3、自民党政治と統一協会
統一協会の反社会的活動の一掃、政治との癒着の一掃、被害者の救済
2024年10月
統一協会問題を徹底究明し、うみを出し切り、問題を根本から解決することは、日本の政治と社会にとってきわめて重要な問題です。
統一協会は、正体を隠した伝道活動、霊感商法と高額献金、当事者の意思を無視した集団結婚など数々の反社会的活動をおこない、司法によって法律違反と断罪されてきました。思想・良心の自由、信教の自由をはじめ日本国憲法に保障された基本的人権を蹂躙する、統一協会の反社会的活動を一掃し、被害者救済をはかることは、喫緊の課題です。
重大なことは、半世紀にわたって自民党は統一協会を反共と反動の先兵として利用し、統一協会は自民党の庇護のもとに反社会的活動を拡大してきたことです。統一協会が多数の自民党議員と選挙の際に「推薦確認書」や「政策協定」を交わしていました。両者は、憲法改定、ジェンダー平等への敵対、日本共産党への敵対などで、互いに利用しあってきました。統一協会と政界との癒着を一掃することは、日本の平和と民主主義を守り抜く、重大な意義をもつたたかいです。
日本共産党は、半世紀にわたって統一協会=勝共連合の策動と正面からたたかい続けた党として、統一協会の反社会的活動を一掃し、政治との癒着を一掃し、被害者救済をはかるために、全力をつくします。
統一協会と自民党の組織的癒着を徹底解明し、政治との癒着を一掃します
2022年7月、安倍晋三元首相が銃撃された事件後、統一協会(世界平和統一家庭連合)や関連団体と自民党議員の癒着が相次いで発覚しました。当時、山際大志郎経済再生担当相は、統一協会との癒着が指摘され、「記憶にない」とごまかし後追いで事実を認める無責任な対応が国民の怒りを広げ、辞任に追い込まれました。
日本共産党は2022年9月の臨時国会を「統一協会追及国会」と位置づけ、徹底解明をもとめました。志位和夫委員長(当時)は衆院本会議の代表質問で、岸田首相が統一協会と「関係を断つ」と言いながら行動が伴っていないとして、①自民党としての責任をもった調査、②政権としての調査、③行政がゆがめられた疑惑の調査、④安倍元首相の癒着の調査、⑤半世紀に及ぶ歴史的癒着の調査―の5つを提起しましたが、岸田首相は明確な答弁を避け、癒着解明に背を向けました。このとき自民党が実施した「自主点検」では衆参の自民党所属議員379人(当時)のうち179人が接点を持っていたことを認めました。しかし、政権丸ごと汚染という事態にもかかわらず、それ以上の解明はおこなわず、その後、新たな事実が発覚しても「今後は関係を断つ」と居直っています。自民党としても政府としても責任を持った徹底調査を拒みつづける姿勢こそが問題です。統一協会と自民党との癒着の全体像を徹底解明するべきです。
とりわけ重大なのは、統一協会と最も深い関係にあった安倍晋三元首相について、故人だから限界があると調査対象から除外していることです。安倍氏は、2021年の統一協会関連団体の集会に、「敬意を表します」と語るビデオメッセージを送るなど、広告塔の役割を果たしてきました。参院選比例区で安倍氏が統一協会の組織票の差配をしていたという証言が、自民党国会議員経験者から出ています。
今年9月、安倍元首相が統一協会会長と自民党本部総裁室で面談した事実が判明しましたが、石破新政権は再調査すら拒否しています。自民党本部で総裁である首相と統一協会会長が面談して選挙支援を確認し、実際に信者が選挙運動に動いていた―自民党の組織的関与は明らかです。統一協会から組織票をもらい、見返りに何らかの便宜を与えていたのではないかとの疑惑を徹底究明しなければなりません。
自民党と統一協会が半世紀以上もの深い関係を築いてきた中心にいたのは、自民党安倍派(清和会)の流れです。統一協会と一体の「国際勝共連合」を日本に引き入れたのは、安倍氏の祖父・岸信介元首相でした。過去にさかのぼって、癒着関係の全容を解明することは、日本の政治の民主的な発展にとっても不可欠です。
統一協会は霊感商法や集団結婚で被害を広げてきました。近年では「地獄に落ちる」などと信者を恐怖に陥れ、高額献金をさせています。信者の子どもに信仰や活動を強要し、困窮に陥らせるなど人生を壊す人権問題を起こしてきました。
被害を深刻化させる大きな要因となった自民党を中心とする政治家との癒着を徹底解明し、その責任を明らかにすることは、国会の重要な責務です。
統一協会による被害拡大を防ぎ、違法・不法な活動を一掃するため、すみやかな「解散命令」を求めます
文部科学省が統一協会の「解散命令」を東京地裁に請求し、裁判所で審理されています。解散命令は、統一協会による被害の拡大を防ぎ、違法・不法な活動を社会から一掃するための重要な一歩です。
文科省は解散請求の理由で、統一協会が遅くとも1980年ごろから長期間にわたり継続的に財産的利得を目的に献金獲得や物品販売を行ったことを挙げ、「正常な判断が妨げられる状態で献金または物品の購入をさせて、多数の者に多額の財産的損害、精神的犠牲を余儀なくさせ、その親族を含む多数の者の生活の平穏を害する行為をした」と認定しました。国は、被害規模は、統一協会に損害賠償責任を認めた民事判決が32件あり、示談を含めると被害者は約1,550人、解決金の総額は約204億円に上るとしていますが、氷山の一角です。
岸田文雄政権(当時)は当初、民法上の不法行為は解散命令請求の要件にならないとしていました。野党が国会で追及する中で、組織性・悪質性・継続性が確認できれば民法上の不法行為も要件に含むとの政府解釈が示され、今回の解散命令請求につながりました。解散命令請求に至った力は、元信者2世をはじめとする被害者らの勇気ある告発、弁護士、支援者らの長年の運動、国民世論です。
「青春を返せ訴訟」では、正体を隠して勧誘する統一協会の手法そのものが信仰の自由を侵害している恐れがあると認定されています。これだけの被害を出しながら、「宗教法人」だからと税制上の優遇を受け続けていることは理不尽です。
被害者救済のためにも、一刻も早い解散が求められます。
被害者救済法をすみやかに改正し、実効性のある被害者救済制度をつくります
2022年12月10日、臨時国会で統一協会の「被害者救済法」が可決・成立しました。岸田政権は当初、救済法に消極的な姿勢をとっていましたが、声を上げた被害者や問題に取り組んできた弁護士、世論の力が政治を動かしました。
しかし、政府が提出し成立した被害者救済法は、被害の実態に照らし、極めて不十分です。とりわけ、統一協会の被害の中心であるマインドコントロール(洗脳)下の寄付の勧誘を明確に禁止しなかったことは、多くの被害者を救済する上で問題がありました。日本共産党は洗脳下の寄付勧誘の禁止などを盛り込んだ修正案を衆院に独自に提出し、実効性ある救済法とするため、最後まで奮闘しました。修正案は共産党以外の反対で否決されました。ただ、同法の付則には2年後の見直し規定が盛り込まれました。
日本共産党は、被害者救済法をすみやかに改正し、実効性のある被害者救済制度をつくるため全力をつくします。
統一協会の財産を保全する法的措置が何よりも急務です。解散命令が確定するまでに統一協会が財産を隠したり、海外に送ったりすれば、被害者の救済にあてられません。被害者や弁護団が求めている、統一協会の財産を管理・保全する特別措置法をつくります。
被害者救済法は、被害者に民事保全などの努力を求めるものになっています。深く傷ついた被害者に直ちに訴訟などの手続きを求めるのは酷です。解散命令請求した政府には財産保全をする責任があります。自助努力に任せるのではなく、包括的な財産保全が必要です。