日本共産党

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政策

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22、学費

学費値上げを許さず、値下げにふみ出し、『学費ゼロ』の社会にむけて力を合わせよう

2024年10月

 大学の学費値上げが、大きな社会問題となっています。もともと日本の異常に高い学費の解決は学生・国民のもっとも切実な願いの一つです。ところが、私立大で毎年のように値上げが続く一方、〝国立大の学費を150万円に〟など、学費値上げを求める議論が政府審議会で公然と行われ、さらに、東京大学が年10万円余の値上げを発表し、社会に大きな衝撃を与えています。

自民党政府は国立大の学費値上げの動きにたいして、「標準額の120%を上限として各大学が個別に設定することができる」など、他人事(ひとごと)のように、まったく無策で何らの手だてもとろうとしていません。政府は「高等教育の負担軽減」を述べてきましたが、それを踏みにじる学費値上げを放置することは許されません。そもそも大学への予算を大幅に削減してきた政府の姿勢が根本から問われています。

いま日本は、さらなる学費値上げの道を進むのか、値下げにふみ出し、高等教育無償化=学費ゼロの道を進むのかが問われています。学生たちは値上げ反対の声をあげ、「学費値上げは、すべての大学の問題」「学ぶ権利を奪うな」という訴えに共感と連帯が広がっています。

日本共産党は、学生の値上げ反対の運動に連帯します。そして、学生、大学人、国民が力を合わせて、高等教育への公的負担を抜本的に増やし、学費値下げにふみ出し、学費ゼロの社会をめざす道を進むことを心からよびかけます。

高学費、借金で限界にきているとき、さらなる負担はやってはならない

高学費によって学生生活は限界にきています。私立大学の初年度納付金は平均で約148万円、国立大でも約82万円にもなっています。そのなかでアルバイトと貸与奨学金なしに学生生活が成り立たない状況が〝当たり前〟になっています。学生の8割がアルバイトに従事し、3人に1人が貸与奨学金を借りています。平均で300万円の奨学金という「借金」をかかえて社会に出ざるをえない状況で、若い世代の抱える奨学金返済額は10兆円にものぼります。

いま、民青同盟が学生むけの食料支援を行っています。そこには学生が殺到し、「1日1食。食費を月2,000円に抑えている」、「週5日のアルバイトで勉強時間が取れない」と声が寄せられています。「1日の生活費は653円」(東京私大教連調査)、「日常生活の中で悩んでいることや気にかかっていることは、『生活費やお金のこと』が47%で最多」(大学生協連調査)と悲鳴があがっています。

こうしたときに、さらなる学費値上げを行うことは、限界にきている学生生活を破綻させる道であり、決してやってはならないことです。

大学教育の未来を閉ざし、逆行する道

それにもかかわらず、自民党や政府審議会の一部の議論では、国際化、デジタル化に対応した〝質の高い教育〟が必要だとして、そのためのコストを学生・個人の負担に求め、学費値上げを推進しようとしています。

しかし、〝質の高い教育〟を阻害してきたのは、自民党政治そのものです。自民党政府は、2004年の国立大学法人化後、国立大の運営費交付金を約13%も削減し、私立大学への助成も経常費のたった1割に抑制してきました。日本は、OECD(経済協力開発機構)諸国の中で高等教育への公的負担割合がもっとも低い国の一つとなっています。大学予算の削減とともに大学教員の多くを任期付きの不安定雇用とし、教育・研究に力をそそぐ条件を壊しています。

教育の機会均等を奪い、〝バイト漬け〟にして学ぶ時間を奪っているのは高い学費です。大学予算削減のしわ寄せを、学費値上げによる「自己収入」でまかなうようになれば、大学教育は改善されるどころか、ますます教育の機会均等と学生の学修を阻害するでしょう。学費値上げは、誰のための大学かという、大学のあり方が問われる大問題です。

学費無償化こそ、国際的な流れ

そもそも、教育の成果は個人でなく社会全体のものです。国際社会は、第2次世界大戦の反省に立ち、1966年の国連総会で採択された国際人権規約に結実したように、すべての人の教育の権利を認め、教育が人格の完成とともに、諸国民の間の寛容や平和の維持につながるという考え方にたって、高等教育の無償化をうたっています。ヨーロッパでは、教育無償化をめぐる長い国民的な運動のなかで、高等教育についても60年代後半から無償化にふみ出し、維持している国が少なくありません。

日本政府は、2012年に国際人権規約の高等教育無償化条項について留保を撤回し、高等教育を無償化することを国民と国際社会に公約しました。しかし、自民党が政権に復帰したもと、無償化が事実上「反故(ほご)」にされ、むしろ、大学の学費は2012年以降、それ以前にまして高騰しています。国際化というなら、日本も国際人権規約の精神で無償化にふみ出すべきです。

その第一歩として、大学予算の抜本的拡充で、学費を値下げし、教育を充実させる道に転換をはかりましょう。日本共産党は高等教育無償化=「学費ゼロ」にむけて、高等教育予算を抜本的に増額し、そのなかで学費値下げのための特別の措置をとります。①ただちに授業料半額・入学金ゼロ、②給付中心の奨学金の創設、③奨学金返済の半額免除――を緊急に行います。

大企業への優遇税制などを見直せば20兆円の財源がうまれます(「経済再生プラン」)。その一部を活用するだけで、実現できます。自民党政府は5年間で43兆円もの大軍拡をすすめようとしており、来年度概算要求でも軍事費は8兆5,389億円と文教関係予算の要求額(4兆3,883億円)の約2倍に達しています。こうした逆立ちした政治を切りかえれば予算は十分にあります。

若者が学費を心配することなく、安心して学ぶことを保障することこそ、大学教育の充実とともに、日本社会の未来を切りひらく道です。学生と大学人、国民が力を合わせ、政治をともに変えていくことを心からよびかけます。(➡アピール「学費値上げを許さず、値下げにふみ出し、「学費ゼロ」の社会にむけて力を合わせよう」(2024年10月2日発表)より)

―――学費値上げを中止し、値下げに向かいます。高等教育の無償化をめざし、ただちに大学・短大・専門学校の授業料を国の責任で半額にします。

―――他の先進国にはない入学金制度をなくします。

入学金は他の先進国にはない日本独特の制度で、私立大学で平均約25万円、国立大学は約28万円と高額です。高額の入学金を払わせ、入学しなくても返金しないというのは、合理性がありません。

―――奨学金は給付制中心にあらためます。

現在の奨学金は、将来の借金となる貸与制が中心です。「自宅4万円、自宅外8万円(月額)」を75万人に支給する本格的な給付奨学金制度を創設し、対象・支給額を拡充していきます。

政府が2020年度から導入した修学支援制度(授業料免除と給付奨学金)は、条件が厳しく、実情にも合わないために全学生の1割しか対象にならず、予算の4割も余らせている欠陥制度で、本来の給付奨学金とは程遠いものです。