42、エネルギー
気候危機を打開するエネルギー政策で自給率を高め、海外情勢に振りまわされない対策を
2024年10月
エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤ですが、日本のエネルギー自給率は1割程度と先進国で最低クラス(OECD38カ国中37位)です。原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵略、中東情勢の緊迫など、エネルギーを外国に依存している日本経済の危うさが浮き彫りになっています。ほぼ100%輸入にたよっている化石燃料の国際的な供給量や価格の変動に振り回されないように、エネルギー自給率向上が急務になっています。
同時に、気候危機とよばれる非常事態が進んでいます。すでに世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。国内でも猛暑による熱中症の増加や、線状降水帯・ゲリラ豪雨など風水害による災害によって、国民の命が脅かされ、農業や水産業にも大きな被害を与えています。2023年の世界の平均気温は、1850年の気象観測開始以来、もっとも暑い年で、産業革命前に比べると1.48度上昇し、パリ協定の温暖化抑制目標である「1.5度目標」に近づいているという発表もありました(EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」)。今後の10年間に、全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。
政府のエネルギー基本計画は、依然として石炭火力、原発だのみ
ところが自公政権のエネルギー政策は、気候危機対策の要である「1.5度目標」とは整合していません。
岸田文雄前首相は、エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定)で、2050年を展望して「必要な規模を持続的に活用していく」とし、ロシアアのウクライナ侵略に乗じて「原発の最大限活用」と言いだし、2022年の参院選挙後は、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」の名で、老朽原発の運転期間延長など原発の最大限活用と新規建設という原発回帰へと大きく舵を切りました。岸田前首相が政権を投げ出したあと、後継の石破茂首相は、岸田政権の政策を継承すると明言し、経団連も、原子力の最大限活用」などの課題解決に取り組むことを求めました(9月27日の会長コメント)。
GXは、”脱炭素、化石エネルギーからの転換”を掲げていますが、GX電源法(2023年通常国会で成立)では、60年を超えて原発を運転できる仕組みを導入するとともに、原子力基本法に、原発推進、原発産業支援、原発への投資環境整備を明記しました。原発の建設費の回収を保証するために、「長期脱炭素電源オークション」が導入されました。現在進行中の新たなエネルギー基本計画のとりまとめ作業には、イギリスのRAB(規制資産ベース)モデルを参考に、新たな原発建設への支援制度も持ち込まれようとしています。このイギリスの制度は、政府が認可した原発への投資資金を、コストとして織り込んだ「規制料金」を政府が認可するにことで、投資者の資金回収を保障する仕組みです。投資家によってはリスクの上限がきまり、万一プロジェクト遂行困難になった時には国が資金提供し、またはプロジェクト中止の時には国が補償金を支払います。しかも電力の供給開始前の建設期間中にも、投資の回収が可能にする仕組みです。この上なく原発事業者・投資家に都合の良い仕組みですが、原発の新規建設には費用が膨らみ、常識的なやり方では投資資金さえ集められなくなくなったことの表れです。
今年の通常国会では、二酸化炭素貯留(CCS)事業法が成立しましたが、事業開始の見通しも2030年であるなど実用化に程遠く、「1.5度目標」達成に必要な30年石炭火力全廃や35年の電源の脱炭素化に、まったく整合しません。CCSは、もともと石油や天然ガスを取り出すためにCO2を地中に圧力をかけて注入する技術です。現在、火力発電用のCCSが世界でも1、2機しかないのは、発電コストの中にCCSのコストを新たに入れた場合、採算が合わないからです。しかも試掘や貯留事業を許可する際の事前の環境影響評価はなく、住民や自治体が意見を述べる機会が保障されていません。安全面、環境影響の重要な懸念があります。
有数の地震国・津波国である日本での原発の再稼働・新設は、今年元旦の能登半島地震や、お盆の時期の南海トラフ地震の「巨大地震注意」の政府発表などをみても、国民の安全をリスクにさらすものです。すみやかに原発ゼロを実現すべきです。
こうした石炭火力発電延命、原発推進に巨額の国費を投入するGXには反対です。
➡原発については、各分野の政策「41、原発問題」を参照してください。
さらに、政府と日本企業は、こうしたGXのもとで、化石燃料延命にかかわる事業を、アジアを中心にした海外でも展開しようとしています。そして、現地でのアンモニアの石炭火力での混焼や、CCSなどの支援を通じて、日本が主導してする「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想」を通じて行おうとしています。
しかも政府は、海外でのCCSやアンモニアの混焼事業を支援するなかで、その温室効果ガス削減分の一定割合を、日本の削減分にカウントする二国間クレジット(JCM)を推進しています。このJCMは、そもそも率先して削減を進めるべき先進国である日本が、発展途上国の削減分を自らの削減とする点で問題であり、しかも日本の火力発電関連業界やJERAが、アジアでCCSやアンモニア混焼による火力発電の延命するのを推進することになります。化石燃料の延命を、アジアなどの発展途上国を巻き込んで推進するとなれば、国際的な批判はさらに高まります。現行の第6次エネルギー基本計画では、2030年度の発電量の20~22%を原発で賄うとしとしています(2022年度の実績は6%)。これは27基の原発を再稼働させることになります。また国連から2030年までに撤退するよう求められている石炭火力についても国内での新規建設を進めてきて、30年度に19%の比率を見込んでいます。
純国産エネルギーともいうべき再生可能エネルギーについて、環境省の調査でも、再生可能エネルギーの潜在量は、現在の電力使用量の7倍(環境省「再生可能エネルギーゾーニング基礎調査」2019)にもなると見積もられています。現時点では、発電量の24%ですが、30年度の再生可能エネルギー電源の比率は36~38%にすぎません。これは現在のオーストラリア(36%)の水準であり、イギリス(46%)、ドイツ(52%)などは、さらにその先に行っています。これらの国々は2030年までに70%台~80%台をめざしており、日本はますます水をあけられることになります。現在、日本と同水準のアメリカ(23%)も、30年には59%まで拡大する見通しです。
再生可能エネルギーの普及が十分でないもとで、アンモニアや水素を生成しようとすれば、原料を化石燃料に頼ることになり、CO2フリーとはなりません。それにもかかわらず、政府は、それでも強引に「CO2が出ない」燃料だとして、東南アジアや中東、オーストラリアまで広げた供給システムを作ろうとしています。
また原発の電力を再生可能エネルギーの電力と合わせて「非化石エネルギー」とひとくくりに名付け、市場づくりをすすめるなど、世界でも異例な施策をとっています。
石炭火力、原発にしがみつき、再生可能エネルギーを後景に押しやっていることが、遅れの最大の要因です。あい変わらず原発と石炭火力の依存するこのようなエネルギー計画では、全世界平均より低い目標である政府の温室効果ガス排出「2013年度比46%削減」も、さらにその先の「2050年実質ゼロ」の達成も見通せません。
省エネと再エネの組み合わせで、30年度に CO2排出50~60%削減を―――「気候危機対応2030戦略」
日本共産党は2021年、「気候危機打開の日本共産党の2030戦略」を発表しました。
そのなかで、自公政権のエネルギー政策には4つの問題点(①2030年までの削減目標が低すぎる、 ②石炭火力の新増設と輸出を進めている、③原発依存―――最悪の環境破壊と将来性のない電源を選択する二重の誤り、④実用化のメドも立っていない石炭火力でのアンモニア混焼など「新技術」を前提にする無責任)があることを指摘し、自公政権がやっと昨年「2050年カーボンゼロ」をかかげたものの、中身を見れば「口先だけ」というほかないものであることを指摘しました。
そして、脱炭素社会に向けて、多くの環境団体・シンクタンクが、2030年までの目標と計画を示しており、政治的、経済的な立場の違いはあっても、エネルギー消費を20~40%減らし、再生可能エネルギーで電力の40~50%程度をまかなえば、CO2を50~60%程度削減できる、という点で共通しています。
こうした状況を踏まえ、日本共産党は、次のような提案をしています。
――――2030年度までにCO2を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標にします。
――――この目標を省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行します。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば60%の削減は可能です。
――――2050年までに、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。
――――即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとします。
――――再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立し、大手電力会社が原発や石炭火力を優先し、太陽光の出力抑制を行っている現状をあらためます。再エネを最大限活用できる電力網などのインフラを整備します。
――――CO2排出量が大きい業界、大規模事業所に、CO2削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化します。
――――農地でのソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)、小規模バイオマスの発電の普及など、脱炭素と結びついた農業・林業の振興を進めます。
――――省エネの取り組みを産業、都市・住宅など、あらゆる分野ですすめます。
―――気候危機への対応を迫られている中で、炭素税などのカーボンプライシングは、化石燃料の使用を抑制する効果があるとして注目されています。炭素税ではすでに、スウェーデンではCO21トン当たり約2万円、フランスでは約7,100円を課しています。日本では現在、1トン当たり289円と極めて低額にとどまっています。当面の財源にもなりますが、炭素税は脱炭素が完了するまでの一時的な財源ですから、脱炭素に必要な公的な事業、支援策の財源としても検討していきます。同時に、原油・ガスの国際価格急騰などの際には、炭素税の高負担がなくとも化石燃料の使用抑制効果が高まることを考慮し、柔軟に対応する制度を検討します。
昨年12月に閉会したCOP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)で、日本を含む条約加盟国が全会一致で合意した目標や方針をふまえて、2035年を期限とする新たな温室効果ガスの排出削減目標を来春、提出するよう国連から求められています。「2030戦略」で提起した目標や政策の実現に取り組むとともに、日本共産党は2013年度比で温室効果ガスの排出を75%から最大80%削減するようめざします(※)。エネルギー消費全体で6割減らし(電力消費量は3割削減)、再生可能エネルギーで電力を80%をまかなえば、温室効果ガスの75~80%削減は可能です。世界5位の温室効果ガス排出国であり先進国として、国連が求める「野心的な取り組み」に挑戦することで、2050年よりも前に「実質ゼロ」を達成する可能性を開きます。
(※)2010年度比73~78%減、2019年度比71~77%減
➡詳しくは、「気候危機打開の日本共産党の2030戦略」(2021年9月1日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html)をごらんください。
➡また各分野の政策「46、気候危機」をごらんください。
データセンターの計画は、気候危機対策との両立を
データセンターの建設計画が急増し、それによる電力消費の増加を口実に、原発の再稼働を進める口実にしようという動きがあります。
データセンターによる電力消費の増加は、国内だけでなく世界的な問題となっています。台湾、アイルランド、シンガポールでは新設が停止され、ドイツでは新設計画でエネルギー効率の上限を設定し省エネが義務化されています。国連貿易開発会議(UNCTAD)は今年7月に報告書(「デジタル経済報告書」2024年版)を公表し、そのなかで、デジタル化は歓迎すべきものであり、世界の経済成長に必要な原動力だが、急速なデジタル化は環境への懸念を高めるため、包括的かつ持続可能なものでなければならないとしています。デジタル技術の地球環境への負荷を軽減するため、環境規制の強化と再生可能エネルギーへの投資を求めています。グテーレス国連事務総長はこの報告書の序文で「気候変動へのコミットメント(公約)を尊重するデジタル政策の枠組みを求めています」と明記しています。
これを考慮すれば、次のような条件を満たす必要があります。
(1)使う電力は、再生可能エネルギー電力とし発電時CO2を出さない
(2)立地は、冷房に要する莫大なエネルギーを節約するため、できるだけ寒冷な地域にする(ヨーロッパなら北欧で)
(3)データセンターの省エネを徹底して、消費電力量や発熱量を減らすこと(ドイツの規制の例)
が求められます。
国内で、データセンターによる将来にわたる電力需要の見通しについては、これまでの需要抑制の経験や開発中の省エネ技術によって需要増は限られ、大勢に影響はないという批判も出ています。現にEUは、省エネなど適切な対策をとることによって将来は、電力需要が減る可能性もあるという報告書を出しています。今の技術で、拙速にデータセンターを乱立させれば、エネルギー効率が悪いままの施設が大量に残って、環境への悪影響だけでなく、運営コストが高いままくユーザー負担が重くなります。
日本の電源構成からいえば、再生可能エネルギー電力の比率が低いまま電力需要を急増させることは、地震・津波のリスクある原発を動かすか、石炭火力を使い続けてCO2の排出増につながります。
さらに立地の問題で、今ある立地計画の面積でみると、8割以上が東京圏・大阪圏に集中し、再生可能エネルギーが豊富に存在する場所ではありません。また巨大な建物が居住地域に隣接して建設する計画など、住環境に悪影響を及ぼす恐れがあるものもあります。膨大な排熱でヒートアイランド化を促進することも懸念されます。自治体の気候危機対策を台無しにすることがないよう、企業が地球環境保全での責任を果たし、規制のルールをつくります。
再生可能エネルギー電力の導入に逆行する「出力抑制」をやめさせる
産業革命前に比べて地球の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えるために、一刻も早く温室効果ガスの排出を大幅に削減しゼロを目指すことが求められています。そのためにも昨年12月に閉幕したCOP28で、日本も含め118カ国による再生可能エネルギーの設備容量3倍化の誓約実現が重要です。
ところが日本は、3倍化どころか、今ある再エネ電力さえ大量に無駄にしています。太陽光を中心にした再エネによる発電に取り組む事業者の発電を、送電を担う大手電力が一方的に止める出力抑制が急増し、2022年度の再エネ出力抑制量は6億kW時から23年度19億kW時に拡大しました。45万世帯分の年間電力消費量に相当します。この抑制には、なんの補償もないため、多くの事業者で経営が悪化し、撤退の危機にもさらされているのが現状です。このままでは、2030年の再エネ導入目標の達成にさえ「負の影響が及ぶ」と懸念されています(一般社団法人 太陽光発電協会)。しかも政府の審議会に経産省が提出した検討のための資料には、出力制御の順番を早ければ2026年度中から、FIT電源をFIP電源より先とし、FIP電源に係る蓄電池の活用や発電予測などへの支援を強 化し、FIP電源への移行を後押しするとしています。これによりFIP電源(太陽光・風力)は、当面、出力制御の対象とならないため、FIT電源の出力制御確率は増加することとなるとしています。ただし、余剰が特に大きい日や制御回数が多いエリアでは、FIT電源に対する抑制の後、FIP電源が抑制されることもありうるとしています。
再エネの普及にとって蓄電機能が有効ということについては、異存はありません。出力調整をしない原発の夜間電力のために作った揚水発電も再エネ電力のための蓄電設備として、最大限利用すべきですし、また地域で地産地消を促進するため自主的に蓄電施設を設けようという取り組みにも公的な支援を強めます。しかしマクロのレベルの電力の運用でいえば、本来は送配電事業者が蓄電機能を含めて責任を持つべきものです。FIP対象事業者といえども蓄電施設を要件とされれば発電コストは当然膨らみますし、中小のFIT対象事業者には出力抑制のしわ寄せをもろにかぶることになり、経営の存続をますます危うくなります。再生可能エネルギー電力の拡大のためには、再生エネルギー電力の出力抑制をやめ、EUのように再エネ電力の最優先使用のルールに転換すべきです。
経済産業省が定めた消費量の変動に応じた電源の出力抑制の順番を定めた現行の「優先給電ルール」では、①火力発電の出力抑制、揚水・蓄電池の活用、②他地域への送電、③バイオマスの出力抑制等で対応し、それでも消費量を上回れば再エネの発電を止める――という順番だとしています。しかし実際には、原発は出力抑制の実績はなく、火力発電の出力抑制も不十分なまま、再エネにしわ寄せしていることが明らかになっています。現に中国電力は24年度に再エネの出力抑制を急増させる要因として、島根原発2号機の営業運転再開を挙げています。
再エネは燃料を輸入に頼る原発や火力発電と違い、エネルギー自給率向上にも寄与し、世界的にも最も安価な発電手段です。政府はエネルギー基本計画の改定作業でも、「脱炭素」を口実に原発の「最大限活用」と石炭火力の延命に固執しています。危険で高コストな原発はゼロに、石炭火力発の廃止期限を決め、若い世代も安心して暮らせる社会の実現に向け、思い切った省エネと再エネを最優先にしたエネルギー政策に転換すべきです。
国民の立場から、電力システムを抜本的に見直す
2011年3月の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故をきっかけに進められた「電力システム改革」によって、2016年4月には電力の小売り「全面自由化」が始まり、20年4月には、大手電力会社の送配電部門が法的分離されました。
消費者側では、原発の電気を買いたくないと思う人も多く、地球温暖化の原因となるCO2を出す石炭や石油などの化石燃料ではなく、再生可能エネルギーの電力を使いたいと思う人もおり、新たな電力小売りへの参入企業=新電力への期待もありました。しかし消費者は自分が望む電気を、自由に買うことができたわけではありません。さまざまな業種の企業が小売電気事業者として登録し、多数の新電力が参入しましたが、その新電力は発電所をもっている一部の事業者を別として、自分で発電所を持っていない小売業者の多くは、電力卸市場から電気を調達して販売しています。その供給構造の下で、市場価格の高騰によって苦境に立たされ、契約停止や撤退・倒産が急増しています。今も国際的な化石燃料の値上がり、円相場の急落に直撃されています。市場からの調達価格が販売価格を大きく上回り、赤字が拡大しているためです。
それと同時に、電力市場の不透明さも問題視されています。需給が緩むはずの時間帯になっても価格が下がらず、高値に張り付いているのです。大手電力会社による市場外の相対取引が大部分をしめ、しかも実際上は内部取引であり、売り出し量・価格の不透明さもあります。
実態として、発電・販売が事実上一体であり、大手電力会社が依然として、圧倒的な市場支配力をもつもとで、公正な市場ルールの確立が迫られています。
電力は、水道やガスと同様に、私たちの生活や経済活動を支える不可欠の公共インフラです。新電力の減少で、一部の大手企業に再び集中し、競争が消え、大手企業優位に立って消費者が料金設定などを受け入れざるを得ない事態も懸念されます。現時点では電気料金に関する規制は残っていますが、消費者側が参加できる公的なコントロールが大事です。
自公政権は、福島の原発事故の賠償費用2.4兆円を2020年から40年間に渡り、沖縄電力以外のすべての電力消費者に負担させる仕組みを導入しました。再生可能エネルギーの電力を選択している電力消費者にも負担を強いるものであり、「自由化」の看板に逆行し、発電部門内の原発のコストとして計上されるべき賠償費用を、送配電部門に移し替えるものです。このような原発優遇は、やめるべきです。
政府は、送配電網の電気料金(託送料)の値上げ認可申請を公聴会の対象から外すなど、料金コストの情報公開を一層後退させています。従来でさえ、電気料金には放射性廃棄物の処理・処分費用をはじめ、隠れた「原発賦課金」が電力料金の明細書への記載もなく、上乗せされるなど、批判のある電気料金の根拠がいっそう不透明になりかねません。
今求められているのは、消費者・需要家の選択肢の拡大と、系統運用など情報の全面的開示を両立させることのできる電力システムの制度設計です。そして、国民に開かれた公正な市場と競争条件の整備を進め、さらに新しい独立した強力な民主的規制機関の創設することによる国民的な監視の強化です。それによって、電力大企業への民主的な規制と再生可能エネルギーの本格的な推進、地域へのメリットの還元する電力システムへの転換を進めます。
―――東電福島第一原発事故が起きた2011年3月の東日本大震災や、北海道全域が停電(ブラックアウト)した2018年の北海道胆振東部地震の教訓だった大規模電源の集中リスクや、遠隔地電源への依存リスクを軽減します。そのためにも再エネなどの分散型エネルギーシステムへの転換を実施します。
―――電力の安定供給を確保するために、太陽光や風力など再エネのポテンシャル(潜在量)が大きい地域と、大都市圏のエネルギー大量消費地をつなぐ送電線を増強します。九州電力は太陽光の発電抑制を繰り返し実行していますが、本州へ電力を送る連系線(門司線)の増強は行われていません。他地域の発電抑制を解消するためにも、送電線の強化と一体運用を図ります。
―――周波数の違う日本の東西の間での電力融通のため、連系線の設備能力の強化を実施します。
―――蓄電システムの整備とともに、ヨーロッパで導入が進んでいる需要側のタイミングの調整による電力需要のピークカットのためのデマンドレスポンス制度の導入、蓄電システムの強化を図ります。
再エネ小売業者の負担で、原発や石炭火力を支援する「容量市場」の廃止を
「電力システム改革」のなかで、既存の原発、石炭火力、大型水力に有利に働き、再エネ小売業者に重い負担がかかるのが、21年からスタートした「容量市場」です。容量市場とは、4年後の電源確保を目的に電源設備の供給力(キロワット)を取引するしくみです。経済産業省は、容量市場の必要性を、①電力価格の低下により投資意欲が減り、将来の容量が不足すること②容量が不足することで卸電力市場価格が高止まりするリスクと説明します。
容量市場で確保する電源設備の総容量を決め、オークションを実施し、入札できる電源は、政府が「安定電源」だといっている火力、原子力、大規模水力に極めて有利な条件になっています。低い価格で入札されたものから順に落札され、目標調達量に達した価格が約定価格になります。容量市場の最大の問題は、この約定価格が、落札した電源全てに支払われる仕組みになっており、1兆円を超える規模になる点です。
大手電量会社がすでに減価償却を済ませた電源にも、一律の約定価格で支払われます。ここには CO2排出量の大きさなどへの考慮はありません。石炭火力などの設備を持つ事業者にとって、容量市場は老朽火力もできるだけ長く維持しつづけようという動機づけになります。容量確保のための費用は全ての小売電気事業者、送配電事業者が支払う仕組みになっており、その料金は電力料金に転嫁され、原発や石炭火力の電気を購入したくないと再エネ新電力に切り替えた消費者までもが、その維持費を支払わなければなりません。再エネ新電力にとっては極めて不利な制度で、過重な負担となります。なぜなら、原発や石炭火力、大型水力を持っている大手電力会社は容量市場から得た費用で拠出金を相殺できるのに対して、再エネ新電力にはそれができず、電力料金に加算するしかないからです。
このように、容量市場は気候変動対策、再生可能エネルギーの普及などの流れと矛盾し、極めて問題の大きな仕組みです。このような気候変動対策に逆行しる市場の廃止を求めます。
再エネの豊富な地域に送電網を整備し、再エネの優先使用を義務付ける
日本の地域それぞれの条件にあった再生可能エネルギーの開発・利用を計画的に拡大することに、エネルギー政策の重点をおきます。太陽光・熱、小水力、風力、地熱、波力、海洋深度の温度差や、あるいは畜産や林業など地域の産業とむすんだバイオマス・エネルギーなどは、まさに地域に固有のエネルギー源です。この再生可能エネルギーの活用を地元の中小企業の仕事や雇用に結びつくように追求し、そこから得られる電気やガスを販売することで地域に新たな収入が生まれます。事業の成果や副産物を地元に還元したり、雇用や技術、資金の流れを地元に生み出すことで、地域経済の活性化に役立ちます。ドイツでは、地域の電力供給を担う公的企業「シュタットベルケ」が各自治体に設立され、地元の住民が地域の再生可能エネルギー開発に関与し、収益を公共サービスで還元するなど、地域で生み出したエネルギー資源を地域の財産として生かし、エネルギーの「地産地消」、地域の活性化、地域経済の発展に重要な役割を果たしています。
自然エネルギーによる発電が期待できるのにもかかわらず、人口が少なかったために送電網が不十分な地域もあります。また十勝地方の畜産にかかわるバイオマス発電でも、送電網が使えないために、せっかくの発電能力が生かせないという悩みもあります。国がイニシアチブを発揮してこうした地域に、送電線の建設を進め、既存の送電網の有効利用を図ります。そのさい、再生可能電力を全国で融通できるように、必要な送電網の整備をすすめます。9電力(沖縄電力を除く)に区切られた送配電体制を東西2つの体制にするなど、送配電体制の整備・統合をすすめます。
再エネ発電の普及には、長期的な採算の見通しが重要であるため、電力の固定価格買い取り制度があります。市場価格との連動制を導入する電力多消費業種として賦課金を減免される対象範囲や、買い取り対象の規模、買取価格の水準の見直しなど、国民への情報提供と論議をつくすべきです。
―――送電網を運営する一般送配電事業者には、送電網を増強する「系統拡張義務」を課します。ドイツでは、前項の優先接続と系統増強の義務や、送変電設備の容量不足などの解消の責任を課されており、容量不足で再生可能エネルギー電力の接続を拒否できないことになっています。ところが日本では、接続拒否だけでなく、送配電網への接続を求める際に、送電線や変電施設の整備の費用を負担するよう要求され、小規模な再生可能エネルギー発電事業者には参入への高いハードルになるという事態が起きています。2016年のFIT法の改定にあたり、日本共産党は、ドイツの例をみならって、送電会社に送電網の増強義務を課す修正案を提出しました。引き続き、実現を目指します。建設コストを抑えるためにも、情報公開と多面的な検討を国が進めるよう求めます。
―――電力利用者の負担を軽減するために、電源開発促進税を系統強化費用に充てるようにすべきです。すでに電気料金には電源開発促進税という 電源を生み出すための税金が含まれており、年間3,110億円(2024年度予算)も、電力使用者は負担しています。いまはこの財源が主に、原発のために使われています。日本共産党は国会でも提案したように、この財源を系統増強に充てることで、ユーザーの負担を抑えるように使います。
―――買取価格を低減するとして、入札制度が導入されました。条文上は、「一定の導入量」を低い価格で落札した事業者から順番に調達する仕組みになっています。拡大されると地域密着型・中小規模の再生可能エネルギー事業社の参入を阻害する恐れがあります。19年11月以降順次、余剰電力買取制度の適用を受けた住宅用太陽光発電設備の買い取り期間10年が満了となっています。地域にとっては「地産地消」の電源の典型であり、各家庭にとっては再エネへの関心をたかめ、電力消費の節約意識の喚起や災害時の電源確保としても重要です。住宅や小規模工場の屋根への太陽光パネルの設置、自治体主導や住民の共同による事業、屋根貸し太陽光発電事業などを推進します。そのために、再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度を地域の多様な取り組みを促進するように改善します。住宅用太陽光発電、市民の共同による取り組みをFITの重要な柱として、位置づけます。
地域密着型・「地産地消」型の再生可能エネルギー利用をすすめるために、大規模開発や大型太陽光発電(メガソーラー)の偏重是正も考慮して、買取対象を見直すべきです。地域・自治体主導の取り組みで、地域経済への寄与を評価して、優遇する仕組みを導入すべきです。
アメリカの世界的な投資銀行であるラザードのレポートが示すように、世界では太陽光発電、風力発電を中心に1kW時あたりの発電単価の低下が大幅に進んでいます。日本でも買取制度導入以来、低下していますが、それでも日本の発電単価は、海外と比べると高くなっています。発電パネルや発電タービン、建設費や建設の熟練度合いなど、分析的に評価し、発電単価の削減にむけて誘導していくことが大事です。それによって、買取価格は下がります。廃止された小型風力の買取価格を、復活させます。
乱開発を規制するため、環境アセスメントなど法体系の強化と住民合意の義務化を
「気候危機打開ための2030戦略」でも強調したように、再生可能エネルギーの普及の大きな障害になっているのが、メガソーラーや大型風力発電のための乱開発が、森林破壊や土砂崩れ、住環境の悪化や健康被害の危険を広げていることです。目先の利益追求での乱開発・環境破壊を放置するなら、再生可能エネルギーへの大胆な転換を阻害し、気候危機も打開できなくなってしまいます。
それを打開するには、① 環境を守る規制を強化し、乱開発をなくす、② 「新たな開発」ではなく、既存の施設・建築物・未利用地などの活用を推進する―――という2つの方向での解決が必要です。
21年に成立した改正地球温暖化対策推進法の審議のなかで、日本共産党は、法案にある促進エリアに加えて、自然環境や生活環境を「保全するエリア」を指定する必要があると求めていました。また21年の熱海市での大規模な土石流の発生のように、再エネ設備の設置によって、土砂災害や生活環境への影響が懸念されている各地域の実態をふまえ、地方議会でも国会でも、危険な地域や生活環境に影響がある地域などには再エネ設備は建設出来ないように規制するよう要求してきました。
今年3月、総務省行政評価局による「太陽光発電設備等の導入に関する調査」の結果が公表され、太陽光発電設備の設置に起因する土砂の流出や、のり面の崩壊など地域住民の安全を脅かすトラブルが、調査した市町村の4割以上で発生し、2割弱の市町村で未解決のトラブルがあるという深刻な実態が明らかになりました。総務省は前出の調査結果に基づき、3月、経産省に対し勧告を行いました。その内容は主に以下の3点です。① トラブル等の未然防止に向け、経産省による現地調査を強化する、② 地方公共団体に対し、設備情報、情報提供フォーム等を周知する、③ 法令違反等の状態が未改善の場合の経済産業局から経産省本省への協議基準を整理し、文書指導等を着実に実施し、改善されない場合は交付金の留保などの必要な措置を適確に実施する。
経済産業省の情報提供フォーム(資源エネルギー庁HP)(後述)への相談内容の取りまとめでも同様の実態が示されています。2024年3月末(2016年10月~)時点で1,180件の相談があり、そのうち9割以上を太陽光発電が占めています。経産省は「再エネ導入による地域住民の懸念が顕在化し、実際、法令遵守できていない設備や地域で問題を抱えている設備が存在」としています。
林野庁調査においても、太陽光発電設備に関わる急激な林地開発の状況がデータで判明しています。開発面積については2020年度以降、若干減少傾向ですが、2012年度以降2022年度までの太陽光発電設備に関わる林地開発許可件数は累計で1,916件にも上り、開発面積は16,883haにも及びます。
再エネ導入をめぐる問題が各地で顕在化したため、国も「地域と共生する再エネ」導入に向けて動きを見せざるをえなくなりました。22年4月、関係省庁(経産、農水、国交、環境)が共同で検討会を立ち上げ、制度改正をめざすことになりました。
再エネ特措法(以下、FIT)の省令改正(23年10月施行)では、FIT申請の前に林地開発や砂防法、地すべり等防止法、急傾斜地崩壊による災害防止法、宅地造成及び特定盛土等規制法にかかる許可を取得する事を要件としました。
また、太陽光発電設備の設置を目的とした土地の形質変更を行う場合、都道府県知事の許可が必要な森林開発の面積を1ha以上から0.5ha以上にしました(22年9月、森林法施行令及び施行規則等改正)。
なお林地開発を伴う再エネ導入にあたって、太陽光発電設備に関わる無許可での林地開発が横行しており(2022年度は17件、2016年度は35件)、齋藤健前経産大臣は、「再エネの導入に当たって、地域とのコミュニケーションの中で適切かつ十分な説明を尽くして、地域との共生を図りながら進めていくということは重要」として(今年3月、参議院経済産業委員会での岩渕友議員への答弁)、改正再エネ特措法(今年4月1日施行)では、FIT、FIP認定の際に周辺地域の住民へ向けた説明会の開催などを認定の要件として求めることとしています。これをうけて改正再エネ特措法で、「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」を新たに作成し、説明すべき住民の範囲や開催時期、説明項目などについて定めています。ただ住民合意の義務化については「(FIT)認定要件を検討する審議会において、事業者の財産権や営業の自由の制約の程度が大きく、慎重であるべきという結論となった」と拒否していますが、地域と共生する再エネ導入実現のためには住民合意を義務化すべきです。今回の法改正は全国の切実な声を受けて一歩前進であり、最大限生かすとともに、さらに住民合意の義務化をめざします。
改正再エネ特措法の施行で、一定の効果が出ているのが再エネ交付金の一時停止措置です。関係法令に違反する事業者には早期の是正を促すために、FIT・FIP交付金を一時停止することになりました。経産省は今年4月、森林法違反が明らかな9件に対し、この措置を実施しました。他方、発電前で交付金が未交付の事業者でも、環境アセスメント逃れや贈収賄事件を起こしている悪質な事業者には、指導・助言、改善命令などで対応するのにとどまらず、地元住民は一貫して求めているように、地域と共生ができないことが明らかである再エネ事業者に対しては、速やかに取消し判断を行うべきです。
規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業は環境影響評価(アセスメント)手続が義務付けられています。しかし、事業を分割して制度の対象外としてアセスメント手続を逃れる事業者もいます。政府は22年、太陽光発電、風力発電所の環境アセスメント逃れに対応する「事業の一連性の考え方」について公表し、都道府県・政令指定都市と太陽光発電、風力発電の関係事業者に対し正式通知しました。同通知は広い敷地内の川で隔てられている場合や、風力発電など設備の距離がかなり離れていても事業が一体の場合があるなど管理の一体性を中心にみるとしています。
他方で風力発電の法対象規模要件が政令改正によって22年10月から、現行1万kW以上から5万kW以上へ引き上げられました。
太陽光発電施設の建築物や土地の区画形質の変更として扱うなど、きちんとした法的な位置づけを明らかにします。関連法令の整備や環境基準を制定で、環境アセスメントの手続きの中に組み込んでいくことが必要です。森林法などの現行法は、森林を伐採してメガソーラー発電所をつくるなどの事態を想定していません。環境保全のための森林法改正、土砂崩れの危険性も評価事項に加えるなどアセスメントの改善が必要です。
事業の立案および計画の段階から情報を公開し、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など広く利害関係者を交え、その地域の環境保全と地域経済への貢献にふさわしいものとなるようにします。
風力発電も大規模化・集中化によって、騒音、低周波、シャドーフリッカー、基礎工事の巨大化による安全面や周辺環境への影響など、住民の不安・不満は高まっています。1基4,000kW以上の出力の風力発電計画が増えているもとで、「指針」の見直しが必要です。とくに集中立地にともなう累積的影響を検討すべきです。
地域での乱開発を防ぐ手法として、環境保全を優先するエリア、風力発電の導入促進が可能なエリアに区分けするゾーニングの導入も有効であり、環境省はマニュアルを作成していますが、国として住民の健康・安全や環境保全を脅かす恐れがある地域への立地を規制すべきです。
太陽光パネルの大量廃棄に備えて、リユース、リサイクルを含めた適切な処理が確実に行われるよう、関係省庁・自治体・業界団体で連携のとれた体制を構築します。
バイオ燃料の開発は、森林破壊を起こさず、環境保全を重視したものに
日本共産党は、バイオ燃料の開発・導入を再生可能エネルギーの重要な柱であると考えています。地域の森づくり・林業と結びついた木質バイオ燃料の利用や、畜産業の廃棄物を活用したバイオガスの利用などは、地域経済の活性化にとっても重要です。
ところが木質バイオ燃料を取るためとして森林の植林抜きで皆伐したり、あるいは熱帯林を破壊して切り開いたヤシ畑から出たヤシ殻を輸入して焚くというのでは、陸上で最も大きな CO2の吸収源である森林を損なうことになります。EUでは再生可能エネルギーとしてバイオを認めるにあたって、その由来や炭素の循環周期を確認するなど厳しくなっています。
国内産・バイオ地域産の資源を優先的に活用する(「地産地消」)、生産・加工・流通・消費のすべての段階で環境を悪化させない持続可能な方法を採用するなど、新たな環境破壊をひきおこさないためのガイドラインを設けます。エネルギーの利用効率をさらに引き上げるため、熱源としてバイオ燃料の利用も促進します。
地球環境と若者の未来を守るエネルギー政策への転換を
これまでも野党はエネルギー政策の転換のために協力して、原発ゼロ基本法案(2017年)やその実施法である再生可能エネルギー等の推進関連4法案(2019年)を国会に共同提出してきました。
人びとの暮らしを脅かす異常気象の頻発にかんがみ、また将来世代や未来の人々、地球上の生態系に対する責任を果たすために、気候変動と環境保全の対策を加速し、国際社会による温暖化対策の強化に向けて働きかけや共同を強めます。また、経済や国際政治での自立性を高めるためにも、原発にも化石燃料にも頼らないエネルギーへの転換を進め、脱炭素社会を早期に実現します。
野党や市民との共同によって、地球環境と若者の未来を守るエネルギー転換へ全力を挙げます。