえなかった。28歳男性(正社員)は求人票に明記してあった給料より5万円も減らされた。38歳男性(正社員)は有給休暇がなく、毎日2時間近いサービス残業をさせられている。などなど、みなさんのコメントはあまりにもひどすぎる企業のやり方に対する告発として、私は重く受け止めました。

 法律違反が横行しています。「おかしい!ひどい」と思ったら、労働相談センターか労働基準監督署にまず相談して欲しいですね。そのことは、自分を大切にし、人権を守らせるたたかいなのです。私たち労働組合は、みなさんと同じような相談を受け、会社と交渉して問題を解決しています。いま、みなさんと同じ悩みを持つ青年が一人でも入れる労働組合に入って、問題解決のために努力し合い、生き生きと活動しています。みんなで力をあわせれば、道は開かれます。みなさん一人一人の大切な人生です。一歩踏み出してまず相談してください。連絡先は「0120−378−060(みなは-ぜんろうれん)」です。

 財界言いなりの政府は、「構造改革」で雇用や賃金、労働条件を規制緩和し、企業がやりたい放題できるようにしてきました。企業は人件費を限りなく下げ、労働者を使い捨て部品のように扱っています。非正規雇用が急増し、健康保険や雇用保険、厚生年金がなく、国民保険や国民年金に入らざるを得なくなっています。しかし、失業中、或いは低い賃金のために国保や国民年金を払えない人が急増しています。

 NHKスペシャルは7月22日に「ワーキングプアー働いても働いても豊になれない」を放映しました。バイトでダブルワークをし、長時間働いても賃金が低すぎて生活困難な労働者、収入が少なすぎるために税金すら払えない農民や中小業者が増えている実態が明らかにされました。収入の格差が、生活、子育て・教育、いのちの格差となり、希望の格差になっています。この異常な格差と貧困を是正していくことが必要だと思います。

 私たち労働組合は、企業の法律違反や横暴なやり方をやめさせ、安心して働き続けられる雇用と、まともに生活できる最低賃金や医療・失業・年金の保障を求めて、全国で運動をし、厚生労働省と交渉してきました。政府はサービス残業や違法な派遣・請負を正す指導を強化しましたし、最低賃金を今年度は全国平均で時給5円引き上げさせました。まともな雇用と賃金、社会保障を実現し、希望の持てる社会にするには、悪政を変える必要があります。みなさんは政治を変えることができる有権者です。力を合わせて、希望が持てる政治にしていこうではありませんか。

プロフィール

おおき・ひさし

(略歴)
1943年 東京生まれ。5人兄弟の末っ子
1971年 電子部品メーカーSMKの神奈川工場で組合結成。委員長に選ばれる。
会社は組合つぶしのために、私を配転命令拒否を理由に解雇。組合員の脱退や6年半のたたかいで勝利し、私は労働組合の仕事(専従)につく。
1987年全国一般労働組合神奈川地方本部の副委員長に選出される。労働相談・組合づくり、解雇や倒産、経営危機などの対策とたたかいに明け暮れる。
1989 年 全労連・全国一般労働組合が結成され、中央本部書記長に選ばれる。
2002年 中央本部委員長、全国労働組合総連合(全労連)副議長に選ばれる。
(家族)妻:保育士、子ども:2男2女
(趣味)山登り、スキー、旅行

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