いまこそ人間らしく働けるルールを
3、最低賃金を引き上げ、全国一律最低賃金制を確立する
 一生懸命働いても貧困から脱け出せない、ワーキングプアが400万世帯を超えるといわれています。その背景には、最低賃金が、時給673円(平均 月額約11万5千円程度)という、とても生計費をまかなえない低さに押さえ込まれていることがあります。最低賃金を“貧困のどん底”のような水準にしたまま放置することは許されません。
 日本の最低賃金は、労働者の平均的給与の32%と世界でも最低水準です。EUでは最低賃金を労働者の平均賃金の半分まで引き上げることを目標にしています。日本を“働いても、働いても貧困”という社会にしてはなりません。
 憲法が定める「健康で文化的な最低限の生活」ができる水準に引き上げるのは、国の責任です。全労連も、連合も労働団体の違いを超えて、時給1000円以上への引き上げを要求しており、政府は、これに応えるべきです。
 同時に、すべての労働者に等しく適用される全国一律最低賃金制を確立すべきです。どこで働き、どんな職業に就いていようとも、人間らしい最低限の生活を保障するというのが最低賃金制の役割であり、国の責任です。多くの国が全国最低賃金制を採用しており、地域別最低賃金が47もあり、都道府県別に格差をつけた最低賃金にするというのは日本だけです。
 最低賃金の引き上げは、地域経済にも大きな波及効果があります。政府は、「中小企業の経営を圧迫する」ことを口実に、最低賃金の抜本的な引き上げを拒否していますが、これでは、労働者の生活も、中小企業の経営も、苦しいまま放置することになってしまいます。中小企業への支援とあわせて、最低賃金の引き上げをすすめてこそ、経済全体の底上げをはかることができます。
 同時に、最低賃金さえも無視した大企業による下請単価の買いたたきなどの下請中小企業いじめをきびしく監視することをはじめ、低賃金の過当競争を抑制するなどの対策をとる必要があります。また、運輸業界や大型店などこの間の規制緩和が、労働者の賃金も引き下げ、中小企業の経営も圧迫し、消費者の安全や街のにぎわいという面でも深刻な問題を引き起こしており、これらの抜本的是正もすすめるべきです。
 自治体が発注する事業(公共工事、サービス・役務)が最低賃金よりも低い労務単価で落札される事例が全国に広がっています。発注者である自治体は、最低賃金を守れないような低入札価格を是正し、委託業務で働く労働者が人間らしい生活をおくることのできるような価格設定にすべきです。自治体に働く臨時・非常勤職員の時給が民間パートの時給より下回る例が少なくありません。これを抜本的に引き上げるべきです。

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