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65、マイナンバーカード

マイナンバー制度は廃止を求めます。現行保険証の廃止・マイナ保険証のごり押しには反対です

2024年10月

 マイナンバー制度は、日本に住むすべての国民・外国人に生涯変わらない12ケタの番号をつけ、さまざまな機関や事務所などに散在する各自の個人情報を名寄せ・参照できるようにし、行政などが活用するものです。2015年10月に付番が行われ、16年1月から、希望者に対し、顔写真やICチップの入った「マイナンバーカード」が交付されています。

政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険をもつ重大な問題です。

政府は、デジタル改革関連法でマイナンバーの情報連携を拡大し、法改正なく進められる政府が管理・運営しているウェブサイト「マイナポータル」を入り口とした情報連携を拡大させ、あらゆるデータを集積しようとしています。これに、マイナンバーカードのカギ機能が必要なため、カード取得推進策が講じられているのです。マイナンバーそのものの利用拡大には法改正が必要である一方、マイナポータルを利用した情報連携の多くは法改正なく進めることが可能で、行政だけでなく民間サービスも含めて、進められてきています。政府は、2023年通常国会で改正マイナンバー法を成立させ、社会保障制度・税制・災害対策の行政事務についてもマイナンバー利用の推進を図ることを可能とし、またマイナンバーの利用と情報連携についても省令改正で可能としています。

もともと、国民の税・社会保障情報を一元的に管理する「共通番号」の導入を求めてきたのは、財界でした。日本経団連は2000年代から、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、”この人は負担にくらべて給付が厚すぎる”などと決めつけて、医療、介護、福祉などの給付を削減していくことを提言してきました。社会保障を、自分で納めた税・保険料に相当する”対価”を受けとるだけの仕組みに変質させる大改悪にほかなりません。社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、「負担に見あった給付」の名で徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことが、政府・財界の最大のねらいです。

政府は、マイナンバー制度によって「公平・公正な負担と給付」の実現を掲げていますが、大企業の優遇税制は聖域としたまま、消費税増税を前提にしています。この「税と社会保障の一体改革」によって、国民には負担増を押し付け、消費税は社会保障には回されず、大企業減税の原資となっただけです。

国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴税強化・給付削減を押しつけるマイナンバー制度は、廃止すべきです。日本共産党は、社会保障を「自己責任」に変える策動を許さず、国民の権利としての社会保障を守ります。

現行保険証の廃止・マイナ保険証のごり押しは許せません

とりわけ国民的な大問題になっているのは、岸田政権が今年12月2日以後は現行保険証の新規発行は行わず、マイナ保険証への一本化を行うことを閣議決定(2023年12月22日)し、石破政権もこれに固執していることです。マイナ保険証の利用率はいまだ10%代に止まっています。窓口でマイナ保険証が使えないといった医療機関等でのトラブルは後をたたず、マイナ保険証を使えないために10割負担を強いられたなどの事態が続いています。また、マイナ保険証は、障害者がある方や高齢者、年少者の取得や使い方が十分に保障されていないことも大きな問題です。マイナ保険証の利用が広がらないのは、いくら政府が説明しても、マイナ保険証に対する国民の不安は解消されず、メリットについて納得が得られないからです。

そもそもマイナンバーカードをつくるかどうか、また、マイナンバーカードを保険証として登録するかどうか、さらに、マイナ保険証を使うかどうかはまったくの任意であり、事実上、強制するようなやり方でごり押しすることは許されません。ましてや、マイナ保険証の利用率をもとに医療機関等への補助金に傾斜を設けたり、診療報酬制度に新たな加算制度をつくって、一定の利用実績を下回る医療機関等を加算の対象外とする制度を導入するなどの政府のやり方は、医療機関等にマイナ保険証利用の責任を負わせるようなものです。ましてや、利用実績の低い医療機関に対しては、「療養担当規則違反となるおそれ」を示すなどは、医療機関等に圧力をかけるものであり許されません。

安倍政権は、国民がカードを使わざるをえない状況をつくりだすため、2021年からマイナンバーカードを健康保険証としても使用可能にするなどの健康保険法等改正、戸籍事務とマイナンバー制度を結びつける戸籍法改正、行政の手続きや業務に用いる情報を紙からデジタルデータに転換しオンライン化を原則とする「デジタル手続き」法を成立(2019年通常国会)させてきました。政府は、「骨太方針2022」(2022年6月7日閣議決定)で「保険証発行の原則廃止を目指す」とし、同時に「加入者からの申請があれば保険証は発行する」としましたが、マイナンバーカードの普及に関する関係省庁連絡会議での協議を経て、2022年10月13日河野デジタル担当大臣が「2024年秋に現在の保険証の廃止を目指す」ことを会見で表明し、閣議で決まった骨太方針の決定が、デジタル大臣、厚労大臣、総務大臣の協議で廃止への方向を大転換しています。

こうした背景には、国民の健康、医療データの利活用に対する経済界の強い要望があります。国民皆保険制度に穴をあけ、国民の命と健康を脅かすことにもなりかねません。国民から現行の保険証を取り上げ、マイナ保険証を強要することはやめるべきです。