95、ミャンマー
国軍によるクーデターを非難する 国民との連帯強化を
2024年10月
日本共産党は、今年の1月29日付「しんぶん赤旗」に、以下の主張を掲載しました。
ミャンマーの軍政 暴力で民主化は抑えられない
2021年2月1日にミャンマー国軍がクーデターで不法に政権を奪ってから間もなく3年です。民政復帰を求める国民と、自治をめざす少数民族のたたかいはやむことがなく、国際社会も民主化を支持しています。暴力で抑圧することは、もはや不可能です。国軍が、拘束している民主化指導者、市民を解放し、対話に応じることが解決につながる唯一の道です。
内外で追い込まれる国軍
国内では、政権を奪われた国民民主連盟(NLD)が中心となって樹立を宣言した国民統一政府(NUG)に国民の支持が集まり、弾圧に抗してデモや不服従の運動が続いています。
NUGは武装組織を持ち、少数民族組織と共闘しています。昨年10月には、少数民族武装組織の連合体が東部、北部で一斉に攻勢をかけて圧倒し、国軍は中国の仲介でこの連合体との停戦・対話に合意せざるをえなくなりました。
軍政当局は、禁錮刑で収監している民主化指導者アウンサンスーチー氏の刑期を昨年、33年から27年に減刑し、身柄を国軍関係者の家に移したと発表しました。解放を求める内外の声の高まりに対するものですが、一時しのぎです。
民主化に向けた対話は拒み続けています。人権団体によると、弾圧による死者はクーデター以来4,400人、逮捕者は2万5,000人を超えました。抵抗する少数民族の地域に空爆など無差別攻撃を加え、国連によると、200万人が避難を強いられています。
国軍は、政権の正統性を得ようと、総選挙の実施を表明したものの、国内が混乱し、有権者数を確定する国勢調査すらできません。そもそも、選挙で選ばれた政権を武力で転覆した国軍に、選挙を行う資格はありません。
国際社会では、昨年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国、インドネシアが、NUGを含む、ミャンマーの各当事者と180回以上協議し、外交努力を強めています。
ASEANはクーデター後の首脳会議でまとめた「5項目合意」の履行を全当事者に求めています。国軍は何一つ実行せず、ASEANは、不履行を理由に、軍政の閣僚級以上の会議出席を認めていません。合意は、暴力の即時停止、全当事者の対話、ASEAN特使の仲介など平和的解決の基礎を定めています。
2年12月には国連安全保障理事会で、拘束している指導者の解放、ASEANの努力への支持、民意に基づく解決を呼びかけた決議が採択されました。国軍はこれも無視しています。
国際世論さらに高めよう
国軍のこのような対応は国内でも国際社会でも通用しません。5項目合意の履行に踏み出さなければ、ますます追い込まれます。
国民が不屈にたたかうのは、独立以来、クーデターが繰り返された歴史を終わらせ、今度こそ自分たちが主権者となる国をつくろうという強い願いがあるからです。
国際社会はASEANの外交努力を支え、国連決議に沿って民主化要求をさらに強く、国軍に突きつけていく必要があります。日本政府は、執行中の政府開発援助(ODA)を停止しないなど、国軍を利する行為をやめ、ミャンマーの民主化を促す外交努力を強めるべきです。
2021年2月1日のクーデターに際しては、以下の談話を発表しています。
➡ミャンマー国軍によるクーデターを非難する(2021年2月1日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/02/post-860.html)
➡ミャンマー国軍は武力弾圧をただちに中止せよ――国際社会の一致した取り組みを呼びかける(2021年3月16日)(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/03/post-865.html)
国会では、日本共産党の山添拓参院議員が以下のように政府の対応をただしました。
「同志国」軍支援 OSA軍事転用の恐れ―「しんぶん赤旗」2023年4月14日付
日本共産党の山添拓議員は13日の参院外交防衛委員会で、政府が決定した「同志国」の軍に武器供与などを行う新たな枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」について、提供物資が相手国によって軍事利用され、紛争を助長する恐れがあると批判しました。
OSAは、従来の政府開発援助(ODA)の対象外である他国軍への支援を行う制度。山添氏がODAで2017~2019年にミャンマーに供与した旅客船2隻が軍人などの移送に利用された可能性があるとの報道に言及して、「非軍事原則に反する」と指摘し、対応をただしました。外務省の日下部英紀審議官は「現在事実確認を行っている」と答弁。山添氏は「半年以上たっても確認できない。ODAによる旅客船ですら軍事転用されており、OSAでも目的外利用される可能性がある」と批判しました。
また山添氏は、OSAを「防衛装備移転三原則」と運用指針の枠内で実施する方針に関し、ロシアによるウクライナ侵略を受けて紛争当事国も支援対象にするよう同指針が改定され、与党が殺傷力のある武器の輸出まで可能にしようと議論しているとして、「改定されれば対象は無限定に拡大する」と追及。外務省の石月英雄審議官は「(改定について)予断をもって答えるのは困難だ」と述べ、否定しませんでした。
山添氏はOSAで「平和国家」のイメージが変質し、非政府組織(NGO)の活動に影響を及ぼすとの懸念が広がっていると指摘。「国際協力を軍事一辺倒で進めるのは許されない」とし、決定撤回を要求しました。
この質問の後、外務省は同月26日、政府開発援助(ODA)で供与した船舶が兵士や武器の輸送に使用されたとして、ミャンマー政府に抗議し、適正な利用と再発防止を求めたと発表しました。