日本共産党

しんぶん赤旗

政策

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30、薬物依存症

危険薬物の実効ある規制、薬物依存症の治療・回復を進めます

2024年10月

 国内における覚せい剤、大麻、MDMA(合成麻薬)、危険ドラッグ、コカインなどの違法薬物の使用経験者は推計で417万人にのぼり(「薬物使用に関する全国住民調査」2021年)、薬物乱用と依存症の拡大が日本社会の大きな問題となっています。国外からの流入防止や、警察による販売組織の摘発と同時に、薬物乱用への社会的な取り組みが求められます。

日本では”薬物依存は犯罪”という側面だけがクローズアップされ、「薬物に手を出してはいけない」という啓発(第1次予防)が盛んな一方、早期発見・早期治療(第2次予防)、社会復帰(第3次予防)の体制がきわめて弱いのが実態です。薬物依存症を扱う医療機関は少なく、患者の多くは刑務所で”治療”を受けています。薬物依存症者の回復や社会復帰は民間リハビリ施設が献身的に担っていますが、当事者・家族の多くは、社会から孤立し疎外され、家庭崩壊や自殺に追い込まれるケースも少なくありません。薬物に手を出した人を、ただ断罪して社会から排除するやり方では、問題の解決ははかれません。

見のがせないのは、この間、市販薬の過量服薬(オーバードーズ)による薬物依存症が、とくに10代、20代の若い世代で急増していることです。こうした問題を根本的に解決するには、薬物乱用の大本にある、職場や学校におけるストレス増大、弱いものいじめの風潮のまん延など、日本社会の歪みをただすことが必要です。

政府は2023年、大麻草由来の製品を、てんかん治療薬等の医薬品として利用できるようにするためとして、それまでの大麻の「単純所持罪」を見直す大麻取締法改定を行いましたが、その法改定による「大麻使用罪」の新設と厳罰化には、依存症の支援団体等から「かえって薬物使用を地下に潜行させる」「治療の遅れ、差別・偏見の助長、社会復帰の妨げになる」などの強い反対意見が出され、わが党も改定法案に反対しました。

日本共産党は、薬物被害をくい止めるため、実効ある乱用薬物の規制とともに、薬物依存症を治療する医療体制の整備、当事者へのリハビリ・ケアや家族への支援を行う福祉体制の抜本的な拡充を進めます。

薬物依存症の治療の推進、福祉の拡充をはかります

――医療機関が薬物依存症者を受け入れる際の診療報酬を充実し、薬物依存症を治療する病院・診療所を増やします。

――「認知行動療法」等を用いた治療・回復プログラムの普及など、治療・回復支援策の開発を進めます。

――精神保健福祉センターの機能強化をはかります。民間リハビリ施設への公的支援と連携を推進します。

――薬物依存症の当事者や家族に対する偏見・差別をなくし、社会復帰を支援する取り組みを強めます。

違法薬物を的確に指定し、販売者等を取り締まる体制を強化します

――危険薬物の検査体制を拡充します。「地方衛生研究所」など専門機関の予算の増額と研究員の増員、他分野の研究者との協力など、分析体制の強化に向けた手立てをとります。

――麻薬取締部と連携して違法薬物の取り締まりに大きな役割を果たしている、薬事監視員の増員を進めます。

――ネット販売・虚偽広告への規制をさらに強めます。

薬物への正しい知識普及、社会的克服の取り組みを進めます

――大麻、覚せい剤、麻薬、危険ドラッグなどの危険性や、薬物依存症をすみやかに治療することの重要性などについて、正しい知識の普及を進めます。

――長時間・過密労働や成果主義の是正、職場におけるメンタル・ヘルスの改善、過度な競争主義教育の是正、社会保障の充実など、「人間を大切にする社会」への転換を進めながら、薬物乱用の社会的克服をめざします。