日本共産党

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政策

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26、学童保育

量的にも質的にも整備・拡充し、安心して過ごせる学童保育へ

2024年10月

 子どもたちが放課後や休みの日に、生活の場として安全に安心して過ごせる学童保育の拡充は、働く父母の切実な願いです。施設数は約2万5千か所、利用児童数は約145万人と毎年上昇し、過去最多となっています。学童保育は社会的に必要不可欠な施設であり、重要な社会的役割を果たしています。しかし、施設数が足りず、1年生や低学年でも入所できない地域もあり、政府の統計で待機児童数は1万6千人にのぼります。国は「新・放課後子ども総合プラン」で立てた2023年度末までに152万人という目標は達成できず、「こども・子育て支援加速化プラン」期間中の早期にという目標にしています。

大規模化や施設環境も不十分なところが多く、指導員は高い専門性が求められるにも係わらず処遇は大変低いままで長く働き続けることが困難な状況があり、市町村事業なので各自治体の裁量で施設や運営に大きな違いが生じるなど問題が山積しています。子どもたちが安心して過ごせる環境になっていない状況が広くあり、その改善は急務です。

最大の要因は、長年の自民党政権が長期にわたって法的拘束力のある施設基準の制定をしてこなかったことにあります。2014年に初めてできた施設基準も極めて不十分でしたが、そのわずかな基準さえも現場の学童関係者の強い反対の声があるにも関わらずすぐに後退させるなど、一貫して学童保育、子どもたちの安心・安全な育ちを軽視する自民党政治の姿勢にあります。

「子どもたちが安心して過ごせる学童保育をつくってほしい」。保護者と指導員のみなさんとともに、安心して預けることのできる学童保育をつくり、ひろげるために、これまでの遅れた学童保育制度を抜本的に拡充します。

公的責任で学童保育を整備・増設し、安定した学童保育を増やします

2023年5月の厚労省の調査では、学童待機児童は1万6,276人、低学年でも高学年でも前年より増えています。都市部に限らず全国的な問題です。学童保育自体がない市町村が110あり、小学校区にないところが1,994校区(小学校区の10.7%)あります。

政府はこの間、待機児童対策として放課後児童クラブと全児童が対象となる放課後子供教室との連携・促進を中心に取り組んできましたが、放課後児童クラブと放課後子供教室は目的と役割が異なります。一部の地域で、2つが一体化され学童保育が廃止されるなど、子どもたちの生活の場が奪われてしまう事態も起きています。

自治体直営から、民間委託への流れが広がっており、3年や5年で運営者や指導員が変わるような事態や、委託に伴い経験ある指導員が雇い止めにあう事態も起きています。父母が安定した学童保育を望むことは当然です。

―――放課後や夏・冬などの休みの間に子どもに「生活の場」を保障する学童保育を、他の目的の事業にまとめるのではなく、それぞれの役割に見合った形での拡充をおこないます。国と自治体の責任で、実態にみあった学童保育整備計画をつくり、待機児童を解消します。

―――安易な民間委託はやめ、公的責任で安定した学童保育を拡充します。

40人の適正規模への分割、大規模施設の解消をすすめ、施設環境を改善します

厚生労働省の基準では、集団の規模は「おおむね40人以下」とされていますが、今も4割が41人以上の大規模施設です。分割されているとされているところでも、実態としてきちんと分割されていないところもあります。大規模学童は、指導員の目が行き届かない、人が多いとトラブルも起きやすく落ち着いた生活ができないなど、その改善は急務です。夏場は猛暑日が続くなど、外遊びが難しい日も多くなっています。施設内で一日を過ごせるに相応しい環境が求められています。

―――子どもの安心できる居場所の確保の面からも、大規模施設を一刻も早く解消します。迅速にすべての施設がまず適正規模になるようにします。施設の分割をしやすくするために、必要な代替施設の確保、補助単価を見直し改善をはかります。集団の規模は「30人以下」を目指します。

―――低すぎる一人当たりの面積基準の改善と合わせて、静養室の設置など、生活の場にふさわしい施設環境への改善をすすめます。

指導員の複数配置、指導員の処遇改善をすすめ、安全・安心な学童保育をつくります

指導員の8割近くが非常勤・パート職員で、指導員の処遇の低さの改善は急務です。父母や指導員たちの長年の運動によって、2014年にようやく厚生労働省が設備と運営に関する基準を示しましたが、「従うべき基準」とされた職員の複数配置が、わずか5年で法的効果のゆるい「参酌基準」に改悪され、無資格者や有資格者が一人でも可能という条例に後退させている自治体もあります。指導員不足の背景には、その専門性に反し低すぎる処遇があり、処遇改善こそ必要です。

指導員の仕事内容や配置、処遇は様々で、地域格差も大きくあります。この間の補助事業等で、一部の自治体ですが指導員の処遇改善がすすみ、常勤複数配置が実現した学童保育もあります。今回新たに、常勤職員を2名以上配置した場合の補助基準額が創設されましたが、常勤職員そのものの定義を引き下げるべきではありません。

―――職員の複数体制、有資格者の配置を「従うべき基準」に戻し、子どもの安全・安心を守ります。すみやかに「児童数40人以下」「児童1人につき1.65㎡以上」等の他の基準についても「従うべき基準」に位置づけ、改善を図ります。

―――指導員の多くが非正規雇用で、年収は半数以上の指導員が150万円未満という状況は深刻です。指導員は高い専門性が求められる職業です。非正規の正規化を進め、長期的に安定して働くことができるよう、抜本的な改善をはかり指導員不足を解決します。

―――指導員としての専門性を高め、その専門性に見合う処遇を保障できる制度をつくります。

―――処遇改善事業等、自治体が申請しなければ活用できない事業について、国の責任で将来にわたって保障し、どの自治体も制度を使えるよう改善・拡充をはかります。